6月29日
沖縄振興策の一環として構想されている鉄道敷設計画。内閣府沖縄担当部局が2010年度に実施した、沖縄への鉄軌道・新公共交通システムの導入可能性調査の結果概要が、28日明らかになった。沖縄タイムスウェブサイトで、銘苅一哲記者の記事を読むことができた。それによれば、ルートは、
「糸満市~名護市」
「宜野湾市~名護市」
この二つを仮定ルートに設定し、1日当たりの利用者を算定したものだという。電車など鉄道系の場合、9万人から15万人。次世代路面電車(LRT)など路面系の場合は5万人~9万人という数字が出たようだ。
・・・多いのか、少ないのか。幅が大きいなあ。
内閣府は2011年度はルートや総事業費、採算性などを調査し、’10年度調査結果と合わせて具体的検討のたたき台にする。
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調査では二つの仮定ルートを設定し利用者数を予測。県内全体の交通円滑化に視点を置いた路線を仮定モデルルートとし、糸満市~那覇市~うるま市~名護市と人口集積が高い地域を南北に結んだ。
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観光振興を考慮し、宿泊施設の多い西海岸を通るルート代替案とし、モデルルートの中部部分を宜野湾市~北谷町~嘉手納町~読谷村~名護市とした案でも利用者数を算定。
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鉄道系の仮定ルートの1日当たりの利用者は11.5万人で、支線3本を合わせると14.9万人。代替案は9.2万人。
支線
名護市~本部町
南風原町~八重瀬町
与那原町~南城市
支線...どうつなげるのかな。
後追い記事を待つことにした。
6月30日
琉球新報も、調査について取りあげた。それによれば、鉄道では那覇~うるまで安定した需要が見込める。路面系も那覇、沖縄、うるまの各都市圏内で一定の需要が見込めるとあった。
需要が最も多いのは県庁周辺で、鉄道で1日当たり19万人、路面で11万人。
・・・だろうね。観光客も多い。
南部地域は中部地域よりも需要度は落ちる。しかし、潜在需要は大きいことから、導入により交通分布が変化すれば需要増の可能性がある。
北部地域は、日常需要は低いが観光需要は高いため、長距離の速達機能と名護市内の近距離移動での機能分離が必要。
糸満~名護間で人口集積度の高い沖縄市やうるま市を通るルートA(これが沖縄タイムス記事の仮定ルート)と、観光需要を想定し北谷町や恩納村を通るルートB(同じく代替案)の2路線を設定。
ルートAには本部、南城、八重瀬につながる支線3本も設定した。
算出方法がわかった。こう書いてあった。
『これら路線を鉄道と路面系それぞれの需要を調べた。
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同じルートを鉄道系と路面系でどうなるか算定しているようだ。
・・・なんだか違う気がする。
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琉球新報の記事にある、ルートAでもBでも、この距離をLRTで敷設するのは厳しいだろう。
どちらのルートにしても、糸満~那覇~宜野湾の次を、
ルートA 北中城~沖縄~うるま~金武~名護
ルートB 北谷~嘉手納~読谷~恩納~名護
に設定しても、全線は敷設はムリなのではないか。ルートAは何となく沖縄高速道路、ルートBは,返還された場合の基地や、国道58号線を通る。全線敷設にしても一部敷設にしても、まず間違いなくLRTの距離ではない。ここは鉄道である。調査の内容を記事がまとめているが、
鉄道では、那覇~うるま周辺では比較的多くの需要が見込める。
・・・ここまでが鉄道である。観光客よりも、地元の人に有益だろう。
うるま以北、特に北部方面の需要減少は大きかった。
・・・鉄道もLRTも厳しいのではないか。
路面系は、那覇~宜野湾で最も需要が高く、次いで那覇以南、沖縄~うるまなど近距離の需要が高い。
・・・都市間交通はLRTの得意技かもしれない。
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実情から考えると、那覇~うるまは鉄道。那覇~糸満、八重瀬、与那原は需要予測を勘案して、作るならばLRTではないかと思う。
個人的にはルートBが観光振興にはいいと思う。ただ、鉄道を敷設するのはムリだろう。ルートAもうるままでが限界である。上にも書いたことだが、地元の振興を考えるとルートA一部敷設ではないかと思う。
観光振興を考えるとルートBである。もしも敷設するならば宜野湾から国道58号線沿いにLRTを、観光路線として敷設するのが現実的かもしれない。バッテリー利用車両もできているので、路線を敷設することがあと20年もすれば、現在よりはしやすくなっているはずだ。
また、名護~本部路線については、調査でも日常需要はほとんど見込めないとなっており、現実問題として敷設は鉄道もLRTも厳しいと思う。
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現状では仮想鉄道域を出ない沖縄の鉄道。どうなるか見届けたい。