歴史や文化を大切にしながら
* * * * * * * * * * * *
富山県射水市。
トオル、アゲル、ヨシキ3人の高校生が、
家族や進路などそれぞれの悩みを抱えながらも、仲良く楽しく暮らしています。
ラーメンが大好きで、風呂屋の熱い湯も捨てがたい。
同級の花凜との会話も心弾みます。
そして今は、コロナ禍で中止していて久々に開催される、
地域伝統の放生津曳山祭を楽しみにしています。
ところが、祭りの会長を務めるトオルの祖父が開催前日に急死。
祭り中止の危機をなんとか乗り越えますが・・・。
トオルは、自分の家や周囲の人々のリゾート開発会社からの借金のことを知ります。
リゾート会社はこのあたりの再開発を計画しているのです。
なんとしても借金を返さなければ、この地域の景観も文化も人々のつながりも壊されてしまう・・・。
トオルたちは蔵で発見した「射水の埋蔵金」という巻物を基に、
埋蔵金を探し始めます。
歴史はあるけれど、人口減少が進みさびれていく地方都市。
そんな町の高校生男子の奮闘の物語。
彼らはそろそろ進路も決めなければならないのです。
東京に出るのか。
地元に残るのか。
それとも・・・。
それはともかくも、今は仲間とわちゃわちゃ騒いで過ごしたい。
そんな彼ら3人。
せっかく出演している泉谷しげるさんによるトオルの祖父が、
突如急死というのには驚きました。
こんな場合、祭りは中止という決まりなのですが、
誰よりも祭りの開催を楽しみにしていた祖父の気持ちを大事にしたいと、
祖父はまだ生きていることにしてほしいと医師に頼み込んだりするシーンは
ちょっと切なくも可笑しい。
3人それぞれの家庭の事情とか、今どこにでもありそうな地方小都市の事情が描かれていて、
そしてそれらの現代的指針を見せていく所に好感を持ちました。
たとえ再開発が中止になったとして、それで決して安泰ではない。
自然と人々の暮らしが作り出してきた景観。
人々の絆。
そういうものを大切にしながら、これからもこの地で
人々の安心安全な生活を続けていくためにできることは・・・。
若い人たちがそんなことを考えるあたりに、希望が持てますね。
好きな作品でした。
<Amazon prime videoにて>
「僕の町はお風呂が熱くて埋蔵金が出てラーメンが美味い。」
2023年/日本/110分
監督:本多繁勝
脚本:西永貴文
出演:酒井大地、原愛音、宮川元和、長徳章司、泉谷しげる、丘みつ子、立川志の輔
青春度★★★★☆
郷土を考える度★★★★☆
満足度★★★★☆
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます