今日こんなことが

山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

今日の竜巻注意報の原因

2017年05月26日 | お天気

5月26日18時すぎ、愛知県・岐阜県・長野県の一部に発生確度2の「竜巻注意報」が発令された。

これは「竜巻警報」のない日本では最大級の予想情報である。

実際、レーダーナウキャストを見ると、長野南部から岐阜東濃・愛知北部にかけて、線状の強いエコーが見られる。
すなわち線状降水帯である。

ところが地上天気図を見ると(右図)、それに該当しておかしくない寒冷前線がその地域に見当たらない(図中の寒冷前線は太平洋の南方海上で全く別物)。
地上天気図ではこの現象に対する情報がないのだ。

なぜなら、この現象は上空の寒冷渦(カンンレイウズ:高層で発達した低気圧)のしわざだから。

ためしに、上空5000m付近の 500hPa高層天気図を見ると(下図)、朝鮮半島の東側に明確な低圧渦がある。
これが寒冷渦で、点線の等温線を見ると、寒気がぐぐっと北東から南下しているのがわかる。

すなわち、上空から寒気が入って大気が不安定になる状態が寒冷渦によって持続されているのだ。
寒冷渦では、その南東面で地上での暖気との衝突面があり、そこに上昇流が発生して積乱雲が線状に発達する。
上述した地上の線状降水帯はこれで説明できる。
さらに積乱雲は、あらゆるシビアな気象現象の原因で、竜巻の原因でもある。

この寒冷渦は地上天気図では前線を伴わない1000hPaの存在感のない低気圧としか表現されない。

というわけで、地上天気図では表現できない気象現象が東海地方に竜巻注意報をもたらしているのだ(テレビのお天気番組では、衛星画像の渦状の雲で寒冷渦を紹介していた)。

今の時代は、特に高度の高い山に行く人はなおさら、高層天気図も参照する必要がある。