全英連参加者のブログ

全英連参加者の、言葉やその他諸々についての雑感... 不定期更新です。

なんですか、これは?

2015-09-06 09:30:00 | 気になる 学校の問題

 学園長が1482万円の不適切支出
 西武文理、辞任届(9月4日)

 TV、新聞各紙の報じるところによれば、埼玉県で西武学園文理小学校等を運営する学校法人「文理佐藤学園」は4日、学園長や小学校長を務める佐藤仁美氏(44)が2012~'15年に計9回の海外出張をした際、総額約1482万円の不適切な支出があったと明らかにした。
 仁美氏は同日、すべての役職の辞任届を提出した。

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 記者会見にご当人は登場せず、学園創立者の父親が出てくる。
 ・・・何やら、どこぞの国の航空会社と同じに見える。
 4年間で9回、少なく見ても1482万円が不適切。観劇、宝飾品、ディズニーランド、カジノなどという単語が聞こえてくる。
 ・・・金額は1600万円という報道もある。

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 学校運営者の責任者は、一般教職員とは異なる。責任の重さ、備えるべき教養、素養、経験も違う。それは認める。私立は公立とは違う。それも認める。かなり大目に見てもそこまで。カジノは学校教育に関係ないだろう。
 この人は「学園長」である。通常このような名称の職は、複数の私立学校の教学部門(学校そのもの)の”The 責任者”である。個々の学校の校長より、「偉く」「責任がより重い」はずだ。
 私立学校のことだが、これは看過できない。大学を設置する学校法人の監督庁は文部科学省である。「文理佐藤学園」には「補助金」という公金・国費が投入されているのではないか。学校経営に民間参入を認めた唯一の制度として確立してきた『学校法人制度』という言い方がある。中途半端なことは許されない。

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 この学校法人ウェブサイトに公開されている、『平成26年度財務情報公開資料』に『法人の概要』が掲出されている。
 5)理事会・評議員会及び役員・評議員の概要
 『役員の定数、実数について』によれば、この学校法人は、理事7、監事2が定数。理事は常勤理事2、非常勤理事5。理事長・常務理事が常勤、その他の理事5が非常勤で外部理事。常勤監事0、非常勤監事2で、外部監事である。任期はいずれも4年。
 理事長佐藤英樹氏・常務理事佐藤富美子氏である。
 昨年度の理事会の開催は定例理事会が4回。

 『評議員の定数、実数について』によれば、評議員の定数は15、常勤10、非常勤5である。外部の評議員は4。仁美氏は評議員会議長で学園長・小学校校長とある。昨年度の評議員会の開催は4回。なお、評議員会とは、私立学校法(下記)に定められた組織である。


第42条 次に掲げる事項については、理事長において、あらかじめ、評議員会の意見を聞かなければならない。
 一 予算、借入金(当該会計年度内の収入をもつて償還する一時の借入金を除く。)及び重要な資産の処分に関する事項
 二 事業計画
 三 寄附行為の変更
 四 合併
 五 第五十条第一項第一号(評議員会の議決を要する場合を除く。)及び第三号に掲げる事由による解散
 六 収益を目的とする事業に関する重要事項
 七 その他学校法人の業務に関する重要事項で寄附行為をもつて定めるもの
2 前項各号に掲げる事項は、寄附行為をもつて評議員会の議決を要するもの とすることができる。


 仁美氏は理事でこそないが、上記評議員会の代表者である。

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 雑感...

 「不適切な支出」と「使い込み」はイコールかどうか、法律的なことはわからないが、よろしくないことは間違いない。
 報道で理事長の佐藤英樹氏を「(学園の)創業者」とするものをいくつか見つけた。創立者、創始者ではない。私立学校であるから、経営面のことを考えれば、「創業」でもいいのかもしれない。それでも「創業」には違和感を覚えた。
 よく、企業統制という文脈で『「外部人材」を多く、、、、』ということを聞く。この学校法人は理事会の過半数以上が外部理事である。でも、少なくともこの「不適切な支出」への監督、統制は効かなかった。仕組みには実質的なパワー(権限、執行力)が不足していたことになるかもしれない。
 前記資料によれば、本年5月1日現在、この学校法人は小中高、専門学校、大学と全部で8校を運営している。そこで学ぶ児童生徒学生数は4353人。教職員も566人(本務263、兼務303)が勤務している。きちんとしないと、まずいと思う。
 なお、報道によれば仁美氏は辞任である。解任、解職ではない。


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設置者変更

2015-09-06 04:00:00 | 気になる 大学研究

 立志舘大学
 2000年4月に広島安芸女子大学として開校。
 2003年3月に一度も卒業生を出さずに廃校。廃校時点で在籍していた学生は呉大学(2009年4月より広島文化学園大学に名称変更)へ。

 萩国際大学
 1999年4月に萩国際大学として開校。
 2007年4月に山口福祉文化大学に改称。
 2014年4月に至誠館大学に改称。

 立志舘大学、萩国際大学とも、運営法人が変わったケース。名称変更などを伴い、大学が存続したかたちになっている。

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 昨年4月に取り上げた神戸夙川学院大学(観光文化学部観光文化学科を設置した単科大学)の場合は、2014年4月に次年度からの学生募集停止を発表。在学生・教育資産は、’15年4月に神戸山手大学現代社会学部観光文化学科に継承された。神戸山手大学が現代社会学部に観光文化学科を新設、夙川学院の在学生、教育資産が『転籍・移管』したことになる。
 8月に毎日・朝日新聞が報じた、プール学院大学の教育学部教育学科(’14年設置)の桃山学院大学への継承も、もしも実現された場合、神戸夙川学院大→神戸山手大学と同様な動きになるだろう。これらふたつが、立志舘大や萩国際大のケースと違うのは、経営が破綻状態ではないこと。神戸夙川大学とプール学院大学の設置法人には、それぞれ短期大学、系列教育機関(幼稚園・中高)が残る。大学だけ切り分けたことになる。

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 8月末に文科省ウェブサイトに掲出された、『私立大学等の設置者変更認可予定一覧』において、大学の設置者変更が三つあった。以下の3件である。
 ①いわき明星大学(福島県いわき市)
 学校法人明星学苑→学校法人いわき明星大学

 ②岩手看護短期大学(岩手県滝沢市)
 学校法人岩手女子奨学会→学校人岩手医科大学
 学校法人岩手女子奨学会は短期大学の設置者変更により、文部科学大臣所轄から知事所轄の学校法人となる。*

 ③東京経営短期大学
 学校法人村田学園→学校法人創志学園
 学校法人村田学園は短期大学の設置者変更により、文部科学大臣所轄から知事所轄の学校法人となる。*

 ①いわき明星大学は法人を切り分けたことになる。
 ②岩手女子奨学会は岩手女子高等学校の設置者。同校は普通科、看護科、福祉教養科の設置高校。
 学校法人岩手医科大学は医歯薬3学部を擁する医学系大学。医歯薬すべて博士課程まである。
 ③村田女子高等学校、村田中学校の設置者。関東地方の人ならば、村田と言えば村田簿記学校の印象が強いが、同簿記学校は平成18年に休校している。
 学校法人創志学園は近年規模を拡大している学校グループ。環太平洋大学、創志学園高等学校等の運営法人である。

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 ②③で*のようなことがおこるのは、下記私立学校法の規定による。


私立学校法
昭和二十四年十二月十五日法律第二百七十号
最終改正:
平成二六年六月一三日法律第六九号

(所轄庁)
第四条 この法律中「所轄庁」とあるのは、第一号、第三号及び第五号に掲げるものにあつては文部科学大臣とし、第二号及び第四号に掲げるものにあつては都道府県知事(第二号に掲げるもののうち地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市又は同法第二百五十二条の二十二第一項の中核市(以下この条において「指定都市等」という。)の区域内の幼保連携型認定こども園にあつては、当該指定都市等の長)とする。
一 私立大学及び私立高等専門学校
二 前号に掲げる私立学校以外の私立学校並びに私立専修学校及び私立各種学校
三 第一号に掲げる私立学校を設置する学校法人
四 第二号に掲げる私立学校を設置する学校法人及び第六十四条第四項の法人
五 第一号に掲げる私立学校と第二号に掲げる私立学校、私立専修学校又は私立各種学校とを併せて設置する学校法人

学校教育法
昭和二十二年三月三十一日法律第二十六号
最終改正:
平成二七年六月二六日法律第五〇号

第百九条 大学は、その教育研究水準の向上に資するため、文部科学大臣の定めるところにより、当該大学の教育及び研究、組織及び運営並びに施設及び設備(次項において「教育研究等」という。)の状況について自ら点検及び評価を行い、その結果を公表するものとする。
○2 大学は、前項の措置に加え、当該大学の教育研究等の総合的な状況について、政令で定める期間ごとに、文部科学大臣の認証を受けた者(以下「認証評価機関」という。)による評価(以下「認証評価」という。)を受けるものとする。ただし、認証評価機関が存在しない場合その他特別の事由がある場合であつて、文部科学大臣の定める措置を講じているときは、この限りでない。
○3 専門職大学院を置く大学にあつては、前項に規定するもののほか、当該専門職大学院の設置の目的に照らし、当該専門職大学院の教育課程、教員組織その他教育研究活動の状況について、政令で定める期間ごとに、認証評価を受けるものとする。ただし、当該専門職大学院の課程に係る分野について認証評価を行う認証評価機関が存在しない場合その他特別の事由がある場合であつて、文部科学大臣の定める措置を講じているときは、この限りでない。
○4 前二項の認証評価は、大学からの求めにより、大学評価基準(前二項の認証評価を行うために認証評価機関が定める基準をいう。次条において同じ。)に従つて行うものとする。


 学校教育法施行令によれば、制令で定める期間とは、大学の認証評価は7年以内(7年に1回)、専門職大学院の認証評価は5年以内(5年に1回)である。上記3学校法人はこの実務がなくなることになる。


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