最近嵌(は)まっている”郷土博物館巡り”のバリエーションとして、大学の博物館も選択肢に入れたい。
特に東京都内は大学がひしめいているので、こうすると訪問先がぐっと増える。
大学の施設として一般公開している博物館は、大学が休みの休日(日曜)も開館し、さらに入館料も無料というのも嬉しい。
もちろん、このような博物館を運営できるのは、経営的にも学術レベル的にもハイレベルの大学に限られ、同業者として羨ましい限りだが(わが勤務先の大学にも自校の歴史館はある)、社会における知的情報の集積地であり発信地でもあるべき大学の事業の一環として可能な限り実現してほしいものだ。
その最初の訪問先になったのは、私学の雄・早稲田大学。
ここの会津八一記念博物館で、「下総龍角寺展」をやってるのを近所の区立図書館で知って、その寺の白鳳時代の薬師如来(重文)が展示されているということで、ぜひ見たいと思った。
早稲田大学へはわが家から都バス一本で行ける。
台風くずれの低気圧影響下なのでキャンパスも空いているだろうと思ったが、大学は秋期の入学式当日で、入学生は春よりはぐっと少ないはずながら、それなりに真新しいスーツ姿の新入生がかたまっている。
あと外国人留学生の姿も目に付く。
わが勤務先やその周辺の中規模大学と異なり、キャンパスは出入り自由で、私のような明らかに部外者風情でも誰に咎められることなく、校内を歩き回れる。
さて、建物自体に風格がある会津八一記念博物館に入ると、専門の職員が受付けばかりか、展示室ごとに配属されており、数カ国語の案内パンフレットも用意されている。
さらに、今回の特別展の図録まで販売されている。
実に本物の博物館と遜色ない。
次に、大隈記念タワーという高層ビルの10階に上がって、考古学・民族資料常設展示も見学する。
吉村作治元教授で有名な古代エジプトの資料のほか、この大学の野球場跡地で発掘された考古学資料も展示してある。
最後に、これまた風格がある1号館の早稲田大学歴史館(写真)に入る。
ここは大学の歴史についての展示で、早稲田大学を作った大隈重信(総理経験者)の葬儀は、国民からの支持を得ての国民葬だったという。
それと大学出身者の総理経験者の一覧には、まさに現岸田総理も名を連ねている。
この歴史館にはミュージアムショップ(早稲田グッズの販売)もあってやはり専属の職員がいる。
かように大学の博物館は、それなりの人件費もかかっているわけで、それでも運営できる財力に感心してしまう。