いよいよ心細くなってきたぞ。畑の白菜や茎たちもぐんぐん董立ちして、食べられるの菜の花ばかりになってきた。白菜なんかもう諦めて、株元からごっそり刈り取ってお隣の山羊さんの餌に提供した。
ビニールトンネルで育つ小松菜と小蕪とホウレンソウ、食べられるようになるにはまだ2週間はかかるだろうし、保存野菜で残るのは、芽が出始めたジャガイモだけ。ここは、ワカメとかひじきとか海藻食べて野菜不足を補うしかないか。心躍る春の訪れは、食にあっては窮乏の時。
ところがどっこい、未だ元気はつらつ、食卓に彩りを添えてくれているものがある。山形青菜の保存漬けだ。いやぁぁぁ、驚きだねぇ!4月も半ばを過ぎようっていうのに、酢っかくなることもなく、産膜酵母が表面覆うでもなく、冬場のような艶やかな姿を保っている。歯ごたえだって相変わらずのしっゃきり感だ。
白菜漬けとか、キムチなんかはとうに味が変わり、その季節を終えている。なのに、青菜漬けのこのしぶとさはどうたい!助かるなぁ、ありがたいなぁ!ぱりぱりの茎の方はそのままいただき、葉先の方はこれまでどうり、青菜入り松前漬けにして食べる。
それにしても、なんなんだろう?この日持ちの良さは。決して塩分が多いってわけじゃない。塩抜きなんてまったく不要な塩分濃度だ。微生物の大好物の糖分だってかなり加えている。調味液について考えられることは、お酢と酒と焼酎だな。酢とアルコール、変敗防止の最強コンビってことなんだろう。
それだけのことか?違うなぁ。山形青菜の中に、何か微生物を寄せ付けない成分が含まれているんじゃないか。ほら、生じゃとてもじゃないが辛くて食べられないだろ、あの辛味成分、あれが防菌作用に効いてるんだと思う。わざわざ漬けるためだけに育てられてきた菜っ葉。それが山形青菜なんだろうな。奥深い!
後2週間、畑の新緑野菜が食卓に上がるまで、この渋いべっ甲色の青菜漬けと味わいねっとり松前漬けが、健康を支えてくれるってことだぜ。