映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ヒトラーを欺いた黄色い星

2018年08月27日 | 映画(は行)

長き潜伏生活に耐えた人々、そして支えた人々

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ナチス政権下、ベルリンで終戦まで生き延びたユダヤ人の実話です。
ベルリンでは7000人のユダヤ人が潜伏し、1500人が生き延びたといいます。
本作ではその中の4人にスポットを当て、ご本人のインタビュー映像を交えながら、
当時の出来事をたどっていきます。

ツィオマはドイツ兵になりすまし、ベルリン市内の空室を転々としていましたが、
やがてユダヤ人を救うための身分証偽造を行うようになります。



ルートは友人とともに戦争未亡人を装い映画館に出かけたことがきっかけで、
ドイツ国防軍の将校の家でメイドとして雇われます。



16歳のオイゲンはヒトラー青年団の制服に身を包み、
やがて半ナチスのビラ作りに協力します。



ハンニは髪をブロンドに染め別人になりすまし、
映画館で知り合った男性の母親に匿われるようになります。

ユダヤ人は、外見だけではそうとはわかりませんよね。
だから彼らはアンネのように秘密の部屋から一歩も出ずに隠れ住み続けるわけではなく、
時には外出もするのです。
が、それにしてもそれを一人で続けることはできません。
部屋を提供してもらったり、食料を手に入れたりする協力者がどうしても必要なのです。
組織として、反ナチス立場でユダヤ人に救済の手を差し伸べる場合もありますが、
全く個人の立場でそれを行う人もいたわけです。
1500名の生き延びたユダヤ人の影に、どれだけの善意の人々の存在があったのかと思うと、
胸が熱くなります。
中にはドイツ軍将校がユダヤ人を見て見ぬふりなどというのもあって、これはすごいですね。


しかし、以前読んだ「あのころはフリードリヒがいた」のように、
当たり前のようにユダヤ人を追い詰めていった人々がいたことも確かです。
このような極限状態で人間性が出ます。
恐ろしいことです・・・。

でも当のドイツの人々さえも、
収容所に送られたユダヤ人の本当の運命を知る人はほとんどいなかったのでしょう。
それを知っていれば、もっと本気で反ナチスを唱える人はいたのかもしれません・・・。


<シアターキノにて>
「ヒトラーを欺いた黄色い星」
2017年/ドイツ/110分
監督:クラウス・レーフレ
出演:マックス・マウフ、アリス・ドワイヤー、ルビー・O・フィー、アーロン・アルタラス、ビクトリア・シュルツ
歴史発掘度★★★★★
満足度★★★.5



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