音だけのスリル
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緊急通報司令室のオペレーターとして勤務するアスガー(ヤコブ・セーダーグレン)。
その夜、今誘拐されているという女性からの通報を受けます。
状況判断の材料は相手の声とその周囲のかすかな音のみ。
彼女をなんとか救いたいと思うアスガーは、
オペレーターとしての職務を超え、又勤務時間を過ぎても
この事件の収束に力を尽くしますが・・・。
舞台はすべてこの緊急司令室。
相手方の映像はありません。
しかし、声だけから判断する相手の状況がとてもリアルに緊張感を持って伝わってきます。
そしてアスガーの焦燥も。
アスガーは自分のできる限りを尽くして、
なんとか彼女の立場を有利に向けようと助言したりするのですが、
なんとも皮肉なことに、彼が介入したことによって
事態はますます悪化の方向へ動いてしまうのです。
この手の作品としては全く意外!!
そう、そしてこの日の事件の真相も、
彼とそして私たちが思い描いていたものとは全くちがうのです。
実に驚かされます。
・・・と言うのも、次第に見えてくるのですが、
このアスガー、本来は警官なのですが、過去のある事件によって、一線を退き、
この部署に就いていたのです。
そして、その裁判が翌日にひかえていました。
実のところ彼に正義があったわけではなさそうなのですが、
それを彼は偽証し罪を逃れるつもりだったのです。
そういう後ろめたさが、
自分が事態を悪化させていると、なおも彼を責め立てる。
司令室の中で電話を待つだけのシーンが延々と続くだけなのに、
なんて油断のならないスリルに満ちていることか・・・面白かったです!!
本作を見た後、ワゴン車の貨物庫に押し込められた女性の恐怖の表情とか、
部屋にひとりぼっちで怯える少女の像が不思議にイメージとして頭の中に残っています。
そんな映像は少しも出てこなかったのに!
<WOWOW視聴にて>
「THE GUILTY ギルティ」
2018年/デンマーク/88分
監督:グスタフ・モーラー
出演:ヤコブ・セーダーグレン、イエシカ・ディナウエ、ヨハン・オルセン、オマール・シャガウィー
緊迫度★★★★☆
意外性★★★★★
満足度★★★★.5
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