全英連参加者のブログ

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40人学級見直し。

2010-01-21 05:24:01 | 教師の仕事 2009

 「土曜日授業」(2010.01.18)のことと同じ14日に、学級規模のニュースが配信になった。

 文科省は14日、1学級40人としている公立小中学校の学級編成基準の見直しに向けた準備作業に着手。早ければ2011年の通常国会に関連法案を提出、数年かけて新基準に基づく少人数学級の実現を目指す。見直しは1980年以来約30年ぶり。

 記事を読むとこれまでの経緯がまとまっていた。
 1958年制定の「義務教育標準法」で1学級当たり50人が「標準」とされた。
 1964年に45人に変更。1980年に40人と段階的に引き下げられた。
 2001年度からは都道府県教育委員会の裁量で弾力的な学級編成が可能なった。40人以下の学級を編成できるようになっているが、大半は小学校低学年などだけである。

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 民主党政権が続くかどうかもわからないのだけど、どうなるかな。
 学級規模を小さくする。どこが適正な数字かは判断が難しい。いわゆる先進国では、20人~30人未満の場合が多いように思う。ただ国情、国民性いろいろ考えなければいけない。どこを目標にするか。なぜその数字かを考えることは大事である。仮に25人にするとしても、一足飛びにはできない。段階的に定数を30、35とかに決めないことには、そこまでの人事計画が作れない。いきなり学級規模を削減はできない。
 クラス規模を小さくすることは、とりもなおさず少人数できめ細かく授業を行うことに通じる。授業以外のHR活動等の規模も、当然小さくなる。これは先生の数を増やすこととほぼイコールである。必要な先生をどう確保するか。免許無しで民間人登用とか言ったところで、管理職になりたいという(熱心な or 勘違いな)人以外、そんなに先生になりたい人間なんかいない。ちょっと景気がよくなったら、公務員(特に学校の先生)なんて、就職先としては見向きもされないとまでは言わないけど、人気は落ちる。そんなにいるわけがない。
 40人規模を適正としている現在の状況から、仮に30人にすれば、先生の数(授業担当の数)3割り増し。半分にしたら、2倍必要なのだ。そんなに先生を養成・確保することはできない。まして民主党は、教員養成を6年間教育(学部+大学院)を基本とするつもりなのだから、ますます先生が作りにくくなる。
 昨今の医師不足(医師の都市部偏在)を是正するために、大学医学部の入学定員をちょっとばっかり増やしても、結果が出るのは下手をすれば10年かかるのである。先生の数を増やすには、そこまでの年月はかからなくても、かなり時間がかかる。さらに幼稚園(幼稚園は学校であり、先生は教諭である。法律上小中高と同じだ。)の先生も6年間とか言い出したら、現状ではとてもじゃないけど養成できる学校はない。なり手が確保できない。
 法曹三職(弁護士・検事・裁判官)養成のため、学部+法科大学院で最低6年間の学習がなければ、司法試験を受験することができなくなった法務学系。薬学系学部卒業生の6割程度しか薬剤師になっていなかったのに、薬剤師養成を6年生の学部教育にした薬学系。いずれも数年で人気ががた落ちである。やはり大学を出て採用、日常の業務の中でも研修・研鑽を積みながら成長していく方が現実的。教員養成はこれらの轍をふむことは絶対許されない。民主党の政策は才走りの傾向があり、教員養成と学級定員の問題では、両者は車の両輪のはずだけど、車輪の向きが向かう方向がバラバラである。
 40人学級の見直し(学級定員の見直し)は、教員養成の観点から見ても、容易なこっちゃないのである。

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