それでも、言葉なのです。
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山田洋次監督が「男はつらいよ」シリーズ終了から20年ぶりに手がけた喜劇。
先の「東京家族」一家が再結集し、現代に生きる新たな一家を演じます。
まもなくシリーズ第3作目が公開されるということで、この際見てみました。
結婚50年を目前に控えた平田夫妻(橋爪功&吉行和子)。
夫・周造が誕生日のプレゼントになにか欲しいものがあるかと問うと、
妻・富子は離婚届の用紙を取り出し、ここに記名と押印が欲しいという・・・。
子どもたちは大慌てで家族会議を招集。
特別に問題があるようにも見えなかった夫婦の何が問題なのか?
熟年夫婦。
ある日突然に妻から突きつけられる離婚届。
このパターン少し前にも見たばかり。
「恋妻家宮本」でしたか。
夫は驚きうろたえて、落ち込んでしまう。
この「離婚」には専業主婦の思いが詰まっていると思うのですね・・・。
サラリーマンを勤め上げた男性は、定年退職ということで、一つ肩の荷をおろして、
新たに趣味を見つけたり、ゴロゴロしたりするわけですが・・・。
主婦業に定年はない。
それどころか、今までいなかった夫がで~んと居座って、鬱陶しくて仕方がない。
妻が私だってここらで鬱陶しい夫の世話から開放されて自由に生きたい、
と思うのは当然のように思えます。
妻が離婚届を突きつけるか否かは、その後の生活が成り立つかどうかだけにかかっている
と言っても過言ではないくらいに。
そしてその妻を引き止めることができるかどうかは、やはり夫の行動次第なのだろうと思うのです。
そりゃー、いまさら「愛している」なんていえませんよね。
いや若いときにすらも言ったことはないのでは?
でも次男(妻夫木聡)の恋人・憲子(蒼井優)は言います。
「それでも言葉、なんです。言葉でなければダメなのです」
口に出さなくてもわかるだろう・・・などというのは勝手な思い込み。
直接的に「愛」などという言い方をしなくても、素直に思いを言葉にすれば伝わるはず・・・。
と言うのは簡単だけれど、実際は難しいですよね。
ことに毎日顔を突き合せている家族間では・・・。
だから本当に、「家族はつらいよ」です。
当平田家の家族構成は・・・、
この夫婦と同居の長男夫婦(西村雅彦&夏川結衣)、孫の2人。
同じく同居の次男(妻夫木聡)はこの度結婚のためようやくこの家を出ることに。
長女・成子(中島朋子)は結婚しているので家を出ています。
夫(林家正蔵)と共に自営業。
いろいろな年代を網羅したこの一家の騒動のタネは無限にありそう。
今後は私も楽しみにしようかな、と思います。
家族はつらいよ [DVD] | |
橋爪功,吉行和子,西村雅彦,夏川結衣,中嶋朋子 | |
松竹 |
<WOWOW視聴にて>
「家族はつらいよ」
2016年/日本/108分
監督・脚本:山田洋次
出演:橋爪功、吉行和子、西村雅彦、夏川結衣、中島朋子、林家正蔵、妻夫木聡、蒼井優
平成家族度★★★☆☆
満足度★★★.5
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