第五段落〈 34~38段落 〉 「顔」
34 日本人の顔についてさらにおもしろい観察ができる。
35 企業のイメージキャラクターに起用されたタレントは、テレビCMの中ではその企業やブランドを代表する「顔」でもある。また、不祥事を起こした子供の代わりに有名人の親が記者会見を開いて謝ったり、番組を降板したりすることもしばしば目にする光景だ。〈 これ 〉は〈 日本人の「顔」の不思議な連鎖 〉を意味している。
36 日本は集団を中心とした社会であり、個人は集団の一員という位置づけになる。日本人は、自分個人の顔とはまた別の、所属集団や社会的役割を反映した顔を持っているのだ。
37 鈴木さんは、「鈴木一郎」という個人の顔以外にも、家庭では「父親」の顔、会社では「○○商事の社員」の顔、営業本部の中では「営業部長」の顔、というように〈 いくつもの顔を持っている 〉。
38 日本人は、結局、所属集団から距離を置いて、一人の個人として振る舞うことが難しい。だから日本人の「顔」は、集団や組織、自分と利害関係のある集団のメンバー、そして世間との避けることのできないしがらみの中でさまざまに変化し、複雑な表情を見せるものだと言えよう。
36 日本は集団を中心とした社会であり、個人は集団の一員という位置づけになる。日本人は、自分個人の顔とはまた別の、所属集団や社会的役割を反映した顔を持っているのだ。
37 鈴木さんは、「鈴木一郎」という個人の顔以外にも、家庭では「父親」の顔、会社では「○○商事の社員」の顔、営業本部の中では「営業部長」の顔、というようにいくつもの顔を持っている。
38 〈 日本人は、結局、所属集団から距離を置いて、一人の個人として振る舞うことが難しい 〉。だから日本人の「顔」は、集団や組織、自分と利害関係のある集団のメンバー、そして世間との避けることのできないしがらみの中でさまざまに変化し、複雑な表情を見せるものだと言えよう。
Q29「これ」とは何か。
A29 自分の言動だけでなく、自分に関わる人や集団に関することにまで責任を負わされる事例。
Q30「日本人の「顔」の不思議な連鎖」とはどういうことか。本文の語を用いて60字以内で述べよ。
A30 日本人は、自分自身の顔だけでなく、所属集団や社会的役割を反映した顔をも持つ存在として振る舞うことが求められているということ。
具体例
企業のイメージキャラクターとしての「顔」
不祥事を起こした子供の親が謝罪
∥
これ
↓
日本人の「顔」の不思議な連鎖
日本 … 集団を中心とした社会
↓
日本人 … 所属集団や社会的役割を反映した顔を持つ
欧米の個人
↑
↓
日本における個人 … 世間の一員としての面子・面目
↓
世間の目が行動規範
集団の利害を優先 日本人の絶対的・基本的ルール
相手の顔をつぶさないこと
↓
状況に応じて「顔」を変化させて生きる
Q31「いくつもの顔を持っている」とあるが、どのような顔をもっているのか。16字で抜き出せ。
A31 所属集団や社会的役割を反映した顔
Q32「日本人は、結局、所属集団から距離を置いて、一人の個人として振る舞うことが難しい」のはなぜか。全体の趣旨をふまえ、100字以上120字以内で記せ。
A32 日本のおける個人は、欧米の個人とは異なり、集団の人間関係に依存して成立しているため、世間に対して面目を保つことが個人の行動規範となり、集団や組織の利害を最優先して所属メンバーの顔をつぶさないように振る舞うことが基本的ルールとされているから。
〈最終段落でのまとめの問題〉
1 傍線部を含む意味段落の主旨を用いての説明する。→解答の骨格(40~50字程度)
集団や組織の利害を最優先して所属メンバーの顔をつぶさないように振る舞うことが基本的ルール
2 全体のテーマの確認→冒頭にもどってみる。(30字~40字)
日本人の「顔」と欧米人のfaceとのちがい
3 1を導きだすにいたる説明部分から、「対比」「理由」「前提条件」などを観点にキーワードをつかむ。(40字~50字)
a 日本には欧米的な意味での個人は存在しない、
b 個人とはあくまでも集団の一員
c 「世間の目」が行動規範
4 1→2→3の順で箇条書き的にメモし、字数にあわせて解答にまとめる