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<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
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柿パフェはよく熟した吉野の富有柿がたっぷりとデコレーションされていた。
何年か前から流行しているマンゴーパフェの柿版といった趣だが、そのテイストは間違いなく和風なのであった。
ボリュームもたっぷりとある。
文句なし。
柿のパフェそのものが珍しい。
そのことに加え、考えてみれば今どきその季節にならないと食べるのことのできない果物としての柿の存在感が大きいこと。
それをつくづくと感じたのであった。

そして最も好奇心が注がれた「柿プリン」。
柿でつくたプリンとはいったいどういうものであるのか。
私もカミさんも大いに期待していたのだ。
そこに登場したのは一般的なプリンとはイメージの違う純和風のデザートなのであった。
和盆に載せられた漆塗りの枡。
プリンはその枡に入っていて色は深い熟柿色。
その上に生クリームが小さくデコレーションされている。
そして小皿に添えられた干し柿もなかなか。
プリンを木のスプーンでそっとすくい上げて口に含む。
舌触りはプリンだが風味は子供の頃に従兄弟につれられ柿山に行ってその場でもいで食べた熟柿にそっくりなのであった。
懐かしい。
でも新しい。
この季節でないと楽しめない嬉しい味。
なんという贅沢であろうか。

子供の頃、奈良というのは食べ物が美味くないところだと思っていたことがある。
たぶん奈良は宿泊することもなく行って戻ってくるだけの観光地だったせいなのかもしれない。
いや、子供の私には観光地というよりも大仏さん、鹿、鹿せんべいで完結していしまうようなところだったのだろう。
それがやがて「だんご庄」の団子に衝撃を受け、「菊屋」の御城之口餅にパンチをくらい、三輪そうめんの繊細さ、東吉野のキノコ料理に感動をし極めつけは「今西酒造」のみむろ杉で日本酒の源流を見つけたような感動を受けたのであった。。
考えてみなくても奈良は日本文化の生まれた特別なエリアでもある。
今回の柿プリンは明らかに新しいデザートなのだろうが、この新しさのベースには確固たる文化がしっかりとあるんだなと改めて感じさせるものがあった。

つづく






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