今日こんなことが

山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

iOSで血管年齢を測る

2016年03月26日 | 計測

血糖値以外の3/4メタボに該当する私は動脈硬化予備軍である。
ならば”計測マン”を自称する者として、動脈硬化の状態を測ろうと、 

iOSにつなげるiHeartという装置を買って、わがiPadminiで自分の血管年齢を測っている。
装置を買ってから勉強したのだが、 血管年齢(血管壁の硬度)の医学的な測定法には、「加速度脈波」(AGP)と「脈波伝播速度」(PWV)がある。
AGPは日本で使われているが、国際的に年齢や寿命と強い相関があると認められているのはPWV 。
ついでに、最も簡単に動脈硬化を推定する方法は、脈圧(拡張期血圧−収縮期血圧)で、これが60以上なら要注意。

iHeartは指尖脈波を測っているようなので、てっきりAGPを測っているのかと思った。一方PWVは上腕や大腿などで測る。
ただAGPだと脈波を2階微分して、すなわち1階微分で速度を出し、さらにもう1階微分で加速度を出すのだが、iHaertだと3階微分をしている。 

そこで販売元にメールで何を測っているのか質問してみた。

すると、翌日、なんと開発者のGoodman医学博士から、直々に回答をもらった。
私のメールが先方で英訳され、それに対して博士が英語で回答してくれたのだ。
さらにお礼のメールを日本語で出すと、それについても返信が返ってきた。
さすが、名前通り”良い人”。 

それらによってわかったのはiHeartは指先の動脈波から、大動脈の伝播速度を割り出して計算するアルゴリズムだということだ。
すなわちAGPではなくPWVなのだ。
PWVだと血圧や飲食、ストレスの影響を受けるので、継続的に測定する必要がある。

3階微分はiHeart固有の方法らしく、日本のPWVの論文には見当たらない。
G博士によればアルゴリズムの妥当性・信頼性(すなわちiHeartの指標が大動脈の血管壁硬度をほぼ正しく示すこと)は確かなようだが、それを保証する研究論文にはお目にかかっていない。
でも測定方法がAGPより大掛かりなPWVが、まさにAGPと同じく指先で測れるとしたら画期的だ。
そのような画期的な,すなわち専門的計測のスマホ対応化はアメリカやドイツでどんどん進んでいる。
こういう安価な民生化が日本でなかなか進まないのは、医療分野では利権の問題が大きいのかもしれないが、電磁波や水質、それに放射線など環境計測分野でも同様なので、バカ高い製品にあぐらをかいているメーカーと、自分で計測しようとしない国民の知性レベルの問題の方が大きいようだ(たとえば、放射線について定量的な評価ができない。例外的に体重計だけ、やたら測定項目が進化している…)。

ただ、ウォークマンを出したソニーがiPod(CDを不要にした)を作れなかったのは、技術的問題ではなく、CD利権を握っていたためだ。

いずれにせよ、既存の利権・発想にとらわれている日本(の企業)からはAppleもGoogleも生れそうもなく、かくして計測マンの装備は外国製ばかりとなる。