水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

語彙力アップ 高階秀爾「「間」の感覚」

2021年09月10日 | 国語のお勉強(評論)
語彙力アップ 高階秀爾「「間」の感覚」
空欄に漢字・読み方・意味・対義語etcを記入しなさい


1( 反映 )はんえい……あるものの性質が他にうつること ☆( 影響 )えいきょう
2( 華麗 )かれい……華やかで美しい。←→( 枯淡 )こたん
  ☆( 華美 )かび……華やかで美しい・ぜいたく ←→( 質素 )
3( 儀礼 )ぎれい……セレモニー  ☆( 礼儀 )……マナー
4( 栽培 )さいばい……植物を育てる ←→( 自生 )じせい
5( 投機 )とうき……短期的な( 価格 )変動を利用して利益を得ようとすること。
  ☆( 投資 )とうし……将来的な利益のために今の( 資金 )を投入すること。
6( 動機 )どうき……何かをする元の感情・思い。英( モチーフ )。
7( 遮断 )しゃだん……さえぎり、とめる。
8( 鑑賞 )かんしょう……芸術作品を味わう ☆( 観賞 )……景色や動植物を見る
9( 明瞭 )めいりょう ←→( 曖昧 )あいまい
10 静物画……花・果物・器物など動かないものを描く。←→( 人物 画)・( 風景 画)
11( 輩出 )はいしゅつ……( 人材 )が次々と現れること
12 屏風( びょうぶ ) 13 襖( ふすま ) 
14 燕子花( かきつばた ) 15 百合( ゆり )
16( 対照 )たいしょう……コントラスト 
  ※( 対象 )……オブジェクト ( 対称 )……シンメトリー
17( 眺望 )ちょうぼう……景色を広くみわたすこと
 ☆( 展望 )……景色や世の中・将来などを広くみわたすこと
18 土産物( みやげもの )
19 モニュメント……( 記念碑 )・遺跡・業績
20 菖蒲( しょうぶ )
21 軒下( のきした )……軒(建物の外側まで出ている屋根の部分)の下
 ☆ 庇( ひさし )……窓や玄関に付けられた小屋根
22 切妻型( きりつま 型 )……2方向型の屋根。
 ☆ 寄棟型( よせむね 型 )・入母屋型( いりもや 型 )
23( 覆 う )おおう ☆ 覆す( くつがえ す)
24( 由来 )ゆらい……もともとの起源、そこからの経過。
25( 遮蔽 )しゃへい ☆ 遮る( さえぎ る)・蔽う( おお う)
26( 媒介 )ばいかい……なかだちとなること。☆ 媒体……英( メディア )
27( 荘厳 )そうごん ☆ 荘か( おごそ か)・厳か( おごそ か)
28( 障害 )しょうがい ☆ 障る( さわ る)
29 偶然 ←→( 必然 )
30( 倫理 )りんり……英( モラル )・道徳
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語彙力アップ 山崎正和「水の東西」

2021年06月25日 | 国語のお勉強(評論)
語彙力アップ 山崎正和「水の東西」
   空欄に漢字・読み方・対義語etcを記入しなさい

1 愛嬌( あいきょう )……明るく、かわいらしい
2 筧( かけい )orかけひ……水を引くための竹筒の樋(とい)。懸樋。
3( 緊張 )きんちょう ←→( 弛緩 )しかん
4 くぐもった……声や音が内に( こもって )はっきりしない様子
5 緩やか( ゆる やか)
6( 徒労 )とろう……無駄な( 苦労 )
7( 静寂 )せいじゃく
8 いやがうえにも(弥が上にも)……( ますます )、そのうえさらに
  ☆ いやがおうでも(否が応でも)……有無を言わせないで、( むりやり )
9( 素朴 )そぼく ←→ ( 華美 )・洗練
10( 趣向 )を( 凝 )らす「しゅこうをこらす」
             ……よりよくなるようにあれこれと( 工夫 )すること
11( 壮大 )そうだい……スケールが大きく立派なこと 
12( 林立 )りんりつ……たくさん立ち並ぶ
13( 彫刻 )ちょうこく    ☆( 超克 )ちょうこく……のりこえること
14( 乏 しい)とぼしい
15( 圧縮 )あっしゅく ←→( 伸張 )・展開・拡張・解凍
16 感性 ←→( 知性 )
17( 間隙 )かんげき……すきま
18( 極致 )きょくち……それ以上は考えられないレベルに達している状態
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語彙力アップ 内山節「不均等な時間」

2021年06月24日 | 国語のお勉強(評論)
語彙力アップ 内山節「不均等な時間」
   空欄に漢字・読み方・対義語etcを記入しなさい
1 木陰( こかげ )
2 ( 耕作 )こうさく……田畑をたがやすこと。
3 裾野( すその )
4 ( 開墾 )かいこん……山野を田や畑にすること。
  ☆( 開拓 )……山野を田畑や宅地・街にすること。
5 ( 感嘆 )かんたん  ☆ 嘆( なげ )く
6 ( 称賛 )しょうさん ☆ 称( たた )える
7 鍬( くわ )と鋤( すき )
8 ( 造成 )ぞうせい……自然に人為を加え何かをつくること。
9 ( 循環 )じゅんかん
10 ( 投資 )とうし……( 利益 )を得る目的で、資金を投入すること。
11 ( 分裂 )ぶんれつ
12 ( 余暇 )よか
13 ( 隙間 )すきま
14 外化(がいか)…… 内部にある不明瞭なものを外に出して( 可視化 )(かしか)する行為。
15 客観的 ←→( 主観的 )
16 ( 先進的 )せんしんてき……文化的に他より進んでいる様子
  ☆( 先鋭的 )せんえいてき……現状を変えたい思いが強くとんがっている様子
17 ( 転換 )てんかん  ☆ 換( か )える
18 ( 合理的 )ごうりてき……筋道が通っている様子
19 ( 基盤 )きばん……物事の土台となるもの
20 ( 等速性 )とうそくせい
21 ( 不可逆性 )ふかぎゃくせい……もとの状態にもどれないこと
22 措定( そてい )……ある物事を「ある」とすること。
23 ( 矛盾 )むじゅん
24 ( 維持 )いじ
25 ( 衰弱 )すいじゃく 
26 ( 蛇行 )だこう ←→( 直進 )・直行 
27 ( 介在 )かいざい……二つのものの間に存在すること
28 ( 崩壊 )ほうかい
29 ( 重層的 )じゅうそうてき
30 破綻( はたん )←→( 成立 ) ☆ 綻( ほころ )びる
31 ( 創造 )そうぞう……create  ☆( 想像 )……image
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語彙力アップ 鈴木孝夫「ものとことば」

2021年06月22日 | 国語のお勉強(評論)
語彙力アップ 鈴木孝夫「ものとことば」
空欄に漢字・読み方・意味・対義語etcを記入しなさい

1( 多岐 にわたる)たきにわたる  ☆( 分岐 点)ぶんきてん
2( 膨大 )ぼうだい ←→( 僅少 )きんしょう
3( 固有 )こゆう……( もともと )持っている性質・特有の性質。 ☆ 固(もと)より
4( 微妙 )びみょう……なんとも言えず細かく複雑な様子
  ☆( 絶妙 )ぜつみょう……この上なくたくみな様子
5( 網目 )あみめ
6( 森羅万象  )しんらばんしょう……( 宇宙 )に存在するあらゆるもの
7( 信念 )しんねん……正しいと信じる考え
 ☆( 疑 念 )……疑いの気持ち
  ( 通 念 )……一般に通じている考え。常識。
  ( 概 念 )……ものごとのおおまかな内容。
  ( 理 念 )……ものごとの根本にある考え。
  ( 諦 念 )……悟った心境、あきらめる気持ち。
8( 対象 )たいしょう……行為の目的となるもの
 ☆( 対照 )たいしょう……比較すること
  ( 対称 )たいしょう……同じこと
9 レッテルを貼る……( 一方 )的に決めつける
10 あらしめている……存在( させ )ている
11( 唯名 論 )ゆいめいろん……ことばによってのみ世界は認識されうるという考え
12( 実念 論 )じつねんろん……認識より先にものは実在するという考え(=実在論)
13( 空々漠々 )くうくうばくばく……限りなく広い、とりとめがない
14( 断片 )だんぺん ←→( 全体 )
15( 焦点 )しょうてん
16( 比喩 )ひゆ
17( 形態 )けいたい……外側から見たかたちやありさま
18( 製作 )せいさく……実用的な器具や( 製品 )をつくる
 ☆( 制作 )せいさく……絵画、音楽、映画などの( 作品 )をつくる
19 渾沌( こんとん ) = 混沌 ←→( 秩序 )
20( 虚構 )きょこう ←→( 事実 )  ☆ 虚偽 ←→( 真実 )
21( 分節 )ぶんせつ……区切りを入れて分けること
22( 生成 )せいせい ←→( 消失 )  ☆( 出現 )←→ 消滅
23( 流動 )りゅうどう ←→( 固定 )
24 あたかも……( まるで )、ちょうど。
25( 整然 )せいぜん←→( 雑 然 )
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「不均等な時間(内山節)」の授業(2)

2021年05月10日 | 国語のお勉強(評論)
6~10段落


6 たとえば上野村の人々にとっては、夕方の釣りも、春の山菜採りも、秋の茸狩りも、村人としての営みの流れの中にある。その季節が戻ってくれば、村人はその仕事をし、夕方が戻ってくれば川に竿を出す。もちろん畑仕事もこの循環の中に組み込まれている。ところが時計の刻む時間が価値を生む世界に身を置いた瞬間から、そのすべての関係が崩れ去ってしまうだろう。時間は経済価値を生む時間と生まない時間に分裂する。そして経済価値を生まなくなった時間には、別の意味が付与されなければならなくなるだろう。その意味とは、充実した生活かもしれないし、休息や余暇かもしれない。それにどんな意味を与えようとも、こうして時間は管理するものへと変わり、それは時間に管理されることと一対の関係になる。
7 伝統的な山村の暮らしの中では、時間は終わることも、区切られることもなく循環していた。仕事も暮らしも、その隙間に現れる〈 アソビ 〉も、すべてが途切れることなく山里の時間世界の中を流れていた。そしてその時間の流れが、そのまま村人の存在であった。
8 ところが時間を管理し、時間に管理されるようになった瞬間から、〈 時間は人間の存在から外化する 〉。時間は時計の音とともに客観的に動き続け、この時間にいかに対応していくかが人々に突きつけられる。かつては農民の営みとともに時間が作られていたのに、今では時間にいかに対応していくのかが、農民の営みになった。
9 上野村の人々が、「先進的」で近代化された農業経営の様子に感嘆の声を上げながら、決して〈 それをまねしようとしない 〉のは、時計の時間が価値を生む社会への転換が、山村の暮らしや人々の意識のすべてを変えてしまうことを知っているからであろう。少なくとも〈 そこ 〉に自分たちの存在の形がないことを、村人たちは知っている。
10 時間世界を変えることは、自分の存在を変えることであり、自分自身を別の人間に作り変えることである。


6上野村
  夕方の釣り・春の山菜採り・秋の茸狩り・畑仕事
    ∥
  循環する季節の中での営み
   ↑
   ↓
 時計の刻む時間が価値を生む世界
    ↓
  時間……分裂(経済価値を生む時間←→生まない時間)

7伝統的な山村の暮らし
  仕事・暮らし・アソビ……循環する時間の中
    ∥
 (上野村の)村人の存在(のあり方)
   ↑
   ↓
8(隣村・現代社会)
  時間……管理し・管理される
    ↓
  時間……人間の存在から外化
    ∥
  時間……時計の音とともに客観的に動き続ける
    ∥
  隣村の農民の営み

心理学用語【外化】
 ……自分の内にある不明瞭なものを、外に出すことによって可視化(認知可能なものに)する行為。

 例 漠然とした思い → 作品 
    おぼろげ → 形 …… 外化

 ※ 内部にある悶々とした思いを次元の高いものに変えて表現する → 昇華
    もやもや → 芸術 …… 昇華

9 上野村の人々
  「先進的」で近代化された農業経営をまねしない
    ↑
 r 時計の時間が価値を生む社会への転換
    →山村の暮らしや人々の意識を変えてしまう
      ∥
   そこに自分たちの存在の形がない

10 時間世界を変えること
    ∥
  自分の存在を変えること
    ∥
  自分自身を別の人間に作り変えること


「アソビ」について、

Q6「アソビ」の具体例を3つ抜き出せ。
A6 釣り、山菜採り 茸狩り

Q7「遊び」ではなく「アソビ」と片仮名表記されているのはなぜか、50字以内で説明せよ。
A7 労働と反対の意味での遊びではなく、循環する時間の中
   を生きる村人の営みの一つであることを表すため。

「時間は人間の存在から外化する」について、

Q8 63頁13行目「外化」と意味の似た言葉を11段落から漢字3文字で記せ。
A8 客観化

Q9「時間は人間の存在から外化する」とはどういうことか。50字以内で記せ。
A9 人々の暮らしや存在と一体化していた時間が、
   時計の数字で客観化され、
   人間の外部に存在するようになる。

「それをまねしようとしない」について

Q10「それ」は何を指すか、本文の言葉を用いて20字以内で記せ。
A10 隣村の「先進的」で近代化された農業経営

Q11「まねしようとしない」のは、上野村の農業がどのようなものであるからか。60字以内で記せ。
A11 近代的な時間の中ではなく、
   循環する時間世界の中で、
   自然と一体になった暮らしの一部として営まれる
   昔ながらの農業。

Q10「そこ」とはどこか、15字以内で抜き出せ。
A10 時計の時間が価値を生む社会
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「不均等な時間(内山節)」の授業(1)

2021年05月09日 | 国語のお勉強(評論)
1~5段落

1 春になると私は上野村の村人といっしょに、近くの村に山菜採りに出かける。そこにはヤマウドなどがたくさん芽生えていて、カッコウやウグイスの鳴き声を聴きながら山歩きをするのは、村人たちの楽しみでもある。昼になると村人は森の木陰で弁当を広げ、子供のようにはしゃいでいる。
2 その間にも森から見下ろす畑の上では、春の耕作を進める隣村の人々の姿が見える。それは〈 上野村とは全く異なる農業 〉である。山の裾野は広大に開墾され、大型トラクターが動いている。高冷地の野菜専用の農地、その光景を見ると上野村の人々も感嘆の声を上げる。三反もあれば大百姓と言われる上野村とは違って、ここでは一区画が一ヘクタールを超えるような農地が切り開かれている。
 「〈 この村の人たちは偉いものだ 〉。」
そう言いながら上野村の人々は、この村の農民たちを称賛する。
3 ところが毎年同じように感嘆しているのに、〈 上野村の人々は少しもこの新しい農業をまねしようとはしない 〉。村に帰れば、村人は鍬や鋤を使った伝統的な山村農業に従う。もちろんまねをしようにも傾斜のきつい上野村では、同規模の農地を造成することは不可能なのだけれど、それでもその気になれば開墾可能な場所もないではない。何よりも、この村では上野村の農民の平均所得の百倍を超える粗収入のある農民が多数いることを、上野村の人々も知っているのにである。
4 おそらく毎年感嘆の声を上げるだけで終わってしまうのは、上野村とこの村の農業の間には、根本的に違う営農の世界があることを、上野村の人々が知っているからであろう。上野村の農業は伝統的な畑仕事として展開している。季節の循環とともに作物を作り、その作物を利用して村人もまた循環する季節とともに暮らしている。ところが隣の村で行われている農業は、農業経営なのである。ここでは農地が商品の生産工場になっている。農民は大地に投資をし、そこを商品の生産工程に変えた。
5 上野村の畑では作物を作り、毎年同じ季節を迎えることに価値があるのに、この村では〈 労働時間 〉の作り出す経済価値がすべてである。とともに、この相違は農業の形だけでなく、暮らしのすべての面に現れてくる。


1上野村の村人
  山菜採り・山歩き → 子供のようにはしゃぐ
   ↑
   ↓
2隣村の人々
  広大な農地・大型トラクター → (楽しくない)
  高冷地野菜専用農地
  = 上野村とは全く異なる農業
   ↑
 上野村の村人……称賛butまねしない
   ↑
4 r「根本的に違う営農の世界だと知っている」から

5上野村の農業
  伝統的な畑仕事
  季節の循環のなか → 作物
      ∥
  毎年同じ季節を迎えることに価値がある
    ↑
    ↓
 隣の村で行われている農業
  農業経営
  農地=生産工場 → 商品
      ∥
労働時間の作り出す経済価値がすべて
    ∥
 暮らしのすべての面の相違


「上野村とは全く異なる農業」について、

Q1「全く異なる農業」を行っている人はだれか。5字で抜き出せ。
A1 隣村の人々

Q2「全く異なる」のは、上野村で行われている農業がどのようなものだからか。15字で抜き出せ。
A2 鍬や鋤を使った伝統的な山村農業

Q3 Q2の答えに対して、この農業の様子はどのようなものだと述べられているか。9段落から16字で抜き出せ。
A3 「先進的」で近代的された農業経営

Q4 「上野村の人々は少しもこの新しい農業をまねしようとはしない」のは、なぜか。その理由が述べられた部分を45字以上50字以内で抜き出し、最初と最後の4文字ずつを記せ。
A4 上野村と ~ いるから

Q5 「労働時間」を言い換えた9字の言葉を6段落から抜き出せ。
A5 経済価値を生む時間
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「ヌガー」(東大2019年)の授業(3)

2021年02月17日 | 国語のお勉強(評論)
5 記憶の中の次のシーンでは、僕は駅のホームに設けられた薄暗い駅員室のような場所にポツンと座っている。恐らく彼らがかわいそうに思って僕を連れて電車を降り、駅員を呼んでくれたのだろう。僕はその部屋で母の迎えを待つことになったのだ。すっかり暗くなってしまった風景の中、恩人のふたりが、再び電車に乗って去っていく姿を覚えている。窓ガラス越しに見えた中学生くらいの女の子は(もう大丈夫よ)というように少し微笑(ほほえ)んでいた。
6 母を待っている姿があんまり寂しそうだったからか、そばにいた駅員が僕の手のひらに菓子をひとつ握らせてくれた。ヌガーだった。キャラメルのような歯ごたえの、あの白いやつだ。駅員の顔は覚えていない。恥ずかしくてたぶん見られなかったのだろう。僕はお礼も言わずに、そのヌガーをほおばった。しばらく噛(か)んでいると甘さの奥にピーナッツの香(こう)ばしさが口いっぱいに広がった。美味しかった。ああ……今度このお菓子を母親に買ってもらおうと、その時思った。〈 イその瞬問、僕の中から不安は消えていた。 〉


 次の場面です。

 事 待合室で母を待つ
    ↓
 心 寂しい
    ↓
 事 ヌガーをもらう
    ↓
   甘さが口の中にひろがる
    ↓
 心 母に買ってもらおう
    ↓
   不安が消える

 小説の中の小道具・具体物には必ず意味があると勉強しましたね。
 ヌガーというお菓子をもらう。白く、やわらかいもの。
 口にふくむと、甘さと香ばしさが広がる。
 母親という存在を身体的に感じるときの状態が象徴的に表されています。
 ヌガーは母親なのです。
 ヌガーを口に含んだとき、母親の存在が実感できたということですね。

問二 「その瞬間、僕の中から不安は消えていた」(傍線部イ)とあるが、それはなぜか、説明せよ。

 理由説明、ここでは心情説明ですね。
 その瞬間 = ヌガーを含んで、母親を思い出した瞬間
   ↓
 不安が消えた

 母親がどんな存在かを説明できれば、「↓」部分がつながります。
 少し先の「抽象」のパーツを読むと、母親を説明した言葉が見つかります。純粋な小説より、随筆の方が解きやすいですね。

 母親
  ∥
 自分を無条件に受け入れ庇護してくれる存在
  ∥
 自分を包み込んでくれる世界そのもの

(二の解答例)
駅員がくれたヌガーの甘さに母親を思い出し、自分を無条件に庇護してくれる存在との確かなつながりが回復できたように感じられたから。
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「ヌガー」(東大2019年)の授業(2)

2021年02月16日 | 国語のお勉強(評論)
1 迷い子になった。
2 僕が六歳か七歳の時だったと思う。母とふたりで買いものに出掛けた帰り途(みち)。乗り慣れた東武東上線の電車の中での出来事だった。車窓の風景を見るのが何より好きだった僕は、座っている母から少し離れたドアの前に立ち、夕暮れの街並みを目で追っていた。風景が止まり、又動き出す、その繰り返しに夢中になっていた僕は視界から遠ざかっていく「下赤塚」という駅名に気付いて凍りついた。それは僕たちが降りるはずの駅だった。あわてて車内を振り返ったが、母の姿は既にそこには無かった。あとになってわかったことだが、乗降客の波に一瞬僕を見失った母は、下赤塚で降りた別の少年を僕と見間違い、改札の外まで追い掛けてしまったらしい。
3 次の駅で降りれば、そこから家までは小学校の通学路だ。ひとりでもなんとか家に辿(たど)り着けるだろう。母はそう考えて、そのまま家へ戻り、夕飯を作りながら僕の帰りを待つことにしたようだ。しかし、車内に残された僕がそのことに気付いたのは、既に電車が次の駅を通過した後だった。その二度目の失敗に余程動揺したのだろう、僕は会社帰りのサラリーマンでほぼ座席の埋まった車内をウロウロと歩き始めた。
4 (どうしようどうしよう)じっとしていることに耐えられず、僕は途方に暮れてただ右往左往を繰り返した。その時の、僕の背負い込んだ不幸には何の関心も示さない乗客たちの姿が強く印象に残っている。それはぞっとするくらい冷たい風景だった。〈 アその風景の、僕との無縁さが不安を一層加速させた。 〉そのまま放って置いたら、終点の池袋まで連れて行かれてしまったと思うのだが、途中でひと組の母娘(おやこ)が僕に声を掛けてくれたらしい。らしい、というのはその瞬間は僕の記憶からはスッポリと抜け落ちてしまっているからだ。


 是枝監督の映画の一場面を思い浮かべるようなオープニングですね。「僕」は「奇跡」に出ていた時の前田前田の弟くん、「母」は「海よりもまだ深く」の真木よう子さんのイメージで読んでみましょうか。
 体験が描かれるパーツは、小説と同じように読んでいきます。
 事件が起きる、主人公が心を動かされ、なんらかの行動をする。
「ふられて、悲しくて、泣いた。」「勝って、うれしくて、叫んだ。」という基本構造をまず把握しましょう。
 事件や出来事は描写されますが、そこでどんな心情を抱いたのか、どんな感情がこみ上げてきたのか、直接書かれないことも多いです。
 全部書くと説明文になってしまうからです。
 描写される行動やセリフをもとに、どんな心情なのか説明しなさいと問うのが、小説の問題です。
 随筆、エッセイでは、その心情自体をさらに説明することが求められます。
 「それはどういうことか」という設問になります。


~ 迷い子(読み方は「まいご」でいいと思います)になった。 ~


 端的に状況が述べられ、つづいて具体的な説明です。


~ 風景が止まり、又動き出す、その繰り返しに夢中になっていた僕は視界から遠ざかっていく「下赤塚」という駅名に気付いて凍りついた。それは僕たちが降りるはずの駅だった。 ~


 東武東上線の各駅停車池袋行きですね。是枝監督は東武練馬と下赤塚の間ぐらいに実家があったと話してました。
Q「凍りついた」のはなぜか? という問いも作れますね。

A 自分が降りるはずの駅で降りていないことに気づき、驚きととまどいで身動きできなかったから。

 次の駅で降りればいいのかと我に返ったときには、もうドアが閉まっている。


~ その二度目の失敗に余程動揺したのだろう、僕は会社帰りのサラリーマンでほぼ座席の埋まった車内をウロウロと歩き始めた。
  (どうしようどうしよう)じっとしていることに耐えられず、僕は途方に暮れてただ右往左往を繰り返した。その時の、僕の背負い込んだ不幸には何の関心も示さない乗客たちの姿が強く印象に残っている。それはぞっとするくらい冷たい風景だった。〈 アその風景の、僕との無縁さが不安を一層加速させた。 〉 ~


 事件 二度の失敗
     ↓
 心情 動揺
     ↓
 行動 車内をウロウロする
     ↓
 事件 何の関心も示さない乗客に気づく
     ↓
 心情 不安が高まる


一 「その風景の、僕との無縁さが不安を一層加速させた」(傍線部ア)とあるが、どういうことか、説明せよ。

 小説だったら、この段階で答えを創ってしまえばいいですが、随筆の場合は、説明してくれる部分が見つかります。
 「具体」が「抽象」に変わる部分まで読み進めてから、答えをつくった方がいいでしょう。
 7段落まで読み進めると、こうあります。


~ 迷い子になったときにその子供を襲う不安は、両親を見失ったというような単純なものでは恐らくない。それは、僕のことなど誰も知ることのない「世界」と、そしてその無関心と、否応なく直面させられるという大きな戸惑いである。その疎外感の体験が少年を恐怖の底につき落とすのだろう。 ~


 ここは使えますね。つまり、具体が抽象化された部分です。
 「迷い子」の体験とは、たんに親からはぐれた不安だけではない、その結果他者と対峙せざるを得なくなった感覚が、迷子の子どもをより不安にさせる、というのです。
 傍線部ア「その風景の、僕との無縁さが不安を一層加速させた」と対応しますね。
 「無関心」「疎外感」のような抽象的な言葉は、評論文でももちろん大事ですが、柔らかめの文章を読み解くときにはなお大事です。
 こういう言葉が本文にないときは、自分でい思いついて使えないといけません。
 「なんとか感」という言葉はとくに大事です。ふだんから意識的に使って、語彙力をつけましょう。
 「疎外感」「安心感」「厭世観」「既視感」「距離感」「孤独感」「罪悪感」「閉塞感」「親近感」「喪失感」「不信感」「劣等感」……。
 心情を記述する問題でよくわからないときは、とりあえず「漠然とした閉塞感」とか書いておくと、部分点もらえます。


(一の解答例)
迷子の自分に全く無関心な乗客に囲まれている疎外感は、母とはぐれた不安感をますます大きなものにしたということ。
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「ヌガー」(東大2019年)の授業(1)

2021年02月03日 | 国語のお勉強(評論)
 東大二次で、文系だけに課される第四問は、「随筆・エッセイ」とよばれるタイプの文章が出題されます。
 随筆・エッセイは、ガチガチの評論文と比べたとき、「読みやすいけど、答えにくい」状況になりがちです。
 評論は、筆者の主張、つまり「言いたいこと」がはっきりしています。
 随筆・エッセイは、今ひとつ「言いたいこと」がはっきりしない場合も多いです。
 その原因は何か。
 評論文の場合、筆者の主張はその理由とともに示され、わかりやすくするために具体例をあげてくれます。対比となる内容・事柄も示されます。
 一般にこのように考えられているが、私が言いたいのはこういうことだ、なぜなら~だからだ、たとえばこんな例で説明できる、つまり私の言いたいことは~だ……、というように。
 なんとかとなんとかは同じだ。
 なんとかとなんとかは同じではない。
の積み重ねで書いてある。つまり論理的と言えるでしょう。
 それに比べ、一見論理的には見えないのが、随筆・エッセイです。
 これって、筆者の体験がだらだら書いてあるだけなんじゃないの?
 自分の感性をアピールしてるだけなんじゃないの?
と感じてしまうこともあるかもしれません。
 でも、文章として書かれて発表されているということは、なんらかの「言いたいこと」がそこにあるのは間違いありません。
 それは筆者にとって「言うべきこと」であり「言う価値があること」です。
 入試で出題されるエッセイは、大学の先生も読んでその価値を見出した文章です。
 ぱっと見はわからないかもしれない、すぐに気づかないかもしれないけど、この文章に書いてあることに気づけますか?、説明できますか? と問われています。
 事件、出来事、エピソード、体験談、事実の描写、ちょっとしたセリフ、景色、感性・感覚の表現、ものの比喩……。
 このような「具体」比率の高い文章が、随筆・エッセイと言えるでしょう。明確な線引きはありません。
 文章は、すべて同じ「具体」の次元で書きすすめられるわけではありません。同じ「具体」の手段で表現されるわけではありません。
 この言葉とこの言葉は、同じことを表している。
 このセリフとこの描写は同じことを言っている。
 この動きとこの説明は逆の内容は反対の内容だ。
こんなふうに読んでいく手順は、評論と変わりません。
 ただし、「抽象」度があがった部分はきちんとおさえて、それを「具体」と照らし合わせる作業が大切になってきます。
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共通テスト2021年 論理的文章(4)

2021年01月22日 | 国語のお勉強(評論)
10~18〈日本の妖怪観の変容〉後半

⑮⑯⑰⑱近代の妖怪

 一般論 近世 妖怪……リアルなものとして恐怖した迷信の時代
     近代 妖怪……合理的思考によって否定した啓蒙の時代 
      ↑
      ↓ 現実は逆
 筆者  近世 妖怪……「表象」としてリアリティから切り離される
     近代 妖怪……新たなリアリティに回帰する

近代「人間」
    ∥
  容易に妖怪を「見てしまう」不安定な存在
  コントロール不可能な「内面」を抱えた存在
    ∥
  謎めいた「内面」を抱え込む「私」
    ∥
 「不気味なもの」・未知なる可能性を秘めた神秘的な存在
    ↓ 投影
   妖怪


問5 この文章を授業で読んだNさんは、内容をよく理解するために【ノート1】~【ノート3】を作成した。本文の内容とNさんの学習の過程を踏まえて、(ⅰ)~(ⅲ)の問いに答えよ。 →(ⅰ)(ⅱ)は全体構造を把握する問題。(ⅲ)は複数テクスト問題をむりやり作ったもの。

(1)Nさんは、本文の1~18を【ノート1】のように見出しをつけて整理した。空欄Ⅰ・Ⅱに入る語句の組み合わせとして最も適当なものを後の①~④のうちから一つ選べ。

 【ノート1】
 ● 問題提起(1~5)
    2~3 〈   Ⅰ   〉
    4~5 〈   Ⅱ   〉
 ● 方法論(6~9)
    7~9 アルケオロジーの説明
 ● 日本の妖怪観の変容(10~18)
    11 中世の妖怪
    12~14 近世の妖怪
    15~17 近代の妖怪

 ① Ⅰ 妖怪はいかなる歴史的背景のもとで娯楽の対象になったのかという問い
   Ⅱ 意味論的な危機から生み出される妖怪
 ② Ⅰ 妖怪はいかなる歴史的背景のもとで娯楽の対象になったのかという問い
   Ⅱ 妖怪娯楽の具体的事例の紹介
 ③ Ⅰ 娯楽の対象となった妖怪の説明
   Ⅱ いかなる歴史的背景のもとで、どのように妖怪認識が変容したのかという問い
 ④ Ⅰ 妖怪に対する認識の歴史性
   Ⅱ いかなる歴史的背景のもとで、どのように妖怪認識が変容したのかという問い

 「娯楽の対象としての妖怪は、いかなる歴史的背景のもとで生まれてきたのか。」という問題提起が、①段落で行われている。
 ②~⑤は、それを具体的に説明している。
 ②・③は、もともと妖怪は娯楽の対象ではなかったことと、その理由とともに説明される。→空欄Ⅰ
 ④・⑤では、それをふまえて、認識の変化を生んだ歴史的背景を探りたいと問題提起する。→空欄Ⅱ
 この構造に対応する見出しとしては、④の選択肢が該当する。Ⅰの吟味だけで、正解は得られる。「やや易」


(ⅱ)Nさんは、本文で述べられている近世から近代への変化を【ノート2】のようにまとめた。空欄Ⅲ・Ⅳに入る語句として最も適当なものを、後の各群の①~④のうちから、それぞれ一つずつ選べ。 → 対比の把握 「標準」

 【ノート2】
 近世と近代の妖怪観の違いの背景には、「表象」と「人間」との関係の変容があった。
 近世には、人間によって作りだされた、〈  Ⅲ  〉が現れた。しかし、近代へ入ると 〈  Ⅳ  〉 が認識されるようになったことで、近代の妖怪は近世の妖怪にはなかったリアリティを持った存在として現れるようになった。

Ⅲに入る語句
 ① 恐怖を感じさせる形象としての妖怪
 ② 神霊からの言葉を伝える記号としての妖怪
 ③ 視覚的なキャラクターとしての妖怪
 ④ 人を化かすフィクショナルな存在としての妖怪

Ⅳに入る語句
 ① 合理的な思考をする人間
 ② 「私」という自立した人間
 ③ 万物の霊長としての人間
 ④ 不可解な内面をもつ人間

 1~5で提起された問題について、6~9の方法論を用いて、10~18のように記述する。
  民間伝承としての妖怪 → 娯楽の対象としての妖怪 → 人間の不可解さを投影する妖怪
 という変化の大きな流れがつかめればいい。
 空欄Ⅲには③「視覚的なキャラクターとしての妖怪」、空欄Ⅳは④「不可解な内面をもつ人間」が入る。「やや易」


(ⅲ)【ノート2】を作成したNさんは、近代の妖怪観の背景に興味をもった。そこで出典の『江戸の妖怪革命』を読み、【ノート3】を作成した。空欄Ⅴに入る最も適当なものを、後の①~⑤のうちから一つ選べ。

 【ノート3】
 本文の17には、近代において「私」が私にとって「不気味なもの」となったということが書かれていた。このことに関係して、本書第四章には、欧米でも日本でも近代になってドッペルゲンガーや自己分裂を主題とした小説が数多く発表されたとあり、芥川龍之介の小説「歯車」(一九二七年発衰)の次の一節が例として引用されていた。

 第二の僕、――独(ど)逸(いつ)人の所謂(いわゆる)Doppelgaengerは仕合(しあわ)せにも僕自身に見えたことはなかった。しかし亜(あ)米(め)利(り)加(か)の映画俳優になったK君の夫人は第二の僕を帝劇の廊下に見かけていた。(僕は突然K君の夫人に「先達(せんだつて)はつい御挨拶もしませんで」と言われ、当惑したことを覚えている。)それからもう故人になったある隻(かた)脚(あし)の翻訳家もやはり銀座のある煙草(たばこ)屋に第二の僕を見かけていた。死はあるいは僕よりも第二の僕に来るのかも知れなかった。

考察 ドッペルゲンガー(Doppelgaenger)とは、ドイツ語で「二重に行く者」、すなわち「分身」の意味であり、もう一人の自分を「見てしまう」怪異のことである。また、「ドッペルゲンガーを見た者は死ぬと言い伝えられている」と説明されていた。〈   Ⅴ   〉
 17に書かれていた「『私』という近代に特有の思想」とは、こうした自己意識を踏まえた指摘だったことがわかった。

 ① 「歯車」の僕は、自分の知らないところで別の僕が行動していることを知った。僕はまだ自分でドッペルゲンガーを見たわけではないと安心し、別の僕の行動によって自分が周囲から承認されているのだと悟った。これは、「私」が他人の認識のなかで生かされているという神秘的な存在であることの例にあたる。
 ② 「歯車」の僕は、自分には心当たりがない場所で別の僕が目撃されていたと知った。僕は自分でドッペルゲンガーを見たわけではないのでひとまずは安心しながらも、もう一人の自分に死が訪れるのではないかと考えていた。これは、「私」が自分自身を統御できない不安定な存在であることの例にあたる。
 ③ 「歯車」の僕は、身に覚えのないうちに、会いたいと思っていた人の前に別の僕が姿を現していたと知った。僕は自分でドッペルゲンガーを見たわけではないが、別の僕が自分に代わって思いをかなえてくれたことに驚いた。これは、「私」が未知なる可能性を秘めた存在であることの例にあたる。
 ④ 「歯車」の僕は、自分がいたはずのない場所に別の僕がいたことを知った。僕は自分でドッペルゲンガーを見たわけではないと自分を落ち着かせながらも、自分が分身に乗っ取られるかもしれないという不安を感じた。これは、「私」が「私」という分身にコントロールされてしまう不気味な存在であることの例にあたる。
 ⑤ 「歯車」の僕は、自分がいるはずのない時と場所で僕を見かけたと言われた。僕は今のところ自分でドッペルゲンガーを見たわけではないので死ぬことはないと安心しているが、他人にうわさされることに困惑していた。これは、「私」が自分で自分を制御できない部分を抱えた存在であることの例にあたる。

 複数テクスト問題といいながら、元の本文との異同を吟味しなくても正解は得られてしまう。
「歯車」の読み取りから、①「別の僕の行動によって自分が周囲から承認されているのだと悟った」、③「会いたいと思っていた人の前に別の僕が姿を現していた」「自分に代わって思いをかなえてくれた」、④「自分が分身に乗っ取られるかもしれないという不安」、⑤「死ぬことはないと安心」「他人にうわさされることに困惑」が誤り。②が正解。選択肢の後半は、近代的人間の不気味性との対応で作られているが、もう一工夫してもよかったんじゃないかな。「標準」
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