映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ザ・マスター

2014年05月22日 | 映画(さ行)
不思議な吸引力のある二人



* * * * * * * * * *

この2月に46歳で亡くなった、フィリップ・シーモア・ホフマン氏を偲んで
・・・ということになりましょう。
新興宗教の教祖という役どころです。
まあ、新興宗教といってしまうと、いかにも危ない人物を想像してしまうのですが、
もっと知的で深みを感じさせる演出となっています。
で、そのマスターと呼ばれる教祖ランカスター・ドッド(フィリップ・シーモア・ホフマン)が主人公かと思えば
むしろ、彼の友人であり右腕であり人生の落伍者でもあるフレディ(ホアキン・フェニックス)に焦点があたっている。
本作はこの二人の不可思議な関係性を描いているのです。

 

二次大戦終了直後。
海軍でアルコール依存症となり精神的ダメージのどん底にいたフレディは、
密航した船の主であるドッドと知り合います。
酔っぱらい暴れて、しかしそのことを翌朝には何も覚えていないという彼を、
ドッドはなぜか家族同様の待遇で受け入れます。
自らの考案したメソッドでフレディを救済したかった、
ということもあるのでしょうけれど、
荒みきって何をしでかすかわからない、そのようなスリルにも惹かれている。
互いに理解し合っているとも信頼しているとも思えない二人なのですが、
二人の間には不思議な吸引力がある。
(性的な意味合いではなく。)



留置所で荒れるフレディの描写がすごかったですね。
隣に入っていたドッドが言う。

「誰もおまえなんか好きではない。
おまえを好きなのは俺だけだ。」



ところで「ザ・コーズ」を支えている実体は
実はドッドの妻(エイミー・アダムス)というところも見えてきますね。
もしかするとドッドには妻へのコンプレックスがあって、
その反発としてフレディを求めるのか・・・。


ホアキン・フェニックスとフィリップ・シーモア・ホフマン、
二人の名優のやり取りの凄まじさがずっしりと来る作品ではありましたが・・・、
個人的にはなんだかのめり込めずピンと来ない作品・・・。

ザ・マスター [DVD]
ホアキン・フェニックス,フィリップ・シーモア・ホフマン,エイミー・アダムス,ローラ・ダーン
東宝


「ザ・マスター」
2012年/アメリカ/138分
監督:ポール・トーマス・アンダーソン
出演:ホアキン・フェニックス、フィリップ・シーモア・ホフマン、エイミー・アダムス、ラーラ・ダーン、アンビル・チルダース

迫真の演技度★★★★★
満足度★★★☆☆


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