半睡(はんすい)とは、国語辞典によると「意識もうろう状態」というまさに朦朧とした定義で、もっときちんと睡眠行動学的な定義をしたい。
なぜなら、この半睡としか言いようのない体験をしたから。
先日の旅先の宿で寝ていて、もうじき起きなくては(旅宿は朝食が早い)と思いつつ、5分か10分ごとに睡眠と覚醒を繰り返していた時に経験した(日常の平日でもこういうことはある)。
頭はほぼ覚醒して意識があり、閉眼しながら思考状態になっている。
ところがふと気がつくと、身体は寝息をたてている。
寝息という睡眠時特有の呼吸運動は、覚醒時の呼吸より深くまたリズミカルな大きな運動で、”寝息”と言われる音を立てる。
その時、意識は覚醒しているから、自分の寝息の音を聴くことになる。
実に不思議な体験だった。
自分の寝息をリアルタイムで聴いたという意味でも。
眠っている自分を別の自分が気づいている状態だが、夢は見ていないので明晰夢ではない。
それでいて身体は眠っているので、短時間ながら眠ったという充実感は得られる(睡眠負債が減る)。
意識は覚醒状態でありながら身体は睡眠というこの現象(行動)をこそ、「半睡」と定義したい。
行動についての言葉は、せっかくなら学術的正確さをもちたい(学問は社会に適用されてこそ存在意義がある)。
開眼夢とともに、これも睡眠と覚醒の中間状態(混合状態)の一つだ。
睡眠と夢見と覚醒との関係はかくも複雑だ。→「夢を見る心:序」