少年時代に見た光
* * * * * * * * * *
祖母と一緒に暮らすために、東京から地方の町へ越してきた一家。
一人息子ユラはそこの小学校に転校します。
この学校はミッション系のようで、同級生たちと行う礼拝に、ユラは戸惑ってしまいます。
そんなある時、ユラの目の前にとても小さなイエス様が現れる。
そして友だちが欲しいこと、お金がほしいことなどユラの願いがかなったので、
ユラはちょっぴりイエス様を信じ始めます。
お金と言ってもおじいさんが隠していたヘソクリ1000円。
イエス様のサイズに準じてとてもささやかなのですが・・・。
新しい学校にも慣れ、親友もできて毎日が充実していたユラですが、
そんなときに予期せぬ出来事が起こる・・・。
子どもの世界の話だから・・・などと思っていると、足元を救われます。
別れの時は残酷にも不意にやってくる。
表面的には、神様なんか嫌いだ、神様なんかいるわけがない、
という少年の心の叫びの作品のように見えるのですが、
もう少し普遍的な意味もあるような気がしてきました。
小さなイエス様がユラに実際見えていたのか否かはあまり問題ではありません。
それは、彼が少年時代に垣間見た、
ほんの束の間の「光」とか「幸福」の姿だったのかもしれません。
けれども、いつかそんな「時」に少年は別れを告げなければならい。
苦い思いを経て彼は大人になる・・・。
ユラが友だちになった和馬くんは、ジャニーズにいそうなイケメン少年で、
サッカーがうまくて誰からも人気があるのです。
親しくなりながらも、和馬に嫉妬するユラ・・・。
そんな僅かな仄暗い気持ちが神を遠ざけ、魔を呼ぶのか・・・?
たとえ物事の事象に意味などないのだとしても、
人はそこに何らかの因果関係を見出そうとしてしまうものなのかもしれません。
本作の監督・脚本を務めたのはなんと22歳という若手、奥山大史さん。
この先頼もしいですね!
<シアターキノにて>
「僕はイエス様が嫌い」
2019年/日本/78分
監督・脚本:奥山大史
出演:佐藤結良、大熊理樹、チャド・マレーン、佐伯日菜子
斬新度★★★★☆
満足度★★★★☆
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます