父と息子たち
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柄本佑さんと時生さんの兄弟が、父・柄本明さんを演出に迎えて挑んだ
舞台「ゴドーを待ちながら」の稽古場に密着したドキュメンタリー。
佑さんと時生さん2人は、「ET×2」という演劇ユニットを組んでいて、
2014年に「ゴドーを待ちながら」を上演しているのですが、
2017年、父・柄本明を演出に迎え、再び「ゴドーを待ちながら」の公演に挑みます。
ということで、2度目であれば楽勝なのでは?と思ったのですが、
しかし、そう簡単ではない!
「ゴドーを待ちながら」は、不条理演劇の代表とも言えるもの。
私もその題名だけは聞いたことがありますが、実際に見たことはありません。
ウラディミールとエストラゴンという2人の浮浪者が、
ゴドーという人物を待ち続けている、というだけのストーリー。
2人はゴドーに会ったことはなく、
たわいもないゲームをしたり、滑稽で実りのない会話を交わし続けます。
・・・ということで、会話の一つ一つをきけば、普通で、ありきたり。
しかし、そのつながり方、広がり方が一筋縄ではいかず、
結局何を言おうとしているのかよく分からない。
よく分からないから見る人それぞれの解釈があるようでもある。
なので、おそらく演出家によって、ずいぶん違うものになるのでしょう。
この兄弟は、父のダメ出しに苦しめられ続けます・・・。
多分、親子だからこそ、父は常よりももっと厳しくするのでしょうし、
息子たちも甘えは許されないことを骨身に感じている。
もっとこんな風にと、父は言ってはくれるのですが、
具体的にどうすればよいのかよく分からない。
いや~、しんどそうです。
それにしても、柄本明さんの芝居。
さすがベテラン、自己の確立したゴドーの解釈。
2人の息子は全く太刀打ちできない感じです。
こうした偉大な父のもと、今のうちに吸収できるモノは吸収してしまおう
ということで父に演出を依頼したようです。
こんな親子像、厳しいなあ~。
なんにせよ、圧倒されました。
<Amazon prime videoにて>
「柄本家のゴドー」
2017年/日本/64分
演出:山崎裕
出演:柄本明、柄本佑、柄本時生
父子対決度★★★★☆
満足度★★★★☆
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