箱庭にて

2014-06-07 02:22:51 | 音楽&本&映画
梅田のロフトにはお遊び用品の雑貨屋があって、普通のお店ではあまり見ない珍しいグッズがたくさん並んでいる。
置いてる本の種類も変わっていて、大きな本屋でも取り寄せが必要と思われる書物が山と積まれている。
こんなマイナーな本がこんなに売れるのかなと心配だが、自分も売り上げに貢献してるんだから売れるんだろう。

いつだったかそれほど遠くない昔、普通の本屋で見かけた気になる漫画本をその雑貨屋で再び見つけた。
昔その本を見た時、装丁の絵が魅力的で欲しくなったが、中味が分からず購入する決断が下せず。
存在をすっかり忘れていたが、今回同じように目に留まりしばらくして、そういえば昔見たぞと思い出した。
二度も目に留まるくらいだから、よほど私の心に訴えるものがあるのだろう。
最近時々やってしまうジャケ買いをまたしてしまった。

その本の名は「ひきだしにテラリウム」。
九井諒子(くいりょうこ)著。
マンガのショートショートで33話も入っている。
沢山のアイデアがきらめいていた。
題材に半分SFちっくな設定が使われていて、学生の頃大量に読んだSF小説を思い出して少し懐かしい。
絵も内容にあった多彩な表現で、雰囲気をうまく伝えている。
すらすらと読みたくないがすらすらと読んでしまった。
昔の自分ならもっと一コマ一コマ吟味して楽しんだだろう。
読み方が随分と変わってしまった。

読み終えて数日後、テラリウムってなんだったかとネットで検索をかけたら、「Web文芸誌マトグロッソ」というのが引っかかった。
そこに掲載されていたものを単行本化したようで、人気の高かった4作品がネット上再掲されている。
私の記憶に残ったお話とは少し異なり、意見が合ったのはひとつだけ。

「記号を食べる」
旨そうに見えないんだけど気になる食材。
テニ友に見せたら、「自分だったら本屋でこれを見かけても、なんだこれ、で終わりだな。」とのこと。
私の様にこんなのに興味を持つ人は意外と限定されるのかもしれない。

みな面白いが中でも私のお気に入りは、

「神のみぞ知る」
本編終わった次のページの陰陽師を見て笑った。
あなたが思う様な事を勧めるわけ無いじゃん、と言っていた。

「すごい飯」
表現力と想像力が融合してできた非現実とその実際。
私も幸せな食事がしたい。

「未来人」
上手いなあ。
しっかり忘れた頃にブスッとやられた。

手に入れて良かった。
またジャケ買いするかな。