ステージおきたま

無農薬百姓33年
舞台作り続けて22年
がむしゃら走り6年
コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

階段がいとしい

2009-06-14 07:32:20 | 演劇

 舞台の輪郭って、間口7~10間、高さ(舞台用語でたっぱ)は4~6間。この切り取られた空間をどう使うか?これが勝負なわけだ、芝居ってのは。実際に舞台を作ってみると、この広がりって結構広いんだ。高校生のお芝居なんかでは、間口の広さにさえ手を焼いて、なんだか訳わかんない空間が上下に広がってたりする。まして、高さともなると、これは本当に使い辛い。

 舞台上に高さのある構造物を作るって難しいからね。ただ単にあるってだけじゃ、高さ生かすことにならない。やはりその上で演技できなくちゃ意味無い。ところが、人が乗って動き回るほどの構造物を組み立てるってのは、高校生やアマチュアには手に余る仕事なんだな。

 で、仕方なく頭の上のだだ広い空間は無いことにして、芝居作るってことになる。でも、これって癪なことだ、っていつも感じている。なんとかあのやたらと高いタッパを占拠できないもんだろうか?あの空間を支配しきりたい!こんな欲望が、僕には常にある。

 で、何使うか?階段なんだよ。平台くみ上げてそこに階段を付ける、これで、なんとか、床面から5尺程度上空まで、使いこなすことができる。今回も階段を組み込んだ。平台と開き足使って中央に4尺2寸の高さに一畳分のスペースを作った。そこに向かって中央と上下から階段が駆け上がる。って偉そうに言ってるけど、考えたのは今回初演出の顧問Nだ。

 う~ん!なかなかいい。使い甲斐あるね。なんか祭壇のようで、って、実際この階段の上空には大きな魔法の鏡が吊られているので、まさしく祭壇なんだけど。床面は森やら町場やらになる。つまり、この芝居で意図されている上下関係とか、偉大な力とかがこの階段で結構うまく表現できたと思う。

 問題はその使い方だ。これがまた滅茶苦茶面白い。例えば皇帝とか王女の登場なんかに使う。映えるんだよ。でも、もっと楽しいのは、殺陣だ。この階段を上がったり下がったり転げ落ちたりしながら戦うシーンを昨日作った。いやぁぁぁぁ、迫力だねぇぇ。劇的だねぇぇ。平面でやってたのとは比較にならない魅力的なシーンに仕上がった。下手な太刀使いも、ぐっと上手く見える。ね、これが演出ってもんなんだよ。

 そう言えば、宮本亜門も『トゥーランドット』でとてつもない階段を上下中央に設えて舞台作ってた。過去の名作で言えばつかこうへいの『蒲田行進曲』の階段落ちがある。宝塚にも階段はつきものだしね。

 階段って人生のある局面を見事に象徴するものなんだと思う。なんかとてもドラマチックじゃないか。上がり下がり、行き交う人、駆け上がる人、転げ落ちる人。人生そのもじゃないかって思う。だから、僕の頭に中には、プラザの階段を舞台に仕立てた公演なんてもんもちらっと芽生えているんだ。さあ、階段、どう使ったか、まだまだ未公開の魅力的な使い方、仕込んでいるからね、絶対見に来てね!置農演劇部定期公演、6月21日(日)13:00と18:00の二回公演だよ。

 

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宣伝!『LOST SEVEN』

2009-06-06 21:40:07 | 教育

 出遅れた定期公演の広報活動を挽回しなくちゃなんない!先週は町内のめぼしい商店に、ポスターを貼ってもらいに出動した。今週は、地区内中学校や置農演劇部を支えてくれている人たちにダイレクトメールを発送した。おおそうだ、学校のホームページにも定期公演の宣伝ページをアップした。さて次にできることは、

 このブログしかないでしょ、ってことで、何回かにわたって宣伝特集号だ。幾つかの見所を紹介して行こう。今回の見所は装置。手っ取り早く画像で見てもらおう。

Rimg0001_2

どうですか?中世のお城の塔のように見えませんか?この壁面のカーブ、なかなか手強かったね。薄ベニって柔らかそうでいて、結構固いのよね。蒸気を吹きかけるとしなやかになるって聞いたけど、そんな設備無いしね、下の写真のように無理矢理釘で打ち付けて形を作り上げた。

Rimg0156

こんなのが上下にツインタワーで立つ。その上さらに2間以上の高さの柱も立つ。

Rimg0004

さらに3枚の紗幕だろ、これは高校生としてはなかなかのモンだと思うんだけど。もちろんそのほかに小屋のパネルが5枚とか、バルコニーとか、かなりの力作ぞろいだ。まっ、これだけ見に来てもらっても損はない?いえいえいえ、芝居の方も、最後の仕上げ、突貫工事の真っ最中ですよ。ご期待ください。

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『恨の行方』ポスター公開

2009-06-05 22:25:53 | 演劇

 菜の花座第20回公演『恨の行方』、ポスターができた。今回もメグミの作品だ。まずは見てもらおう。

Photo

 相変わらず思いがけない図柄だよね。恨の文字とリボンの赤が印象的だ。実際に印刷されたポスターは地色の赤が強くて、残念な仕上がりだった。このブログではどんな色合いに出るだろうか?

 今までのものとちょっと違うのは、傷つく者の痛々しさ、みたいなものが無くなった、あるいは薄くなったってことかな。大人になったってことかな?でも、少女の危うさみたいなものは、十分に感じられる。それが秘密めいた世界を形作っている。

 彼女の作品を宣伝に使うのは、菜の花座としてはこれが四作目だ。どれも良い作品だが、前回の『雲雀、はばたきて』は中でも出色だった。彼女が描くと、こちらの意図からどんどん飛翔してしまうので、仕上がりがいつも楽しみだ。そうか、こんな見方もあるか、なるほど!って感じかな。台本との距離があるので、え、これ関係ないんじゃない?なんて言う団員もいるが、僕としては、その隔たりがとても心地よい。若さの所為か、才能故か、もしかしたら、経験不足のためかもしれない。でも、それでもいい。今の彼女にしか描けないものを描いている。そこにきらめくものがある。惹き付けるものがある。

 メグミの才能が認められて、メジャーになって、「いやあ、地元のへぼ劇団でポスター描いてたこともありましたよ、はっはっは・・・」なんて思い出語ってくれたら、これもまた、楽しいって思うよ。そうそう、今回はチケットもデザインしてもらった。これまた、彼女流!えっ?なぜ?って作品だ。これも載せさせてもらおう。

Photo_2

 

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アジアの花嫁を演じる

2009-06-03 21:36:38 | 地域文化

 菜の花座第20回公演『恨の行方』。

 どうしたって避けて通れないんだ、アジアから来たお嫁さんたちのことは。ここ、高畠町では数百人の規模だから。たかだか2万人の人口でこの数字、これ、絶対無視して通れないよ。いろんな所でいろんな問題が起こってるはず、っていうより、いろんな問題があったから、こういう実態になっているわけなんだ。地域に根ざし、地域を越えるをモットーとする菜の花座としては、一度は面と向かわないとね。

 でも、難しい!何がって、まず、身近にいる人たちのことだってこと。もちろん書いたのは、近しい人のことなんかではない。何人かの人を取材したけど、その人たちと知れる内容は極力避けた。狭い社会でしょ、あれ、あの人のことでない?あの部分私のことかも?って疑心暗鬼が首をもたげやすいんだ。僕としては、書くモノが他人のプライバシーを侵したり、他人に嫌な思いをさせるってのは絶対したくない。だから、いかに身近な人たちから離れるか、苦心した。これが作りにくい一番の理由だ。

 そうなると、どうも、一般論に落ち着きやすい。これをどう超えるか?あくまで、2時間の舞台を緊張感で貫きつつ、彼女たちの抱えている問題をしっかりと忍び込ませる。抽象論や論文にならず、人の体温や息づかいを残す。難しい!ほんと、難しい!

 で、のたうち回って、たどり着いた結論は、いろんな人が自分の立ち位置から、アジアからの嫁について語るという形。そう、十一人の一人語りをつないで、ストーリーが展開する。

 冒険だ!果たしてこんなもん、お客さんが我慢して見てくれるんだろうか?お客さんに生き生きとしたイメージを喚起することできるんだろうか?だって、5分~10分、客席に向かって自分の境遇を語り続けるだけなんだから。それが次々と引き継がれていくだけ。それも、たどたどしい日本語で。それで2時間!やれやれ。

 役者の力量におんぶにだっこの脚本だな、どうみたって。でも、これを裏返せば、役者が技量を高める絶好の機会だってことだ。期せずして役者同士の競争のようにもなって来ているから、これはなかなか面白いかも知れない。日本人しか演じない男優陣には、一人二役ってハードルを設けた。中国人や韓国人やフィリピン人演じる女優陣とバランス取るためにね。

 この劇で唯一、気楽なのは、稽古に人が集まらなくてもかまわないってことかな。各自ばらぱらにしっかり稽古してくれていれば、それでいい。からみなんて一切ないから。みんな、しっかりねぇぇ!

 って具合で、明日ものんびり稽古に出かけることにしよう。

 

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