3学年だより「基本力(2)」
『大学入学共通テスト 受験案内』の「受験にあたっての主な注意事項」(48ページ)にこうある。
~ エ 試験時間中に日常的な生活騒音等(監督者の巡視による足音・監督業務上必要な打合せなど,航空機・自動車・風雨・空調の音など,周囲の受験者の咳・くしゃみ・鼻をすする音など,携帯電話や時計等の短時間の鳴動,リスニングのイヤホンやヘッドホンからの音漏れ,周囲の建物のチャイム音など)が発生した場合でも救済措置はありません。~
試験中、リスニングの時間まで含めて、予期しない騒音が起こってもなんの「救済措置」も行わないと入試センターは言う。
受験には「図太い」神経が必要だ。
乗り慣れない電車に乗り、はじめて入る建物の、慣れない机で問題を解く。
自分の机にだけ小さな疵があるかもしれないし、イスがガタガタ動くかもしれない。暖房が強すぎる場所になるかもしれないし、トイレの臭いが気になる席かもしれない。
岡田稔喜先生が書いていたように、隣の受験生が「貧乏ゆすりが激しかったり、書く音がうるさかったり」するかもしれない。香水のきつい女子だったり、やたら鼻をすすっていたり……。
地下鉄を乗り間違えて、開始時間ギリギリに到着することになるかもしれないし、急にお腹の具合が悪くなったのにトイレが見つからないかもしれない。
開始の合図で問題冊子を開くと、過去問からの予想とは100%異なる内容だった、なんてことも「体感的」にはあるものだ。
ふだん考えられないようなことが起きるのが「本番」だといっていい。
何があっても動じない人というのは、たぶんいない。
動揺している状態のなかでも、その時点での最善を尽くそうと思える心が必要だ。そういう図太さを「胆力」とよぶ。
そういう心を得るための特効薬はない。
毎日学校に来て、何があっても平然とやるべきことを積み上げていくことでしか作れないのだ。
毎日学校に来て、ほんの少しずつの負荷を自分にかけ続けることでしか作れない。
身体の筋肉は急にはつかないことは、みなさんよくわかっているだろう。
少しずつ負荷を大きくして、筋繊維を破壊し、超回復をしていくサイクルを地道に継続していくしかない。
心も同じだ。毎日、少しずつ、逃げない暮らしを積み重ねることでしか心は鍛えられない。
でもある意味簡単かもしれない。毎日学校へ来て勉強すればいいのだから。