今日こんなことが

山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

暑さ日本一の熾烈な競争

2013年08月13日 | お天気

四万十市の「江川崎」が41℃の大台に乗って、暑さ日本一の称号を奪取した。
それまでチャンピオンだった熊谷と多治見は、
もはや市のアイデンティティとまでなっている”暑さ日本一”の座を譲り渡すはめとなった。
さぞかし悔しいだろう。

ただし、江川崎との差は0.1℃という最小差。
落胆する差ではない。
江川崎とて、鼻の差のトップなのだから安閑としてはいられない。

温暖化が進展する今後、「日本一」という名誉の称号を競う一方、
住民にとっては迷惑このうえないこの熾烈な暑さ競争の今後を予想してみよう。

そもそも一般論として、緯度が南にいくほど暑いのだから、
南四国は関東・中部より緯度的に絶対有利。
次に、地理的条件として、海岸沿いや標高の高い山中は不利。
望ましいのは標高が低い平地で、風上に山があると俄然有利となる。
なぜなら、周囲から群を抜いて異常に高温となるのは、山越えの”フェーン現象”によるからである。

半世紀以上もの間、日本一の座に君臨していた山形がそうだった。
ただし、緯度の高い北国は通常は暑くないだけに、
山形が再び1位の座を奪還する確率は低いとみていい。

南四国の江川崎は盆地状でしかも標高は低い。
さらに南に開けているので、南からの暖気も入り込みやすい。
有利な条件が揃っている。

熊谷は最近調子が悪い。
むしろ利根川の向かいの館林が、昨年来、関東一の座を安定して保っている。
それに今年は、山梨の勝沼・甲府も熊谷を上回っている。

熊谷は「暑さ対策日本一」を目指しているから、
むしろ昇温に歯止めがかかっているのかもしれない。
関東の熱源である東京のヒートアイランドからの南風が熊谷ではなく館林方向に流れているというデータもある。

多治見は、周囲にライバルはおらず、東海一の座は安泰なようだ。
多治見が最近になって頭角を現してきたのは、都市化の進展によるという
(森と田んぼが減ってコンクリ・アスファルトが増えた)。
言い換えると、都市化が進展しきった名古屋や岐阜はもはやライバルではない。

熊谷もそれなりに都市化しきった感じで伸びしろがない、
館林は都市化過程にあり、伸びしろがあるようだ。
ただ館林はフェーンという地形的昇温の恩恵を受けない場所なので、
今後の熊谷には勝てても、日本各地の強敵盆地を抜いての「日本一」は難しい。
一方、盆地代表格である勝沼甲府は標高の高さがハンデとなって、大化けはしにくい。

となると、今後もトップを争うのは浜川崎と多治見ではないか。
浜川崎には都市化という奥の手もあるが、
高知県の西の端というロケーションは、むしろその逆方向の可能性を否定できない。

一方、多治見は、中京圏が今後も発展すれば、風上の名古屋と岐阜のヒートアイランド化が更に進み、
多治見自身もベッドタウンとしてさらに都市化が進む、という相乗効果を期待できる。
私のひいき目もあろうが、多治見は今後も東海代表として、
日本の暑さをリードする集団に居続けるだろう。

さて、ここまで来てもういちど原点に帰ってみよう。
”暑さ日本一”の所は住みやすいだろうか。
同じ日本一なら、”快適さ日本一”の方がはるかに魅力的で、実際人も呼べる。
暑いだけが取り柄というのは知名度は上っても魅力にはつながらない。
暑さに負けない何かをこそ開発しアピール必要があるというものだ。
この点をこそ、競ってほしい。

「熊谷のクレームについて」