今話題になっている、偽作曲家。
寡聞にも私は知らなかったが、嘘がばれてからの情報や昔のエピソードなどを聞くと、
典型的な「演技性パーソナリティ障害」に映る。
要するに、根っからの”虚言癖”で、顕示性性格ともいわれるタイプ。
すなわち、他者から実際以上に高い注目・評価を得ることが生きる目的であるため、
ほとんど常に”ホラ”で固める。
ホラというのは、自分を世間的に高いレベルにあることを言う嘘で、
相手を騙して利益を得るための嘘とは異なる。
そのホラで生きているため(半ば自分自身で信じ込むため)、自信たっぷりで、
嘘をつく後ろめたさを微塵も出さない。
なので、初対面では見破ることができない。
見破るとすれば、この性格パターンに対する知見をもっていて、
同時に本人の生活実態を詳しく知ることで、言っていることの矛盾が露呈される場合。
今回の場合も、表面的にしか接しないマスコミはころりと騙されたが、
音楽と障害者の側の人たちはいぶかっていたという。
ちなみに、パーソナリティ障害レベルでなく、心の病として重症化すると、
「ヒステリー」(古典的表現)という神経症(不安障害)になる。
ヒステリーは、世間では誤解されたイメージが拡がっているため、
現在では、解離型と転換型に分れている。
解離型は、単純には失神発作であり、あるいは記憶喪失、
さらには解離性同一性障害いわゆる「多重人格症」が該当する。
転換型は、とくに麻痺(視覚、聴覚!、歩行など)を示すが、解剖学的変化がないのが特徴で、
”必要”無い場合は、麻痺を示さなくなる。
無意識レベルには詐病だが、意識レベルの詐病でなく(本人も症状に驚く)、
症状レベルは本当なので問診する医師も見破れない(音刺激に反応する脳波をとらない限り)。
なので、聴覚障害の部分はこれに該当すると思われる(手帳を持っていてもおかしくない)。
聴覚障害は嘘か本当かという議論は、双方から真実の証拠が呈示可能となり、意味がないのだ。
普通なら、早晩ホラがばれて、周囲からは”ほら吹き”で知られるようになるのだが、
今回は、虚言を実現する影の協力者(相当に実力がある)がいたせいで、
かえって虚言が次々と実現されてしまった。
とんでもない茶番劇に世間が振り回されていたことになるが、
このように自分中心に他者たちを振り回すことが、彼らの生き様なのである
(他者に損害を与えるためではなく、時には愛らしいこともある)。
ちなみに、今現在のような社会的に苦しい状況では、聴覚あるいは別の障害が発症する可能性がある。
もちろんその症状はホンモノなので、「障害は嘘ではなかった」と主張されるかもしれない。
病気になることで利益を得る体質になっているのだ。
こういう人は一定数いる、ということを知っておいても損はない。
※私個人は、DSM(アメリカ精神医学会の診断マニュアル)に100%従うという意思はないので、
障害名など必ずしもそれと一致しないことがある。