


ムツ(本ムツ・黒ムツ・赤ムツ)
【語源】

ムツというのは四国地方の方言の「ムツコイ」に由来すると言われ
ます。これは味が濃いとか、しつこい、脂っこいという意味だそう
です。

現在では魚の脂をことのほか高く評価しますが、昔は旨味が評価の
基準で、脂はマイナス材料だったようです。

マグロにおいてもトロの部分は猫もまたぐとされ、捨てられていた
そうです~!もったいない話ですね~!







【旬】

ムツと呼ばれる魚は3種類あります。「ムツ(本ムツ)」と「クロム
ツ」・「アカムツ(ノドクロ)」です。

旬はすべて冬です。











しかし、アカムツ(のどくろ)だけは別物。本ムツとクロムツはスズキ
目ムツ科ムツ属ですが、アカムツはスズキ目スズキ科アカムツ属の魚
です。





ちなみに、一昔前まで鮮魚売場で見かけた「銀むつ」と言う魚・・・
実は、あやかり「ムツ」で、今は「メロ」という標準和名で、販売
されています~!











【うんちく】

アカムツ(のどくろ)は字の通り、体色が赤です。

ムツとクロムツは非常に似通っており、市場においても区別なく
流通しているあり様。

見分け方は、体色がやや茶色がかっているのがムツ(本ムツ)。
紫がかった黒色をしているのがクロムツです。

また、細かい話になりますが、側線の上に並ぶウロコの数が58枚以下
なのがムツ(本ムツ)。60枚以上がクロムツだそうです。







ムツ(本ムツ)とアカムツ(ノドクロ)は北海道以南の日本近海、
朝鮮半島南部から台湾北部の東シナ海に、クロムツは北海道南部から
駿河湾、新島にかけての太平洋沿岸域に分布しています。

水深200~700mの岩礁域が住み、小魚やエビ・カニ類、イカ類
などを食べます。非常に大食の魚です。

食い溜めができるように大きな胃袋を持っており、これは、餌の少な
い深海で暮らす魚の特徴です。




【ブランド・産地】

北陸地方のアカムツ(のどくろ)はブランド化されつつあると言える
でしょう。

特に石川県能登の「ノドクロ」は有名です。

ムツ(本ムツ)・クロムツについてはブランド化はされていません。







【産地ならではの漁師料理】

ムツ・黒ムツは刺身・煮付け、塩焼きなどで、アカムツ(ノドクロ)
は、煮付け、塩焼き、干物などで食されます。

漁師さんは、産卵直前の卵巣「むつこ」を好んで食べます。
煮付けが最高!ご飯がすすみます。





また、クロムツは鍋が最高といいます。新鮮なものは、特に「エラ」
が美味いと・・漁師さんはいいます。

マグロ君としては、アカムツの肝を煮たものも捨てがたいですね~。
濃厚なあの味わいが忘れられません。







【栄養と効果・健康】

たんぱく質・脂肪分が多い魚です。
ビタミンでは、カルシュームの吸収を助けるDと動脈硬化や癌を抑制
するAが多目。

細胞を若々しく保つビタミンEも豊富に含んでいます。


また、血液中の中性脂肪やコレステロールを抑え、高血圧を抑制する
DHA・EPAも豊富に含んでいます。

生活習慣病予防には最適の魚。ただ、高価なのが玉にキズですね。




















↑(上)ノドクロの炙りを巻き物にしたものが↓(下)


















