水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

弱者の戦略

2017年11月29日 | 学年だよりなど

 

  3学年だより「弱者の戦略」


 「本番に強い人」という言い方がある。
 傍(はた)からみればそう表現するしかないような場合でも、おそらくそう言われた当人は、特別自分が「本番に強い」と感じているわけではないことがほとんどだ。
 その人にとっては、本番の出来は意外ではなく、自分なりに手応えを感じていたはずだからだ。
 本番に向けての適切な準備を継続していたならば、その途上において結果が伴っていなくても、本番ではたしかな形になる。
 むしろ本番の前段階では、きちんと失敗しておくこと、自分の弱点を出し切っておく方がいい。
 自分の失敗を客観化することで、「上から目線」でミスを見ることできる。
 判定の悪かった模試は、自分の弱点がはっきりと現れた結果であることを表す。
 それを自分で補いさえすれば、本番では同じミスはしない。
 とくにセンター型の模試については、徹底的に復習を重ねて、同じ問題が出たら絶対間違わないようにしないといけないだろう。
 また、模試は入試ではないという当たり前の一面もある。
 最終目標は模試でいい判定を出すことではなく、志望校の合格最低点をクリアすることであるというシンプルな事実を忘れてはいけない。
 たとえば私大だったら、過去問を解いて6割~7割の点数がとれるには、何をどうすればいいかという戦略だ。


 ~ たとえば早稲田の文系学部を受験するなら、6割5分から7割得点できれば合格できる。早稲田の文系学部を狙うなら、赤本を解き、厳しく自己採点し、間違い直しを厳密にすればよい。4割が4割5分、4割5分が5割と、波があるのは仕方ないが着実に点数は上がってゆく。敵は他の受験生ではない。入試問題なのだ。偏差値より合格最低点を気にしよう。
 過去問は受験生の弱点をあぶりだす。足つぼマッサージが内臓の悪い部分を教えるように、過去問はウィークポイントをクッキリ明確にする。英語のイディオムが弱ければ補強すればよいし、日本史の戦後史が弱ければ、歴代内閣ごとに詳細な年表を作ってみればよい。
 憧れの早稲田大学という背広を着こなせる体型を作りあげるために、過去問を解いて、無駄な贅肉を削ぎ落とす作業を続ければ合格できる。過去問を解けば、早稲田の問題という背広に、自分の身体がフィットしてゆく過程が体感できる。そのうち早稲田の問題が、自分の体型に合わせて作られたオーダーメードの背広のように思えるはずだ。 (笠見未央『難関私大・文系をめざせ!』高陵社書店) ~


 圧倒的に力のある人、どんな問題が出ても対応出来るというぐらいの力を持った人なら、志望校対策はそれほど必要としない。
 しかし我々凡人の場合は、合格にこれだけのことが必要だという情報がありながら、あえてそれを利用しないのは、時間の無駄遣いでしかない。

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