ステージおきたま

無農薬百姓33年
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コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

参ったなぁぁ!『地活な人々』

2010-03-07 12:14:27 | 地域文化

 『地活な人々』本のタイトルだ。なかなかのセンスだよね。えっ、地活ってわかんない?地域活性化を略した言葉。こんな言葉が以前からあったのかどうか?知らない。さらにそれを形容詞にしてしまうってとこが、この種の本からは抜きんでた感覚だと思う。

 さて、どんな本なのか?編者は三井不動産 S&E総合研究所。うん?何してるところだ?なんじゃ?S&Eって?気まぐれ読者の僕には見つからなかったなぁS&Eの説明。なので、困った時のネット頼み。あったあった。Space & Environment Instituteなーるほど。空間と環境ってことなんだ。うん、不動産屋さんらしい。どうせ新しい都市開発、地域開発可能性の探究が目的か?バブル期までならそんなところだったろうが、今はさすが時代が違う。開発してなんぼの不動産業界も、人の暮らし、地域のあり方ってものを真剣に見つめなくちゃならないところに来ているようなんだ。だから、この研究所の理念は、

 『「人―。 人がいて、街がある―。」を基本理念に、日常の不動産業務から一歩離れた自由な発想に基づく調査研究を通じて、新たな価値創造を促す斬新でユニークな情報発信を目的に活動しています。』(三井不動産 S&E総合研究所ホームページより)

 ねっ、ほほぉって感じでしょ。最近は企業も本業の利益から離れて、時にはそれに反して?研究したり、助成活動したりしていて、そんな姿見ると日本の企業風土もようやく成熟してきたなって感じる。

 さて、その『地活な人々』だ。なんだってこんな本読んだのか?そりゃ次回菜の花座公演の台本書くためだよ。前回は『恨の行方』でこの地にとけ込むアジアからの花嫁さんの話書いたから、今度は、地域の今みたいなものを書こうかなと。民話を題材にしたファンタジックなものも魅力なんだけど、まっ、あっちゃこっちゃ当たってみようって感じで、とりあえず地域おこし関係の本を読み散らしているってわけだ。

 とろがね、そんな気楽な資料当たりの気分はあっけなく吹っ飛ばされてしまった。いやあ、世の中凄い奴らがいるもんだって。神子原って地名をネタにして、地元の米をローマ法王に贈って食べさせちゃったおじさんとかね。もちろん、その後はこの土地は一躍ブランドだよ。杉材で作ったトレーからヒントを得て、杉の鞄!鞄だよ、鞄!!製品化してそれを世界規模で売り出したデザイナーとか。10年間かけて地域に飛び込み地域発のドキュメンタリー作った監督とか。失われつつあった地域の名物食材をネットで、全国に発信した板長さん。ご当地ソングで各地に元気を振りまき続けるミュージシャンとか。改めて、世の中、元気な人っているもんだって驚いた。

 この本はまずそういったユニークな地活な人たちを紹介し、その活動の意味や理念や応用可能性などを検討しているわけだけど、後書きにもあるとおり、それを体系化したり理論化したりして、地域おこしの教科書、ハウツー本を目指したりしていない。そのことがよかったんだって思う。こうすれば地域は元気になります、なんてご託宣、眉唾もいいところだからね。あくまで、個々の事例に寄り添って、そこからくみ出せる豊穣なヒントを提示しようと務めている。

 それとこの本を読んでいて心地よいのは、執筆に当たっている人たち、多分研究所の研究員、が、すなおに地活な人たちに共感し、驚嘆し、話しを聞き、何かを引き出そうと、真摯に取り組んでいるのが感じられるってことだ。大学の研究者などにありがちな上から目線、批判的検証、自己の理論の傍証なんてやつが入り込まない。それが読み終わって爽やかな印象を与える一因になっていると思う。

 そして、何より大きいのは、ここに紹介された人たちのエネルギーや知恵を借りながら、よっしゃ一丁、自分のところでもなんかやったろかい!って勇気と元気をかき立ててくれるってことなんだな。

 そう、僕もそろそろ第二の定年。定職を失って新しい活動の場を自ら作らなくちゃならない。そのことを強く、しかも希望に満ちて?感じさせてくれたってことなんだ。じゃぁ何やる?どうやる?って考え考え本を読み通した。多分そんな経験をしている人、この本の読者に少なくないんじゃないかな。要するに、人を行動に駆り立てるだけの活力がこの本にはあるってことなんだよ。ってずいぶん宣伝しちまったな。菜の花座公演にちょっと援助してくんないかな?なんて目先の利益を考えないことが、地活のポイントその一なんだった。

コメント
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