新・遊歩道

日常の中で気づいたこと、感じたこと、心を打ったこと、旅の記録などを写真入りで書く日記です。

両国へ、六本木へ

2016年03月19日 | 美術館&博物館

訪れるのは初めての江戸東京博物館へ。両国の懐かしーいにおいのするこの場所で「レオナルド・ダ・ヴィンチ」展が開催されています。
目玉は傑作《糸巻きの聖母》。現存15点にも満たないというダ・ヴィンチ絵画の中の1点が来日とあっては、その絵の前は60分待ちの行列。それでもみんな辛抱強く待ちます。

この絵の来歴がテレビで放映されていました。18世紀後半に英国貴族バクルー公爵が所有することになったいきさつ、盗難にあい4年も行方不明になり2007年に発見されたことなどです。数奇な運命が余計に興味を惹きつけます。

直筆ノートや素描も展示されていましたが、かなり前に森アーツセンターギャラリーでダ・ヴィンチの遺稿展を見たことがあったので、ここはさらりとスル―。なんせ2重3重の人垣です。

レオナルデスキ、つまりダ・ヴィンチを慕い多くの影響を受けた弟子たちのことをこう呼ぶそうですが、彼らの模写がたくさん出ていました。「単品」で見ればいいのかもしれませんが、模写となるとその差はあまりにも歴然としていて、ここもさらりとスルー。「糸巻きの聖母」が目的だったのでそれは果たせました

びっくりポンなのは、この日が月一のシルバーデーという事で観覧料が無料だったこと!東京都は太っ腹!そのせいかシルバー層の波、波、波。情報がよく行きわたっています。シニア層も意欲的で顔が輝いていました。

博物館と銘打ってるだけあって、上層階のフロアが面白い ! 徳川家康が江戸に来てからの歴史や、明治以降の歴史・風俗・文化が実に丁寧な模型や復元建築で楽しませてくれます。ここなら一日費やしても惜しくはない感じです。
 
 

7階の和食処桜茶寮は、ここも時間待ち。また辛抱強く待ちます。本当は国技館の近くで名物のちゃんこ鍋を食べたかったのですが実現しませんでした。

両国国技館の前で。ちょうど大阪場所の真っ最中で閉館していましたが、建物の一角に相撲博物館がありそこだけのぞいてきました。
相撲は特に興味があるわけではなかったけど、地元の琴奨菊が優勝して以来面白くなってきました。売店には各力士のグッズも並んでいました。今相撲人気が高まり、毎日盛り上がっているようですね。

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六本木・森アーツセンターギャラリー 「フェルメールとレンブラント」展 
大江戸線六本木で降りると、行きかう人はもう若い人ばっかり。美術館のある六本木ヒルズ森タワー52Fは、両国の美術館とは大違いで私たちが「浮いて」見えるほど平均年齢が低い美術館でした。(´゜Д゜`;) 夜8時まで開館というのも若いひとの街らしいです。


チラシのタイトルは2代巨匠展のようになっていますが、展示作品ははそれぞれ1点ずつ。フェルメールの《水差しを持つ女》も、レンブラントの《ベローナ》もメトロポリタン美術館で見ていましたが、今回は解説付きで面白く見ました。。
解説があると何倍も絵が楽しめます。絵は見るもので解説を読む必要はないという意見もありますが、イメージを膨らませて自分の世界に浸る醍醐味は何とも言えません。

17世紀のオランダは世界史的にも黄金時代。そのまっただ中で活躍した画家たちの風景画、建築画、海洋画、生物画、肖像画、風俗画から人々の生活や文化を偲ぶことが出来ます。

(写真は@vermeer20152016さんのツイートからお借りしました)

上記の絵の前からなかなか去ることが出来なかった肖像画2点です。今まで知らなかったイサーク・リュティックハイスという画家の作品で、清楚な表情や優雅なたたずまいはもとより、大きな白いカラーの織地模様の描き方に見入ってしまいました。透かしたレース模様はよく見ますが、地模様の繊細な表現に、人の手でここまで描けるのかと信じられない思いでした。新しい発見は嬉しいものです。



都会のまっただ中らしく夜8時までオープンしている高層階の美術館はゆっくり回ることができ、ちょっと優雅な気分に浸れました。
オリンピックに向けて地上も地下も工事が進んでいますが、そんな無粋な工事現場も夜の闇がすっぽり包み込んでいました。52階という高さからの夜景は美しいものでした。
                                 (3月16日 東京2日目)

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ボッティチェリ 『美しきシモネッタの肖像』

2016年03月19日 | 美術館&博物館



『美しきシモネッタの肖像』。この美しい肖像に目が釘づけになったのは20年ほど前、画集の中。それはボッティチェリの解説にでてくるおとぎ話のように晴れやかな舞台の中でした。メディチ家の若武者ジュリアーノが馬上槍試合に勝利し、その頭上に勝利の冠を授けたのがフィレンツェ随一の美の女王シモネッタでした。二人は恋人同士でもあったのです。
メディチ家のフィレンツェは、まさに我が世の春の時代でした。その後ジュリアーノは暗殺され、シモネッタも病死・・・。
その絵を所蔵しているのが丸紅株式会社だと知ったのはずっとのちになってからのことです。
今、東京都美術館で「ボッティチェリ展」が開催中で、この絵も展示されていることはテレビで知っていました。

そんなある日、確定申告を終えた夫がその帰りに立ち寄った福岡市博物館で各地の展覧会のポスターを見て心を弾ませて帰ってきました。「ボッティチェリ展」と江戸東京博物館「レオナルド・ダ・ヴィンチ」展、森アーツセンター「フェルメールとレンブラント」展が時期を同じくして開催されているという情報でした。

ちょうど夫の誕生日に合わせて南阿蘇の温泉にでもと計画を立てていたので、東京に変更しようとあっさりと決まりました。そしてめでたくずーっと待ち望んでいたシモネッタの肖像に会いに行くことが出来たのです。

東京都美術館「ボッティチェリ展」 4月3日まで 



『ラ・プリマベーラ』も『ヴィーナスの誕生』も現地で2度見てはいましたが、今回は彼の絵につながる前の画家たち、芸術家としてのボッティチェリ、彼の弟子の時代、メディチ家の興亡、サヴォナローラの出現、と実に分かりやすい流れで展示されていてゆっくり回ることが出来ました。
時折り、辻邦生『春の戴冠』を思い起こしながら、こういう形でボッティチェリに接することが出来たのは夢のようでした。

国立西洋美術館「カラヴァッジョ展」  6月12日まで



カラヴァッジョと言えば、頭に花を飾った中性的な「バッカス」がまず頭に浮かびますが、彼の劇的な人生と合わせて五感、風俗、光、斬首とテーマごとの絵の展示となっており、実に内容の濃い展示がなされていました。
死の直前まで明と暗のドラマティックな人生を送り、それが深く影響を与えたのか色彩も人物の表情も深まっていくのがわかります。晩年の数年前の《エマオの晩餐》は胸に迫るものがありました。

彼が後世にいかに多くの影響を与えたか、継承者という意味の「カラヴァジェスキ」という言葉もあるほどです。カラバッジョに魅せられた画家たちはその画法を発展、波及させていきました。ろうそくの光に照らし出された神秘的な絵を描くあのジョルジュ・ド・ラ・トゥールもその一人です。

現存の真筆が少ないカラヴァッジョの絵が一堂にこれだけ集まることはなかなかありません。今迄知らなかったカラヴァッジョの多面性に触れられた印象的な展覧会でした。

宿は5つの美術館にアクセスの良い ホテルメトロポリタンエドモントに2泊。ポーチのシンプルな鉢植えとロビーの片隅のインテリアが私好みで、部屋に入る前から気に入りました。
 

ホテルのディナーブッフェのメニューは豊富でワインもおいしかったし、シニア割引がありラッキーでした。                       (3月15日 東京1日目)

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