9月28日読売新聞に、『LEC大 再び改善要請』という記事が出ていた。
それによると、資格試験予備校とほぼ同じ授業を行っていたなどとして改善勧告を受けた「LEC東京リーガルマインド大学」に対し、文部科学省は28日にも授業や組織体制について再び改善を求める「留意事項」を通知するとのことだった。
改善すべき事項は11項目もあり、文部科学省によれば、「勧告後も、大学のあるべき姿としては程遠い状態」だそうだ。文部科学省のウェブサイトで留意事項を探してみた。
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設置計画履行状況調査に基づく留意事項について(通知)
(19文科高第399号・平成19年9月28日)
株式会社東京リーガルマインド
代表取締役社長 反町 勝夫 殿
文部科学大臣
渡海 紀三朗
LEC東京リーガルマインド大学については,設置計画履行状況調査に基づき,適切な大学運営や設置計画の履行の上で改善を図るべき事項が認められるので,別紙のとおり留意事項として通知する。
この留意事項に沿って講じた措置について,平成20年4月30日までに書面にて報告されたい。
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○対象大学等
LEC東京リーガルマインド大学
総合キャリア学部 総合キャリア学科
総合キャリア学部 総合キャリア学科(通信教育課程)
高度専門職研究科 会計専門職専攻(専門職学位課程)
○留意事項
本年1月の勧告を踏まえたその後の取組により,大学と資格試験予備校とが多くの部分で事実上同一化した形態で運営されていた問題は改善されたと考えられる。また,専任教員及びビデオ授業に関する大学設置基準に違反している状態もその後の改善により解消したと考えられる。しかしながら,学術の中心として,深く真理を探究し,専門の学芸を教授研究することを本旨とする大学として,自主的・自律的な教育研究活動を継続的に行う体制が十分に確立されているか,なお懸念される。認可時などの留意事項や勧告事項を踏まえつつ改善を図るとともに,引き続き大学運営全般にわたってその改善に努めること。
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ここまでが文部科学大臣名で出された公文書。以下のような分類でカッコは留意事項の数だった。
1.教育課程について(1)
2.教員組織について(4)
3.同時配信双方向授業について(3)
4.履修指導・情報提供について(1)
5.施設・設備について(1)
6.学生募集を停止するキャンパスについて(1)
読売によれば、1月の勧告後、文部科学省は全国にある14キャンパスを調査した。法令違反状態は解消されていたものの、複数のキャンパスで、教室を間仕切りで三つに区切り、一つの教室で三つの授業を同時に行っていることが判明したようだ。これは同時配信双方向授業(遠隔授業)のことだろう。また、大阪キャンパスには専任教員が一人もいななかったようだ。
大学は企業と違って、一度「営業」を初め学生を入学させてしまうと、卒業までは存続することが前提になる。営業不振で閉鎖とか、移転とかは事実上できない。民間企業ほど機動性はないのが普通の状態である。ダメならやめればと言うことは許されない。学校教育法や大学設置基準に特段の定めがなくても、それが、当然のことなのだ。この大学の設置法人は、大学を作ることなどせず、そのまま資格の予備校の運営会社の方がよかったと思う。構造改革特区で、小泉改革にのったのはいいが、踊らされたとも言えると思う。初めから、何か間違えていたのではないだろうか。
前回のエントリ
2007.01.26、「LEC大学」