ブレーキが利かなくなると、暴走して事故を起こす。
富士山麓のバス横転事故の話だけではない。
頻発する山での滑落事故しかり。
山の下りは、自重が加速度の原因となり、沢や高山のガレ場で滑落すると止めるものがなく、さらに加速度がついて、衝突の衝撃で死亡する。
山では体力的にきついのは登りの方だが、危険なのは下りの方。
なのに、下りの惰性(加速度)にまかせて降りて転倒・滑落する人が絶えない。
いったん加速度がつくとブレーキが利かなくなるのは、物理現象だけではない。
まずは行動習慣。
いくら好きで健康にいいからといって、納豆を日に6パックも食べて痛風を発症したマツコは、ブレーキが外れた”無節操”状態。
「過ぎたればなお及ばざるが如し」の格言を地で行ってる。
人間の思想も、加速度がつくと極端化して、暴力的な過激思想に変貌する。
”環境保護”という正義が、いつのまにか人類の美術遺産を毀損するまでに過激化した。
はるか古代において、思考・行動のブレーキが利かなくなる傾向に気づいたギリシャ・インド・中国の哲人は、中道・中庸(節度)を唱えたのだが※…
※:ギリシャ哲学や仏典を読まなくても『論語』で充分。”最適値”という工学的発想も同じ。
相変わらず現代人はあちこちでブレーキを踏み外ている。
もちろん反動でブレーキを踏んだままにすることも逆の極端化。
無限の極端化に進む一次直線(y=ax)思考を脱して、最適値が求まる二次曲線(y=-ax^2)思考への転換が、システム2(自我機能)の成熟の鍵といえる。
一次直線は小学校の算数、二次曲線は中学校の数学で習う。
どちらも義務教育内だから、誰でも後者に変換可能なはず。