先週は菜の花座の貴重な財産から着物の選定だった。うーん、まだ不足だなぁ。前回も書いたが、一人4,5着も早変わりするからねぇ。時代も移る、季節も変わる。まさか同じ衣装の着た切り雀はないだろう。
今週はさらに別の団員が、お祖母ちゃんの着物、っと大量に持ち込んでくれた。でも、お祖母ちゃん、背低いんでいすよぉ、って、うーん、それは残念、今時の女たちには丈が足りないか?だが、待てよ。袴、着けたらどうだ?着物の裾は袴の中、しかもはしっょて着るから短いのは気にならない。そうか、それしかないな。昭和初期、袴姿って珍しいんだが、そこはお客さんにも目をつぶってもらおう。明治末から大正期をないまぜにすることで、なんとなく、時代感を示すことにしよう。幸い、袴は以前『雲雀、はばたきて』という明治の女学生ものを作った時の買い置きがある。それを使おう。誤魔化しって言えば、裄丈が不足で手がにょろりと出てしまう役者は、腕カバーをすることで取り繕うってことにもした。
どうやら着物が決まれば、今度は帯だ。またまた、菜の花座の財産。
広げてみて、おっ、これ行ける!死装束にぴったり!銀無地の帯、まさかこんなのあるなんて、大喜びで取り分ける。残りは、うーん、判幅帯が多いなぁ。落ち着いた大人の着物姿にはやっぱり袋帯だしなぁ、どうしよう。田舎娘や、足抜け女郎は判幅でくだけた感じで我慢しよう。それと、ここでも、袴がお助けだ。袴を着ければ、帯は当然、判幅だもの。
着物に関してはどうにか決まった。あと、問題は羽織だ。昭和初期の羽織って丈が長いんだよ。これがいかにも時代を感じさせるんだが、このひざ丈の羽織てのが全然ない。今の常識は、腿の半ばまでだもの。これについては、極力羽織を着ない演出を試みるとか、割ぽう着で胡麻化すとか、もうやり繰り算段しかないな。
洋服の方も少しずつ決まって行っているのだが、演出のイメージにはしっくりこない。ただ、こちらはハードオフなんかで、それっぽいものを見つけ出せそうな気もするので、先送りだ。
徐々に芝居が浮かび上がってきている。立ち稽古が軌道に乗る連休明けには、地域メディアの取材も決まっている。その時は、実際に衣装を着けて、味わいのある稽古風景をお見せできるようになりそうだ。セリフの役作りも一歩一歩進んでいる。本番までゆとりのあるうちに、どんどん追い込んで行ってしまおうか。