柳葉魚(シシャモ)
【語源】
北海道のアイヌ伝説の中に「ししゃも」にまつわるものがあります。
昔、飢饉の続いた貧しい村の娘が、病気の父親のために食べ物を探し
ていると、川に落ちた柳の葉が魚になって泳ぎ始めました。
喜んだ娘はそれをとって帰り、父親に食べさせました。
孝行娘のためにカムイ(神様)が柳の葉を魚に変えたのだと言う伝説
があります。
生の本シシャモ
生のカラフトシシャモ
本シシャモの天ぷら
柳の葉をアイヌ語で「シュシュハム」といい、これが転じて
「ししゃも」と呼ばれるようになったと言う説が有力です。
漢字で書いても柳葉魚(ししゃも)。この伝説の影響を色濃く受けて
いるようです。
北海道のシシャモ
【旬】
シシャモは北海道を代表する魚です。
和人が北海道に入り込む以前の大昔から、アイヌの人達の重要な
食材でした。
昔は、産卵の為、川を遡上するシシャモで、川底が真黒になるほど
だったとか・・・・。
しかし、近年、乱獲によりかなり減っているとか・・・。
悲しい話ですね~!
その腹にギッシリと卵を持つ秋が旬といえます。
樺太シシャモ
【うんちく】
シシャモは鮭目キュウリウオ科シシャモ属の魚です。
この為か、鮭と同じように産卵時期には川を遡上します。
シシャモは北海道の限られた場所にしかいません。
北海道南東部の太平洋沿岸にだけ分布する日本固有種です。
普段は沿岸海域で生活していますが、1歳半となる10月中旬から11月
下旬の産卵期には、サケのように群れをなして故郷の河川をさかの
ぼります。
この時季に河口部で「ししゃも漁」がおこなわれるわけです。
日高地方では10月に入ると、十勝、釧路地方では10月中旬位に漁が
解禁になります。
本シシャモの焼いた物
この本物のシシャモは、流通している内のわずか5%位です。
残りの95%はアイスランドやノルウェー等から輸入される「キャペ
リン(樺太ししゃも)」と言う違う魚なんですよ~。
本物のシシャモのことは、「本シシャモ」とか「本ちゃん」と
呼ばれ、高値で流通しているようです。
本ちゃんシシャモ
【ブランド・産地】
この少ない北海道産の本物のシシャモ(本ちゃん)はブランド化し
ていると言っても過言ではありません。
本シシャモの産地は北海道です。
一方、樺太シシャモは淡水域には出現しません。
北海道・オホーツク海沿岸・樺太・カムチャッカ・北米太平洋北部
と北極海などが、主な産地です。
ブランド化はされていません。
樺太シシャモ
【ししゃも伝説】
シシャモの伝説は、【語源】で記した以外にもあります。
雷神と国を守る神の国の庭に柳が植えてあり、或年の秋、その葉が
誤って下界に落ち、アイヌのコタン部落に散ったとか。
神は腐るのを恐れ、生命を与えて魚に変えたが、魚は秋になると
神の国に戻ろうとして川を上るのだと言う伝説が一つ。
熊や鹿が獲れず、大飢饉に見舞われた年があり、村人は一生懸命
神様に祈ったとか。この祈りを聞いた神様は、川のほとりの柳の葉を
たくさん取って川に入れ、魚に変えたとか・・・。
やがて、その柳の葉に似た小魚が、川いっぱいに上ってきて、その年
飢えることがなく暮らしたと言う伝説があります。
樺太シシャモの焼いた物
【産地ならではの漁師料理】
シシャモと言えば、干しししゃも・・・これをかるく炙って食べる
のが王道です。
子をたくさん持った干しシシャモ・・・お酒がすすみます。
その他の食べ方としては、天ぷら、フライ、甘露煮、酢漬けなどが
ありますが、漁師さんも干しシシャモが一番好きなようです。
しかし、北海道の方が好んで食べるのは、子を持たないオスの方。
「卵を楽しむならメスだが、本当に美味しいのはオスだよ。
脂がのって魚自体・身は最高に美味いよ」っと教えてくれました。
実際、北海道ではオスの方が高値で流通する事もあるようです。
そして、この鮮度抜群の雄を使った寿司は、贅沢の極みと言えるでしょう。
本ちゃんシシャモ
【栄養と効果・健康】
たんぱく質が少なく、脂肪分の多い魚です。
骨ごと食べる為、カルシュームは多く摂取できます。
ミネラルでは、心臓病を予防するマグネシウム、貧血に良い鉄分、
味覚や嗅覚の働きを良くする亜鉛などを豊富に含んでいます。
ビタミンでは、若返りのビタミンEを多く含みます。
また、二日酔いの原因となるアセトアルデヒドを分解するナイアシン
も豊富。お酒との相性はバッチリです。
しかし、卵も含め、内臓ごと食べるのでコレステロールを気にしてる
方は食べ過ぎ注意です。
樺太シシャモ
本ちゃんのシシャモ(雄)
本ちゃんのシシャモ(雌)
本チャンししゃも子のフライ
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