今日こんなことが

山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

中毒と依存の違い

2023年05月19日 | 時事

今だから、「薬物中毒」と「薬物依存」の違いについて明確にし、両者の混同を一掃したい(「ヤク中」という俗語にしか接しない人が混同している)。

中毒とは、毒に中(あ)たることで、毒による作用(症状)が発現している事を言う。
その典型が「食中毒」であり、これを理解しない人はいない。

その流れで言うと、アルコール中毒は、アルコール毒による症状が出ている事で、急性で軽い場合は酩酊ですむが、重症になると意識混濁、最悪の場合は呼吸停止で死亡する。
そして慢性症状は、手足の震えや精神症状(幻覚)などがあり、これがいわゆる「アル中」の症状として演技などで示される(この限りでは「アル中」の用法は間違いでない)。

その慢性症状は、アルコール依存によって起こる。
すなわち、アルコール依存は、アルコールの常用が生活に悪影響が出るほどに進んだ場合で、その結果として、本来毒物であるアルコールによる中毒症状が出るわけだ。
依存には心理的依存と身体的依存がある。
身体的依存は、それが切れると身体反応(離脱症状)が起こる状態。
この症状(いわゆる禁断症状)は中毒症状とは異なる。

アルコール依存はアルコール中毒の原因にはなるが、100%直結するわけではない。
急性アルコール中毒はアルコール依存とは関係なく、人生たった一回の飲酒(新歓コンパ)でも起こる。

すなわち中毒は身体的毒物反応であり、依存は悪影響が出ている過度の常用という行動を言う。
なので中毒の対処は医学(薬理)的だが、依存の対処は心理学(行動修正)的となる。

従って、科学的な概念の世界では、腐った食べ物による食中毒が”腐った食べ物依存”のことでないように、薬物中毒は薬物依存とは別個の現象である。