学園長が1482万円の不適切支出
西武文理、辞任届(9月4日)
TV、新聞各紙の報じるところによれば、埼玉県で西武学園文理小学校等を運営する学校法人「文理佐藤学園」は4日、学園長や小学校長を務める佐藤仁美氏(44)が2012~'15年に計9回の海外出張をした際、総額約1482万円の不適切な支出があったと明らかにした。
仁美氏は同日、すべての役職の辞任届を提出した。
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記者会見にご当人は登場せず、学園創立者の父親が出てくる。
・・・何やら、どこぞの国の航空会社と同じに見える。
4年間で9回、少なく見ても1482万円が不適切。観劇、宝飾品、ディズニーランド、カジノなどという単語が聞こえてくる。
・・・金額は1600万円という報道もある。
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学校運営者の責任者は、一般教職員とは異なる。責任の重さ、備えるべき教養、素養、経験も違う。それは認める。私立は公立とは違う。それも認める。かなり大目に見てもそこまで。カジノは学校教育に関係ないだろう。
この人は「学園長」である。通常このような名称の職は、複数の私立学校の教学部門(学校そのもの)の”The 責任者”である。個々の学校の校長より、「偉く」「責任がより重い」はずだ。
私立学校のことだが、これは看過できない。大学を設置する学校法人の監督庁は文部科学省である。「文理佐藤学園」には「補助金」という公金・国費が投入されているのではないか。学校経営に民間参入を認めた唯一の制度として確立してきた『学校法人制度』という言い方がある。中途半端なことは許されない。
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この学校法人ウェブサイトに公開されている、『平成26年度財務情報公開資料』に『法人の概要』が掲出されている。
5)理事会・評議員会及び役員・評議員の概要
『役員の定数、実数について』によれば、この学校法人は、理事7、監事2が定数。理事は常勤理事2、非常勤理事5。理事長・常務理事が常勤、その他の理事5が非常勤で外部理事。常勤監事0、非常勤監事2で、外部監事である。任期はいずれも4年。
理事長佐藤英樹氏・常務理事佐藤富美子氏である。
昨年度の理事会の開催は定例理事会が4回。
『評議員の定数、実数について』によれば、評議員の定数は15、常勤10、非常勤5である。外部の評議員は4。仁美氏は評議員会議長で学園長・小学校校長とある。昨年度の評議員会の開催は4回。なお、評議員会とは、私立学校法(下記)に定められた組織である。
第42条 次に掲げる事項については、理事長において、あらかじめ、評議員会の意見を聞かなければならない。
一 予算、借入金(当該会計年度内の収入をもつて償還する一時の借入金を除く。)及び重要な資産の処分に関する事項
二 事業計画
三 寄附行為の変更
四 合併
五 第五十条第一項第一号(評議員会の議決を要する場合を除く。)及び第三号に掲げる事由による解散
六 収益を目的とする事業に関する重要事項
七 その他学校法人の業務に関する重要事項で寄附行為をもつて定めるもの
2 前項各号に掲げる事項は、寄附行為をもつて評議員会の議決を要するもの とすることができる。
仁美氏は理事でこそないが、上記評議員会の代表者である。
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雑感...
「不適切な支出」と「使い込み」はイコールかどうか、法律的なことはわからないが、よろしくないことは間違いない。
報道で理事長の佐藤英樹氏を「(学園の)創業者」とするものをいくつか見つけた。創立者、創始者ではない。私立学校であるから、経営面のことを考えれば、「創業」でもいいのかもしれない。それでも「創業」には違和感を覚えた。
よく、企業統制という文脈で『「外部人材」を多く、、、、』ということを聞く。この学校法人は理事会の過半数以上が外部理事である。でも、少なくともこの「不適切な支出」への監督、統制は効かなかった。仕組みには実質的なパワー(権限、執行力)が不足していたことになるかもしれない。
前記資料によれば、本年5月1日現在、この学校法人は小中高、専門学校、大学と全部で8校を運営している。そこで学ぶ児童生徒学生数は4353人。教職員も566人(本務263、兼務303)が勤務している。きちんとしないと、まずいと思う。
なお、報道によれば仁美氏は辞任である。解任、解職ではない。