2学年だより「醸成」
大学選手権十連覇を目ざした帝京大学ラグビー部だが、今年一月の大会は準決勝で敗退する。
「敗戦でしか学べない部分、不足している部分を気づかせていただきました」と岩出雅之監督は語る。とはいえ、十連覇を目標に頑張ってきた選手達にとっては、「敗戦を大切な経験だ」と受け入れるには時間がかかった。
岩出監督は、「きょうは思い切り泣こう、急がずにゆっくりと自分を整えよう」と選手達に声をかける。ミーティングを重ねて、チーム内に「新しいエネルギー」ように感じるようになったという。
~ 西谷 (今は)特にどんなことに力を注がれていますか?
岩出 先ほどのチームカルチャーをもう一度しっかり育てていくことです。九年間皆で醸成してきたつもりだったのですが、世の中も変わり、その影響を受けている学生たちも変わっていく中で、どこを変えてどこを変えないかということを押さえながら、チーム全体がさらに伸びるようにする。
チームカルチャーを土や根にたとえて、皆で体を使い、汗をかいて、いい栄養を含んだ土を耕し、それを吸収できる立派な根を一人ひとりが持とうと。
細かなことを挙げればたくさんあるんですけど、我われコーチングスタッフが学生たちに教え過ぎていないか。彼ら自身が悩み苦しみながら答えを見つけていくアプローチができているか。あるいは学生たちも、チームの中で先輩が見せるべき姿や後輩への関わり方ができているか。無理な課題に挑戦して挫折するのではなく、最適なレベルの課題に挑戦し、ちゃんとやり切れているか。そういったことをお互いに向き合いながら、もう一度見直しています。ですから、三月は練習時間を大幅にディスカッションに割きました。
西谷 技術よりも考え方の部分を重点的に。
岩出 はい。成果に結びつくアクション、行動を生むためにはマインドセット、正しい考え方を身につけることが必要です。ただそれだけでは不十分で、やる気のもとになるエネルギーも高めなければなりません。逆に、エネルギーやマインドセットを技きにいきなりアクションを求めてもダメ。この「エネルギー、マインドセット、アクション」という三段階を我われコーチングスタッフも選手たちも理解して、急がずに余裕を持ちながら取り組んでいます。 (岩出雅之・西谷浩一「勝敗を決するもの」月刊致知6月号) ~
「何ごとかをなしとげよう」という強い思いが必要なことは言うまでもない。
しかし、そのエネルギーだけがあっても、変化は生まれない。
思いを現実にかえていくための「考え方」を用意しなければならない。
人は生まれてから過ごしてきた人生の過程で、様々なものの見方、考え方を自然に身につけている。それが無意識のうちに行動を規制する。
自分の行動を規制している無意識を客観化し、別の正しい考え方に変えていこうとすることをマインドセットという。それが整えば、あとはアクションあるのみだ。
大学選手権十連覇を目ざした帝京大学ラグビー部だが、今年一月の大会は準決勝で敗退する。
「敗戦でしか学べない部分、不足している部分を気づかせていただきました」と岩出雅之監督は語る。とはいえ、十連覇を目標に頑張ってきた選手達にとっては、「敗戦を大切な経験だ」と受け入れるには時間がかかった。
岩出監督は、「きょうは思い切り泣こう、急がずにゆっくりと自分を整えよう」と選手達に声をかける。ミーティングを重ねて、チーム内に「新しいエネルギー」ように感じるようになったという。
~ 西谷 (今は)特にどんなことに力を注がれていますか?
岩出 先ほどのチームカルチャーをもう一度しっかり育てていくことです。九年間皆で醸成してきたつもりだったのですが、世の中も変わり、その影響を受けている学生たちも変わっていく中で、どこを変えてどこを変えないかということを押さえながら、チーム全体がさらに伸びるようにする。
チームカルチャーを土や根にたとえて、皆で体を使い、汗をかいて、いい栄養を含んだ土を耕し、それを吸収できる立派な根を一人ひとりが持とうと。
細かなことを挙げればたくさんあるんですけど、我われコーチングスタッフが学生たちに教え過ぎていないか。彼ら自身が悩み苦しみながら答えを見つけていくアプローチができているか。あるいは学生たちも、チームの中で先輩が見せるべき姿や後輩への関わり方ができているか。無理な課題に挑戦して挫折するのではなく、最適なレベルの課題に挑戦し、ちゃんとやり切れているか。そういったことをお互いに向き合いながら、もう一度見直しています。ですから、三月は練習時間を大幅にディスカッションに割きました。
西谷 技術よりも考え方の部分を重点的に。
岩出 はい。成果に結びつくアクション、行動を生むためにはマインドセット、正しい考え方を身につけることが必要です。ただそれだけでは不十分で、やる気のもとになるエネルギーも高めなければなりません。逆に、エネルギーやマインドセットを技きにいきなりアクションを求めてもダメ。この「エネルギー、マインドセット、アクション」という三段階を我われコーチングスタッフも選手たちも理解して、急がずに余裕を持ちながら取り組んでいます。 (岩出雅之・西谷浩一「勝敗を決するもの」月刊致知6月号) ~
「何ごとかをなしとげよう」という強い思いが必要なことは言うまでもない。
しかし、そのエネルギーだけがあっても、変化は生まれない。
思いを現実にかえていくための「考え方」を用意しなければならない。
人は生まれてから過ごしてきた人生の過程で、様々なものの見方、考え方を自然に身につけている。それが無意識のうちに行動を規制する。
自分の行動を規制している無意識を客観化し、別の正しい考え方に変えていこうとすることをマインドセットという。それが整えば、あとはアクションあるのみだ。