映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

人数の町

2020年09月20日 | 映画(な行)

名前はなく、数のうちの一つでしかない人々

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借金が返せず、借金取りから暴行を受けていた蒼山(中村倫也)。
そこへ黄色いツナギを着たヒゲ面の男に助けられます。
蒼山のことを「デュード」と呼ぶその男は、蒼山に「居場所」を用意してやるというのです。
そして、蒼山が連れて行かれたのは、ある奇妙な町。
簡単な仕事をすれば衣食住が保証され、快楽をむさぼることができる。
しかし、この町を離れることはできない・・・。
そんな中でも居心地よいと思って暮らしていた蒼山ですが、
あるとき、妹を探しに来たという女性(石橋静河)が入ってきます・・・。

世間には多くいるであろう行方不明者。
ホームレスであったり、家出少年であったり・・・、居場所のないものたち。
ここは、そういう者たちを集めた町なのです。
しかし福祉を目的としたものではない。
彼らは互いに「フェロー」と呼び合い、特に名前を必要としない。
匿名の「人数」の町なのです。

彼らには「数」のうちの一つとしての価値しかない。
おそらくそれを利用した何者かが、うまい汁を吸い尽くしている・・・と。

(リアルなことをいえば、これだけの施設や人員維持のためには、
こんな業務ではペイしないのではないかと私は思ったりするのだけれど・・・。
あ、戸籍の売り買いはあるみたいなのでそれは大きいかな?)

在りそうだけれど、在ったらイヤだ・・・と思う、こわ~い近未来SFストーリーでした。
結局底辺の人々は踏みつけにされて、利用されるだけ・・・か。

 

ラストシーンの状況がいまいち理解しがたかったのですが(?)、
まあ、ハッピーエンドでないことだけは確か。
闇落ちであります。
こういうストーリーには似つかわしいかも。

それと、石橋静河さんが、私がこれまで知っているイメージとはまた違って、変幻自在、
この先もすごく楽しみな女優さんですよね。
私は好きです。

 

<サツゲキにて>

「人数の町」

2020年/日本/111分

監督・脚本:荒木伸二

出演:中村倫也、石橋静河、立花恵理、山中聡、橋野純平、松浦祐也

 

ディストピア度★★★★★

満足度★★★☆☆



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