萬文習作帖

山の青年医師の物語+警視庁山岳救助隊員ミステリー(陽はまた昇る宮田と湯原その後)ほか小説×写真×文学閑話

閑話書覧:時の旅人

2014-06-16 13:00:00 | 文学閑話散文系
想いのDNA



閑話書覧:時の旅人

夏休みっぽい空になってきましたけど、
夏季休暇=読書感想文とかミニ論文とか小学校から大学生はあるかな思いますが、
世代年齢問わずな本を昼の気分転換がてら挙げてみます↓イギリス児童文学ですが、

Alison Uttley『A traveler in time』

アリソン・アトリー『時の旅人』って邦題で岩波他から出ています。
大人でも子供でも面白い本はって訊かれるとコレ挙げますが、シビアなファンタジー小説です。

著者はケンブリッジ大学で物理学を学んだ人で生活のため小説を書き始めたっていうちょっと変わった経歴、
イギリスの田園風景を描くことが彼女の個性で、たしか100以上の作品を遺しています。
そんな中で後のファンタジー文学の基礎になったと言われるのが『時の旅人』です。

農場にある屋敷で静養中の少女が、その土地の過去と往来するようになる。
そこに住んでいた人々に彼女は出逢い、憧憬や家族的な想い、そして恋愛感情も見つめます。
いわゆるタイムスリップと言うよりも過去の記憶に受容れられ歩く、そんな温かさがあります。

でも行先は16世紀、イギリス王室の動乱が起きた時代です。
その動乱が過去の住人たちを呑みこんでゆく姿を彼女は目撃し、けれど何も出来ない。
そんな無力感と、それでも出逢った意味を問いかけ反芻しようとする彼女の目線は静かで逞しくて清明です。



Though nothing can bring back the hour
Of splendor in the grass, of glory in the flower,
We will grieve not, rather find
Strength in what remains behind;
In the primal sympathy
Which having been must ever be;
In the soothing thoughts that spring
Out of human suffering;
In the faith that looks through death,
In years that bring the philosophic mind.

時ひとつ戻せない、
草の光一滴も、花の誇らかな輝きも、
でも哀しみ沈まなくていい、見つけられる
後に残れるものは逞しくあり、
芽生えさせる共鳴にあり
どこにも永久に在り続けるべきもの、
春あふれだす柔らかな眼差しは
人の苦しみの時からこそ顕われる、
運命の涯を見つめる約束に、
理知の精神を歳月たちが連れてくる。

William Wordsworth「Intimations of Immortality from Recollections of Early Childhood」の一節です、

この詩文と『時の旅人』は描かれる主題が似ています。
もう終わってしまった事件、死んでしまった人々、消えた想い、けれど彼女の中に生きている。
過去でめぐり逢った人々と彼女は先祖と末裔として血縁に繋がれています、その遺されたDNAが屋敷の記憶を謳い読みあげて想いすら繋げた。
そんな不思議な物語は上述の詩題「幼少期の永遠の記憶の予知」そのまんまってくらい嵌まる「永遠の記憶の予知」過去から明日への永続性です。

ワーズワスもアトリーもいわゆる田園文学が個性ですが、
自然をベースに世界を組み上げ創作していた二人の共通項は、韻文と散文のジャンル違いでも似ています。
花や草、森や草原から詩情ゆたかでも理知的な視点、そういう理詰めを透明な空気できれいに描くカンジです。

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第76話「総設act.7」&Favonius「少年時譚16」まだ加筆校正します、
それ終わったらAesculapiusの続き予定です、

昼休憩に取り急ぎ、




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雑談寓話:或るフィクション×ノンフィクション@御曹司譚124

2014-06-16 01:45:11 | 雑談寓話
帰路、水田の夕映えに寄り道しました。

で、帰ってきて冷蔵庫を開いたら赤い水溜りが出来ていて、よく見たらソレ=醤油がこぼれたモンでした、笑
おかげで冷蔵庫掃除する破目になりました、そんなワケで遅くなり+カナリ眠いんでコレも短めになってます。



雑談寓話:或るフィクション×ノンフィクション@御曹司譚124

8月とある日曜日、高校の友達と山中湖へ行って、

「全くモテないのと男も女もモテるのとドッチが良いワケ?笑」

なんて自分からの質問に友達は考えこんだ、笑

「う、男にモテるのかー…考えたこと無いな?」

そりゃそうだろね?
って思ったまんまSってやった、

「だろね、モテるって発想自体がオマエ無いから?笑」
「ええその通りですよーーモテたことなんかゴザイマセン、凹笑」

ってカンジの相変わらずの返事が来て、で、話を変えてきた、

「でさー話戻るけど先生んとこ行っていい?海外赴任の前に挨拶しときたくってさ、」

それは挨拶に行きたいだろう?
でもホントは別の意図がある、そう解かるまんま言ってやった、

「挨拶くらいつきあってやるけどさ、ホントの動機を言えば?笑」
「う、」

すぐ詰まった貌はもう白状している、
で、貌のまんま友達は素直にゲロッた、笑

「だってさー別れた当日にキスされかけたとか事件じゃん、詳細聴きたいけど俺じゃ言わせられないし先生ならさーー」

なんか解りやすい&ダメ男じゃん?
って思ったからまんま言ってやった、

「ソンナコトも他力本願ってカッコ悪いね?笑」
「ええエエどうせカッコ悪い男ですよーー甲斐性無しって言われたし、凹笑」

って返事にちょっと気が付いて、で、訊いてやった、

「ふうん?メグミに甲斐性無しって言われたんだ、笑」

たぶん相手ビンゴだろ?
そう思ったまんま笑ったら友達は凹んだ、笑

「ええその通りですよおーーメグちゃんに言われました結婚前提おつきあいバッサリ振られましたよお、凹2乗+笑」

なんて言いながらベンチに項垂れまくってくれて、
やっぱりな思いながら笑ってやった、

「ま、仕方ないんじゃない?笑」
「ああまたシレって笑いやがってなんだよもーーモテる方は違いますよねええ」
「笑、」
「あ、まーたー余裕かまして笑いやがってさあ、って、え?」

恨めしい×マサカってカンジにこっち見てくる、
ソレが可笑しくて笑ったら言ってきた、

「まさかおまえメグちゃんに告白とかされたことある?」

なんて答えよっかな?
って一瞬だけ考えたけど正直に言ってやった、

「彼氏だったら良いのになーっては言われたけど?笑」

ま、高校の時の話だけどね?笑
それに仮定形に過ぎない、でも友達は必死で凹みまくった、

「なーんーだよもおオマエそれ聞いてねえーーー凹5乗」

そんな凹まなくても良いのにね?って思ったまま笑った、

「だろね、言ってないし、笑」
「言ってないし、ってあああもおーー凹」
「高校の時の話だよ?ソレに仮定形だろが、笑」
「ばーかー仮定形だろが何だろがちょっと迂遠な告白だろソレあああああーー」
「笑、」
「あああまた余裕かましやがりますかエエええ私は馬鹿なピエロですとも凹」

ってカンジに会話しながら車また乗って、
そんなワケで先生に友達は電話して予定は決定して、走りだすと訊かれた、

「なあ、メグちゃんからの迂遠な告白にオマエなんて答えたワケ?」

やっぱりソコ気になっちゃうんだ?
まあ気になるの当り前だろうし教えてやった、

「光栄だなって言ったよ?笑」
「うわ、OKも断るもナシですかさすが、」

なんて言われて、で、続けて訊かれた、

「なあ、バイセクシャル男からのキス未遂ってどんな心境?」

なんかこの訊き方ってムカつくな?って思ったからSってやった、

「童貞ご卒業のキス&XXXはどんな味だったワケ?笑」
「うっ、」

即効に詰って友達は固まってくれて、笑
ヘコミ加算された貌で言ってきた、

「ほんっと相手の先輩に申し訳ないんだけどマジでトラウマになりそう、あのときは気持ち良かったのに、凹無限大笑」

ま、イイカゲンなことするなっていう教訓だよね?笑


とりあえずココで一旦切ります、続きあるんですが反応次第でラストにします、
第76話「総設6」読み直し校正中+「総設7」加筆校正です、ソレ終わったらAesculapiusかなと。
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深夜に取り急ぎ、




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