「豈」の用法
「豈」は「どうして?」という意味。
「豈」を用いた文は、ほとんど反語文になっている。
反語文とは、疑問文の形を借りた強い否定文のこと。
だから、「豈勉強」と書いてあったら、「不勉強」を強く言っている。
たんに「勉強しない」ではなく「勉強なんか、おれがすると思う? するわけねえだろ、このタコ!」という気持ちだ。
多くの場合、語気詞(終助詞)「哉」「乎」をつけて「!」のニュアンスをつける。
よって「豈(あ)に ~ せんや」といかにも反語だよという読み方で訓読することになる。
「豈勉強」は「豈に勉強せんや」。
「豈不勉強」の場合は、「どうして勉強しないことがあろうか、するに決まってるでしょ。」である。
「豈に勉強せざらんや」と訓読する。
「勉強しないわけないじゃないですか、ぜったいがんばりますよ!」という気持ちだ。
シンプルにまとめると、
① 豈 V 哉。(豈にVせんや)= 不 レ V! → 絶対Vしない。
② 豈 不 レ V 哉。(豈にVせざらんや)= V! → 絶対Vする。
Vが目的語をとっても同じ。
③ 豈 V レ O 哉。 → 不 レ V レ O!
④ 豈 不 レ V レ O 哉 → V レ O!
Vの位置にC(名詞・形容詞的な語)がおかれても意味の取り方は同じ
⑤ 豈 C 哉。 → 不 レ O!(非 レ O!)
⑥ 豈 S C 哉。→ S 非 レ C!
⑦ 豈 不 レ C 哉。→ C!
⑦は、たとえば「豈 不(二)君 子(一)哉」という文だ。
「君子でないわけないよね」→「まじ君子じゃね?」となるので、一般的に感嘆文と言われる。
「んや」ではなく「豈に君子ならずや」と読む。