温泉旅の真っ最中なので温泉の功能について。
昨晩のグリーンプラザ浜名湖はカルシウム・ナトリウム・塩化物泉で、よくあるアルカリ単純泉と異なり、ちゃんとした”療養泉”なのだが、湯谷温泉からの運び湯であるためか、温泉分析書(脱衣場に貼ってある)に併記してある禁忌症・適応症の欄は一般的適応症は記載があるものの、泉質別適応症には記載がなかった。
今晩泊まる湯谷温泉の湯の風HAZUは、こちらこそ地場のカルシウム・ナトリウム・塩化物泉で、分析書には泉質別適応症も載っている。
「温泉ソムリエ」でもある私が個人的にこだわっている泉質は、放射能(ラドン)泉・硫黄泉・強アルカリ泉くらいで、言っては悪いが”塩化物泉”は療養泉であっても泉質的には平凡なため、”温泉であること”以上の意味を感じない。
そのカルシウム・ナトリウム・塩化物泉の泉質別適応症には「うつ状態」が載っている。
このように適応症に精神症状を謳う温泉は実際あるのだが、個人的には疑問を持っている。
まず功能の機序が納得できない。
カルシウム・ナトリウム・塩素イオン溶液に表皮を浸しただけで、どうやってそれらのイオンが脳細胞に影響するのか(確かにカルシウムとナトリウムイオンは神経細胞の興奮に作用するが、外皮→脳のルートが不明)。
あるいは、これらのイオンが経皮的にセロトニン分泌に作用するのか(セロトニン分泌を促すにはリズム運動がいいというが)。
正直言って、温泉の実質的功能の主要は湯そのものの温熱(血行促進)効果で、成分による薬理効果は、入浴の場合は、皮膚表面とそこに近い毛細血管に限定されると思う。
実際に列挙されている功能は、血行促進、筋肉の疲労回復、皮膚の治療/美容効果が主である。
飲泉すれば、内臓に効くだろう(皮膚以外の薬理効果は、入浴より飲泉の方が効率的。ただし細菌などの検査がない温泉は勝手に飲泉しないこと)。
温泉成分で身体内部にどんどん浸透するのはラドンなどの放射線くらいしかない。
温泉に精神的効果があるなら、それは泉質(含有物質)によるというより、浴室のたたずまい、宿での生活、転地効果などの環境心理的影響ではないか。
ストレッサーから離れて、生活リズム(睡眠と食事)を再構成し、入浴というリラックス行動を繰り返すことは意味があると思う。
私自身が定期的に温泉旅を繰り返しているのも、仕事・日常を離れた風光明媚な別空間に身を置いて、副交感神経を刺激する温浴行動を繰り返して、ストレス解消するためだ。
追記:そういえば、私が実感した温泉の功能は、帯状疱疹。
ただし皮膚がただれていないこと。
出来物ができる前の痛みだしのタイミングにいい(これは温熱効果なので、本当は温湿布で事足りる)。