漢字一字の意味、もしくは熟語中の一字の意味が問われた場合の解き方を確認しよう。
たとえば、傍線部「易」と同じ意味で用いられているものはどれかという問題で、選択肢が次のとおりだったとします。
1簡易 2容易 3難易 4貿易
これは、本文を読まなくても、選択肢だけで答えがわかる問題です。
1、2、3の「易」が「やさしい(簡単)」という意味であることは予想できますね。
4だけがどうも意味が違いそうだ。もし1が正解なら2や3でもいいことになる、じゃ答えは4しかないと発想できます。
リンゴ、バナナ、みかん、ブタ。仲間はずれはどれ? という問題と同じです。
4の「易」は、「かえる(交換する、交代する)」という意味で、「貿」もそういう意味なのです。
「易」には「やすし」「かふ」の訓読みがあると覚えていれば、より自信をもって4を選ぶことができます。
漢字の音読みは、その字のもともとの発音を日本人がまねて読んだ読み方です。
それに対して訓読みは、漢字を意味を読み方にしたものですから、訓読みすることができれば、その漢字の意味が予想できます。
じゃ訓読みを知らないときはどうするか。
訓読みのない漢字もあります。
たとえば、問1(ア)の「約」には訓読みがありません。昔は、無理矢理「つづむ(つづめる)」と訓読みした人もいるようですが、あまり一般的ではないので、このレベルの訓読みを覚える必要はありません。
本文は「吾爾(なんじ)に魚を貨(う)るに、三十銭を〈約〉す」、選択肢は以下のもの。
1要約 2節約 3倹約 4誓約 5簡約
これも「ブタ」を見つけられないことはありません。
なぜなら、1と5、2と3がほぼ同じ意味であることが予想されるからです。
としたら、1が正解なら5でもよくなる、2が正解なら3でもよくなる、じゃ4しか正解になれないのではないか、と。そうやって解いてもいいです。
より精度を高めるために、「代入法」を教えましょう。
高校入試のときに、熟語の構造を勉強した記憶がありませんか?
漢字の熟語は、その構造によって何種類かに分けることができる、ではこれはどれと同じ? というやつです。
a地・震(主語・述語) b読・書(動詞・目的語) c流・氷(修飾・被修飾) d愛・憎(反対の意味の語を重ねた) e永・久(同じ意味の語を重ねた)
この熟語と同じ構造のものはどれですか? という問題は、川東入試でも何回も出してます。
eのような熟語って、なんで存在するかわかりますか?
同じ意味なら、別に熟語にしなくても一文字ですませればいいんじゃね? と思いませんか。
たとえば「吾・愛好・音楽」は、「吾・愛・音楽」でいいんじゃないか、と。
そうですね、それで通用するときはいいかもしれませんね。
先日、見慣れない「百均」の店があったので、ついふらふらと入ったら、ものすごくいいカバンが置いてありました。
どう考えても2000円、3000円しそうなカバン。これが100円て、「百均」やばくね? と思い、そのままレジに持って行きました。
「5000円です」
「 … は?」
「5000円です」
「え? この店百均でしょ?」
「はい」
「こっちのボールペンは?」
「100円です」
「このファイルは?」
「10円です」
「は? 10円? じゃ、こっちの醤油差しは?」
「5円です」
「これは?」
「1円です」
「このカバンは?」
「5000円です」
「100円均一じゃないじゃん! なんなんだよ、この店。百均でしょ」
「はい、百均です。そこに書いてありますよ」
「100円平均の店、○○ … 。100円均一じゃなくて100円平均かよっ」
「5000円です」
「わかったよ!」
「均」だけだと、このように平均なのか、均一なのか、意味がわからなくなることがある。
その文字で自分が表したい意味の漢字をもう一つ重ねて、より正確に意味を伝えようとしてできているのが、同じ意味の語を重ねた熟語です。
たとえば「愛」というVを使って、文脈上読み違うこともあるかなと思えたら、「愛惜」とか「愛好」とかにしておく。心配のない時は重ねない。
本文中のある漢字の意味がわからないときは、その字を用いた二字熟語を思い浮かべると、理解できることがあります。
この「少」は「弱小」なのか、「幼少」なのか。
この「発」は「発起」なのか、「開発」なのか。
だから、「この字の意味は何か、次から選びなさい」パターンの問題は、選択肢の熟語をそのまま代入して、一番通じそうなのを選ぶ、というのが一番正しい解き方ということになります。
「吾爾(なんじ)に魚を貨(う)るに、三十銭を〈約〉す」の「約」はどれか。
1要約 2節約 3倹約 4誓約 5簡約
魚を売るときに、三十銭と言った。それは「要約」でしょうか、「簡約」でしょうか。
お金だから「節約」「倹約」とするのは、文脈を無視しすぎでしょう。
「契約」があれば、みえみえの問題かもしれませんが、ここは「誓約」があてはまりそうかな、という感覚で解きましょう。
一字問題の解き方 … ① 訓読みで見分ける ② 代入してみる