映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

そして僕は途方に暮れる

2023年09月20日 | 映画(さ行)

ダメ男の行く先

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シアターコクーンで上演された舞台を、
そのまま同じく三浦大輔監督とKis-My-Ft2の藤ヶ谷太輔さんで映画化したもの。

自堕落な生活を続けているフリーターの裕一(藤ヶ谷太輔)。
長年同棲している里美(前田敦子)がいながら、裏切って浮気をしてしまいます。
それに気づいた里美に問い詰められ、
裕一は話し合うこともなく、家を飛び出してしまう。

そんな調子で、親友の伸二(中尾明慶)、
バイト先の先輩(毎熊克哉)、
学生時代の後輩(野村周平)、
姉(香里奈)の元を転々とし、
それぞれの先でバツが悪くなると逃げ出すということを繰り返し、
ついには、故郷北海道の実家の母(原田美枝子)の元にまで行ってしまいます。

しかし、なんとそこでもうまくいかずに飛び出した彼は・・・。

 

藤ヶ谷さんのダメ男ぶりがスバラシイ(?)

どこへ行っても問題の本質と向き合おうとせずに、逃げ出すのみ。
しかし、自分のダメさ加減だけが、その都度ずんずんと胸に迫ってくる。
そしてとりあえず身を落ち着ける先の選択肢も狭まっていって、絶体絶命状態に・・・。
絶対に帰りたくないと思っていた実家に帰るほかなくなってしまうのです。

そんな彼が最後に転がり込んだのか、
家を飛び出して母とは別れていた実父(豊川悦司)の元。
裕一は子どもの頃、父のようにだけはなりたくないと思っていたのですが、
再会してみれば父の姿は今の自分そっくりというのが、
なんともはや、傑作で皮肉なのでした。

そしてまた、なんだかんだとありつつも、
一件落着に思えたシーンの後にあった、どんでん返しが効いている!

 

しかしまあ、そこまでどん底に落ちてそこから立ち上がった裕一なので、
まあそれでも何とかやり直せるでしょうと思えるところが救い。

ダメ男ぶりが見ているだけでも辛くて切なくて、絶望的な気分にさせられるのですが、
そこにまたおかしみもあって、素敵な作品でした。

裕一が訪ねた人々の配役が、またそれぞれ存在感があってナイス!

 

<Amazon prime videoにて>

「そして僕は途方に暮れる」

2022年/日本/122分

監督・原案・脚本:三浦大輔

出演:藤ヶ谷太輔、前田敦子、中尾明慶、毎熊克哉、野村周平、香里奈、原田美枝子、豊川悦司

 

ダメ男度★★★★★

先細り度★★★★☆

満足度★★★★☆



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