のんびりぽつぽつ

日常のこと、本のこと、大好きなこと・・・
いろいろ、と。
のんびりと。

そして更に。

2009年12月25日 22時59分53秒 | ★★宮部みゆき
再読は進む。

「ぼんくら」読了ときたら、やっぱり「日暮し」に進むよね。


江戸の町の、ゆったりした時の流れ。
人々の気持ちの温かさ。
悲しい物語が底辺にあっても、
支えあって笑いあって生きる力強さ。

宮部流時代小説は、こうであってほしい・・・

そう望んでしまうのは、我儘かな。


庶民の年の瀬。ほっとするひととき。
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再読中。

2009年12月22日 22時54分41秒 | ★★宮部みゆき
宮部さんに落ち込まされて、
その宮部さんにほっとさせられる。

ただ今、「ぼんくら」再読中。下巻。

だから、ね。
そうなのよ。

「死ぬこと」は身近にあるけれど、
庶民を描く作品には、
精一杯生きる力強さと、
精一杯支えあう温かさが、ある。


それが、武家社会には徹底して描かれなかったな・・・と、
「弧宿の人」を思い返しています、です。


描く世界が違うのだ、といったらそれまでだけど、、ね。

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「弧宿の人」

2009年12月17日 09時06分33秒 | ★★宮部みゆき
宮部 みゆき 著 
新潮文庫。上下巻。


以下、ネタバレあり!です。未読の方、ラストに触れていますのでご注意くださいませ




では、いきます。


人は、こんなにも脆いものか。
たったひとつの出来事が、たった一人の人物が、一つの藩を狼狽させ、心の中に闇を起こし破滅に向かわせる。
はからずもまた、たった一人の少女が、その関わった全ての人にほのかな光をみせる。

無垢 とはこういうことなのか。

あまりにも、人が死にすぎて、正直、上巻で止めたくなった。
今の私が手にする本じゃなかった気はしている。
それでも止めずに読み続けられたのは、ほうがいたから、、、。

はたから見たらあまりに過酷な人生を、自身はただただ必死に精一杯生きる。
その時々に救いの手をさしのべる人々は、その時々の都合でまた、冷たい仕打ちもするというのに。
どうしてこの子はこんなにも人をきちんと見て受け止めることができるのだろう?

本人はそうとは気付かずに、一番本質の所を良く判っている少女。
彼女の姿を追いたくて、結局最後まで読みきってしまった。

それにしても、武家社会っていうのは、本当に面倒だ。
参ったな。
本気で家斉公をキライになりそう。。
この丸海藩の騒動も、大元を探れば、公の我儘身勝手が引き起こしたこと。
一橋と田沼・・・・・(これ以上はここでは脱線だから言わないけれど・・・)
政治の中枢から遠く離れた場所にまで、
その時の国のトップに立つものは影響を及ぼす。

雷の怖さを知り尽くした場所での、
雷の怖さを使った思惑。
ただ優しいだけではない、大人の暗い思惑と、
ただ、純粋に守ってやりたい、救ってやりたいという若者達のこころと。

人の強さと弱さがあちこちに散りばめられて、辛く切なく胸を打つ。

様々な闇を見つめて、それでも生き残った人々は先に進まなくてはいけない。
たった一つ、ちいさな光であったほうの行く末に幸あれ!
涙と嗚咽のとまらないラストの中で祈っていた。

真っ暗闇の中の一点の灯り。
ほう。方。宝・・・
彼女は読む側にとっても唯一の光だったな。

ほんっとに・・・参った・・・。

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「ぼんくら」2回目の感想文。

2008年12月15日 09時20分52秒 | ★★宮部みゆき
『日暮らし』が文庫化されて続編をようやく読めたことから、再読。
細かいところを忘れていたから、こっちから読んでもう一回『日暮らし』にいこう、と決意したけど・・・・・

初めて『ぼんくら』を読んだとき。
江戸時代のゆっくりと流れる時間と、お徳さんのおいしそうな煮売り屋さんや随所に出てくるお菓子、長屋の修繕とかお掃除とか・・・なんていう、庶民の日常っていうのにとても新鮮な感じがして楽しんだ。
ゆったりしていていいなあ、なんて感想を抱いた記憶がある。
ここでもそんな感想したし。

ところが。
今回はまったく逆。
佐吉がかわいそうで。湊屋がなんだかもう理解できなくて。
『日暮らし』を読んだからかな。それとも、時代小説にすっかり馴染んだからかな。。
それとも宮部作品の初めに『模倣犯』を手にして、その後が『ぼんくら』だったからずっと優しい作品だって思ったのかな。
「長い影」がとても辛い。読んでいてとても、辛い。こんなに読んだ印象が変わった作品は初めてかも。
考えさせられる。様々に、諸々に。

おでこと弓之助が好き!っていうのは変わらないんだけれど、ね。
作品としてはとても好きっていうのも、変わらないんだけれど、ね。


余談。
土曜日に下の子のクリスマス会の手伝いで学校に行ったんだけど。
差し入れのお菓子が大量であまりの多さに全部は出せず、係りのお母さんが持ち帰ることになった。
そこで私。
大八車がいるねー!」
・・・・・と、言ってしまったさ!

ああー。気分は江戸住み~~~~

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「今夜は眠れない」

2007年01月23日 18時34分31秒 | ★★宮部みゆき
宮部 みゆき 著
角川文庫。

父と母と僕の平凡な3人家族。
ある日突然、母親に5億円が「放浪の相場師」と呼ばれた人物から遺贈される。
そのことから世間の嵐に巻き込まれ、ついでに家の中も大荒れの台風状態になり、遂には父親が家出する。

なぜ、自分の母親にこんな大金が遺されたのか?僕こと雅男と親友の島崎君が調べ始め、この騒ぎは意外な方向に転がりだす。

中学1年生の彼らがとても生き生きとしている。
状況は二転三転するような騒ぎのなか、島崎くんの妙に世慣れた知恵と、雅男の中一らしい発想で真相究明されていく。

ラストは、へえ~~~~~~、ありゃりゃ、いまからそれを知ってしまってこの子達将来・・・ゲホゲホゲホ・・・・

っても思ったんだけれど。
軽い推理と青春小説、って感じでしょうか。
あっさりと読めました。

宮部作品にしては、一人ひとりの人物をあっさりと描き出していて、気軽に読める。
初めて手に取るにはいい作品だなー、と思います。

あ、だからでしょうか。この作品は「青い鳥文庫」にも同名で収録されてます。

私的には、、島崎くんの生い立ちが知りたいなあ。非常にいい味を出している彼は、一体どんな育ち方をしてああなったんだろ?家庭は至って平凡な床屋さんなんだけど。。(笑)
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「あかんべえ」

2007年01月14日 22時28分09秒 | ★★宮部みゆき
宮部 みゆき 著 新潮文庫。上下巻。

久々の、宮部さんの時代小説!
そう。先日の「ねこのばば」以来、私の気持ちは「江戸時代~」になっているのでした。。(進歩ないね。確か以前は鬼平まで飛んでったことがあったなさて、今回はどうなるでしょう??現代に戻ってこられるか?私??)

以下感想文。ちょっとだけですが、ネタバレありです。これから読む予定のある方はこれがわかると作品の魅力が下がってしまうと思いますので、読まないでくださいませ




得意の、、といっていいのかな。幽霊がらみのお話。
あの時代、多分かなりな確立で、こういうことは日常にあったのでしょうね。「生と死」が隣り合わせにとても身近にあった時代だから。

七兵衛とおさきという夫婦の構える「高田屋」という賄い屋で子どもの時から仕込まれ、「自分の長年の夢だった料理屋を興してくれ」と、親とも言える七兵衛に願われて、深川に「ふね屋」という料理屋を出す、太一郎と多恵夫婦。そして二人の大切な一粒種、十二歳の少女おりん。
この、料理屋の建物が・・いわくてんこ盛り!な、お化け屋敷だったのだ。
その事情を細部まではっきりと理解できるのが、十二歳のおりんちゃん。
引っ越してきてから、三途の川のほとりまで行ってしまう大病をしたせいなのか、この料理屋の建物に住む(??)お化けさんたち5人を見ることができ、話もできてしまう彼女は、この人たちが何故、現世にとらわれて成仏できないのかを調べて、解きほぐすことを彼らに約束する。
それは、三十年前に遡る、身の毛のよだつ1つの事件のせいだったのだけれど・・・

宮部流、全開!!
物語の中心は、このお化け騒動なのだけれど、他にも、何故、どうして?がてんこ盛り。あっちもこっちもいろいろなつながり、しがらみ、思い、思惑・・が入り乱れ、それがラストにきっちりと整理される。
それが、現代物と違って、なんとも温かみがある物語運びで・・

あの時代の、今にはない人と人とのつながりを感じられる作品だった。

ようするに、このお話の中心は、お梅ちゃん(さて誰でしょう?気になったら、読む予定のなかった人はこの本を読もうよ~~イジワル?)だったのね、と思ったときの衝撃はすごかったけど。(鳥肌たったよ。。ラストちょっと前の風景には。そして同時にとても切ないんだな。)
だから、作品の題名も「あかんべえ」なんだよねー。

物語の進行上、あまり触れられていないところで、とても気になったこと1つ。
腕に覚えのある包丁人の太一郎。
彼は一連の騒動(早い話が、幽霊の出る料理屋ってなってしまうのだ・・旗揚げの日の騒動で・・・)のなかで、渾身の料理をことごとく評価されずに終わってしまう。
食べてるときには絶賛なのに、途中から騒動が起こって最後は、器も料理もたたみに転がり、割れ、壊れ・・・・
哀れだなあ・・と思った。工夫に工夫を重ねて、お客の好みからその日がどんな祝い事かまで考えて出される料理が、「幽霊」の一言で吹っ飛んでしまうんだもの。
空しいだろうなあ。。。
騒動が治まった今後、きっとふね屋は盛り返して行くだろうと、切に祈ってます・・・(あ、江戸時代。。行っただろうと、、か。)

宮部さん、また時代小説が読みたいな。
「ぼんくら」でも読み直そうかな・・。


余談(もしくは蛇足)
主要人物の一人、太一郎。。
あのね。先日の「ねこのばば」の若だんなは一太郎なのね。で、今度は太一郎でしょ。こうなったらやっぱり次は太一郎さん・・・か?かあ??
と、ひとり苦笑してしまったり。
でも、太一郎っていう主人公は、『太一郎さん』以来、私は初めて出会ったなあ。どうしても「さん」付けの彼を最初は思い出しちゃって妄想が暴走・・・・したりしなかったり、、。頭の中で、意識して「呼捨て」にしてやっと、太一郎が太一郎として入ってきましたです。。
名前1つでこれだなんて、、困ったもんだ
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『ブレイブ・ストーリー』

2006年07月10日 00時03分58秒 | ★★宮部みゆき
宮部 みゆき 著 角川文庫。

昨日からでしたっけ?アニメ映画が公開されました、ブレイブ・ストーリー。
その原作小説のほうの感想ですが、ラストのネタバレが軽くあります。
読んで無い人は避けてくださいね。おもしろくなくなります。わかっちゃうと。。。!!!

私は、3冊組になった文庫版でお話を楽しみました。
最初に書かれたのは、スニーカー文庫みたいですね。そちらを見ていないんですけれど、この文庫版。装丁がかなり好みです




読みはじめは、「とまどい」
とにかく、これでもか?っていうくらい、宮部流の対人関係の描写が続き・・・それが、とても苦しい内容であったため、「これはホントにファンタジーなのか?」と戸惑いの方が先にたち、非常に憤りも感じてしまったりなどして、辛かった。
何しろ、私は10歳の亘と同じ年齢の子を持つ親なんだ。そこがどうしても先にたち、憤りを押さえきれずに苦しくて・・・・。
それが。
その、10歳の男の子には苛烈窮まる状況のなか、その「運命」を変えようと扉を開けてから先のストーリーは。
ほんとうに、一人の少年がほんの少し大人・・ではないな、自分の両足で立てるように成長する、純粋にそういうお話に激変。現世(うつしよ)から幻界(ヴィジョン)に入ってからの「ワタル」の頑張りは心に響いて、躓きは決して人にとってマイナスではない。ぶつかって、苦しんでも、必ずその先にその分の答えがあるって教えてくれる。
まさしくそのまんま、勇気の話になっている。

読み終わりは、衝撃と、苦い感動の涙。

それは決して、すっきりきっぱり、「主人公は幸せに暮らしました」ってものではなく、
たとえば、ミツルはどうなったのか。美鶴はどうなるのか?
ミツルとロンメル隊長が境界を作った(ってことだろうなあ?)この先1000年は・・・?
オンバさまが砕けて散った幻界は、この先?
こんな風に、気になる点、不明な点、はっきりしない点を残しての、、なのだけれど。

きっと、それもまた、人の生きるということ。

亘が、ワタルとして一歩成長したように、きっとどんな状況でも前を向いて進んでいかれる時はくる。
そんな希望をふっと胸に抱ける、、、やっぱりこれはファンタジーなんだろうな。

・ ・・映画。どうなんでしょうね。気にはなる。でも、、、ラウ導師様の絵がねぇ。。偶然土曜日に伊東四郎さん演じる導師様の絵をみたんだけど・・・・ありゃあ~~?呼ばれて飛び出てババババ~~ン・・・(!!)ですか?あはははは~~~TVになるまで待つかな。フジだしな。きっと、TV放映もそう遠くない時期にやってくれるよ、、ね?

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『あやし』

2006年07月07日 20時52分46秒 | ★★宮部みゆき
宮部みゆき 著 角川文庫。

江戸のふしぎ噺、9編。
お店に奉公する人たちの、市井の人々の心の中にあるちょっとした隙間。
そこを丹念に描写しつつ、そこに起こる「ふしぎ」を描く。

相変わらず上手いなあ、と、思う。
ほんとうに、今、目の前にその「ふしぎ」があるんじゃないか、
心の闇やじめじめとした何かや恐怖、悲しい心が目の前にきっちりと存在しているように描かれる物語運び。
身を粉にして働いて、働いて、、働きぬいて生きている、素朴で純な人々と、そして、そこここにふしぎや、あやかしの在る世界。

宮部みゆきの時代小説は、いつだって、そういう「ふしぎ」と隣り合わせ。
生活がそこにあり、必死に生きる人々がそこに居り、生き死にと隣り合わせに生き抜く。
それをとても実感できる。
そこに、何かがある。形の無いなにか。
それがまた、人々の生き死にをとても鮮やかに描き出しているように感じる。

一気に読んで、ふうっと一息。
切なくて、悲しくて、怖いお話が目一杯詰まっていた。

また、「初ものがたり」とか「本所深川ふしぎ草紙」とか、読みたくなっちゃった。

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宮部みゆきを一気に3冊。

2006年03月29日 20時51分04秒 | ★★宮部みゆき
相変わらずの疲れ目状態です。そこに、そろそろ花粉が影響しているらしく、PCの長文をなかなか読みこなせません・・・

で、アナログな本に目一杯つっぱしっております。
目が楽なのがうれしい~~~(爆)

最近レビューをUPしてみた「初ものがたり」と「扉を開けて」以外読んだ物を記録してみようかな。。と、思ったら・・・

「レベル7」
「幻色江戸ごよみ」
「堪忍箱」
以上、宮部みゆき 著 新潮文庫

私ったら、素子姫以外、すべて宮部さんの本ばっかり読み漁っておりました。

『レベル7』
は久々の現代物のミステリー。「記憶」を題材に消したり戻したり、、そんな怖い薬を巡るお話。「レベル7まで行ったら戻れない」という言葉を残して失踪してしまった少女を探すカウンセラーの女性の話と、記憶を全くなくしてマンションの一室で目覚めた若い男女が、隣の家に住んでいた自称ルポライターと共に自分たちを探す話。二つが絶妙に重なり合い、ある一都市の別荘地で起こった恐ろしい事件でつながっていく。
犯人探しと同時に、記憶を消したかった少女の気持ちや環境とか、ふたりの若い男女の背景とか、ルポライターや協力していた医者の心とか、、、、一人ひとりに焦点を当てなおして読むと、また楽しめる、ある意味宮部作品の王道ですね~。このころからもう、こんなに細部のほんのちょっとの脇役の人まで、きっちりと描いているんですね。だからこそ、ここまで信憑性を持たせて読者にせまる作品に仕上がるんだろうな・・・と、納得・・・(してみたり・・・


『幻色江戸ごよみ』
『堪忍箱』
は、江戸時代の庶民の暮らしのお話。
「本所深川ふしぎ草紙」や「かまいたち」よりも更に小さく江戸の人々を切り取って、深く掘り下げて、丁寧に描いているように思います。
心の闇やちょっとした優しさ。しんみりと涙するお話などなど、小さなお話の一つ一つが、読んでいて心地いい・・・というのかな。ほっと、します。

短編集を続けて読んでいたせいでしょうか。
今度は、「ガッツリと長が~~い長編」が読みたくなりまして。でも、ちょっと捕物や殺人事件からは離れたいなあ~~と思い。。
今日の午後からは恩田陸の「チョコレートコスモス」という演劇物(でいいのかな?)を読み始めてます。おもしろいです。。ふっふっふ
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「初ものがたり」

2006年03月20日 18時16分23秒 | ★★宮部みゆき
宮部 みゆき 著 新潮文庫

江戸の町の滋味溢れる和食のお話・・・ではなくて~
回向院の茂七が、下っ引きの糸吉や権三と共に事件を解決していく岡っ引きの捕物帳。
深川富岡橋のたもとに丑三つ時までやっている奇妙な稲荷寿司の屋台がある、というところから物語がはじまり、つまり、この屋台のおやじが一体何者なのか?が、一番大きな謎なのだけれど、同時に、茂七が扱う事件を解くことも楽しめる物語。
物語が進むにしたがって、茂七にとって、この稲荷寿司屋のおやじは、事件に行き詰ったときに「ヒント」をくれる不思議な、けれども、とても居心地のいい場所になっていく。

時代物って、やっぱりいい。
安心感。ゆったりと流れている人々の時間。
そんな「謎解き」以外のところに、とても惹かれて読み進められる。
池波作品と共に、確かに宮部作品の「時代物」はそんな隙間の風景が見事で、リアルで、なつかしくて。
だから、ついつい江戸の町から帰ってこられなくなるんだよなあ

この作品、未完だそうで。。
というか、読み終わって「うそだろ~~~~~!?」と叫んでしまったんだけれど・・・
宮部さんにはめずらしく「あとがき」が付いていて、そこに「言い訳」が書いてあった。
でも、「決意」も同時にしてくれているわけで・・・

で、その「決意-いつか必ず」はまだ、はじまっていないのかなあ~~~~
はじまってるのかなあ~~~??どうなの??

物語のラスト。
稲荷寿司屋のおやじの正体についての、茂七の1つの推理。
「火付盗賊改」

くぅぅぅぅぅ~~~~~
ここでバックにあの曲(チャカチャ~ン チャチャチャチャカ~♪)が流れ出した、私は、・・・・『莫迦』・・・
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「天狗風-霊験お初捕物控二-」

2006年02月09日 00時10分09秒 | ★★宮部みゆき
宮部 みゆき 著 講談社文庫。

お初ちゃんの捕物帳続編であります。
前作と2冊連続で読みました。

今回は・・・「神隠し」のお話。
嫁入り前の娘が真紅に染まった異様な朝焼けのなか、一陣の風と共に姿を消す。
お初は久々に姉妹屋に顔を出した右京之介と共に御前さまに会いに行き、そこでこの件を調べるように依頼されます。
それとは別に、兄の六蔵親分も、やっぱり同じように姿を消した娘と、それに便乗した身代金の要求の事件を持ち込まれ・・・
女という性の怖さや悲しさが焦点になっている・・といっていいかと思います。

今回、「猫」が出てきます。
それも、お初と話せる鉄っていう猫。
これが、ね。
なんというか、怖さを和らげてくれたんですが、同時にちょっと謎解き的にはテンション下がりも・・・・(あらら?)
「パーフェクトブルー」のように、最初から「犬が主役じゃ!」というのは受け容れやすいんですけれど、この鉄くんや和尚の扱い方は、ちょっと不満でした
だって。人探しも猫ちゃんがわかってたりするんだもの・・・
ところが、ね。ラストでやられましたよー。最後、こう来たか!と思いました。
ネタバレになるから語らないけど、猫ちゃんでちょっぴりずっこけても(?)頑張って読みましょう。最後の最後、きっと納得できるから・・・
非常に残酷な場面を描きながら、それでも当たりが柔らかいのは、事件一辺倒に決してならない一人ひとりの細かな場面の描写や、ちょっと笑える軽妙なやりとりがあるからこそ。
そういう意味ではこの鉄って猫と姉妹屋の面々、お侍様たち面々のやりとりはほっとさせてくれるし、笑えます。

そして、お初と右京之介さまの行方も、、ね。
二人の進展~~って視点で読むと、これはまたまったく別の読み方が出来そうだなあ・・と、最後まで読んで思ってしまいました。
天狗とお初の対決に力になったのは、曲がらないまっすぐな右京之介さまのお初に対する気持ちでもあったわけだから。

1作目のほうが私は好きです。捕物的にも怖さでも。
けれども、視点を変えると違う楽しみ方が出来る!それはこの「天狗風」かな~
・・・って、こんな読み方してるのは私くらいなものかしらん・・・

3作目って出てるんでしょうか。続編が読みたいなあ~と思う今日この頃であります。(といいながら、新潮文庫の「かまいたち」に入っているお初の短編を読み始めております

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「震える岩-霊験お初捕物控-」

2006年02月08日 21時30分52秒 | ★★宮部みゆき
宮部 みゆき 著 講談社文庫。

副題に、「霊験お初捕物控」とあるように、主人公のお初はふつうの人間にはない不思議な力を持っています。
岡っ引きの兄六蔵と、一膳飯屋「姉妹屋」を営む兄嫁およしとの3人暮らし。
そして時々南町奉行の根岸肥前守の「不思議」を読み解く手伝いをしている若く溌剌として、ちょっと気の強い娘。
その彼女が、奉行の引き合わせで優男の古沢右京之介と引き合わされ、深川で騒ぎとなった「死人憑き」を調べ始めます。
それが百年前に起きた「赤穂浪士討ち入り」にまで関わっていくことになるのですが・・・

いやあ、、怖かった。
ほんっとに、、、怖かった・・・・・
本気で、背筋が寒くなりました。読んでいる途中で何度鳥肌がたって、何度後ろを振り向いたことか・・・
こうしていまPCに向かって文章考えている時でも、何となくまだ薄ら寒い・・・・
数本立ての事件の絡まり方がわかるまでが、この物語は時間がかかっていて、
それがまた、怖さを引き立てているんです・・・・・

もちろん、ストーリーも非常におもしろかった。
先日読んだ「ぼんくら」とはまったく違う、一人の町娘の視点で描かれる江戸の街の活気。風景。暮らし。
そして、プラスワンをもっている彼女の周りを囲む人々の心地よさは、どこか「龍は眠る」の少年の両親に通じるものがあり。
案外、この時代のほうが、不思議は絶えず隣にあり、死への畏怖の念もずっと大きかったことでしょうから、こういう「力」は、受け容れられやすいものでもあったのかな、とも思います。
お初のこの力に対する考え方も、周りの人々の理解と救いの上にある訳で。。。
そしてまた、右京之介さまとのやり取りの軽妙で楽しいことも気持ちがよく、彼の行く末、ふたりの今後もとても興味をそそられ・・

でも、とにかく怖いんですよ。怖い描写も抜群ですね。宮部さん・・・

なんだか感想が初めから終わりまで「こわかった~~~」に、なってしまったかな・・
あっちの謎、こっちの事情などなど、諸々が最後には見事にすっきりまとまって、答えが出ている。居心地のいい江戸の町の物語でもあります。
おもしろいです。宮部先生の時代小説。

これで立派に私も作家宮部みゆきの「おっかけ」ですか~(笑)
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「ぼんくら」

2006年01月26日 21時29分37秒 | ★★宮部みゆき
宮部 みゆき 著 講談社文庫。上・下巻。

江戸時代。のらくらと、問題ごとは一切キライ、という同心と、その担当地区深川の鉄瓶長屋で起きる様々なもめごと(事件って感じじゃないんですよね。気分的なものですが)。
上巻では別々にそれぞれの家の物語を、江戸時代の情緒、風景と人情と共に描いていくのかな~と、ぼんくら同心井筒平四郎と共にこれはゆったり読めそうだ~なんて感覚で読み始めたのですが、そこは宮部ワールド特有のミステリー。
「長い影」という章で、物語は一気にそれまでのことを纏め上げ、1つの謎に向かって流れていきます。

なにしろ、ね。その中でね。
弓之助がいいんだ
美女顔負けの美少年。跡取りのいない平四郎の家に、奥方側の商家に嫁いだ姉の息子ってことで、奥方が「養子に迎えよう」と熱心に希望している少年なんだけれど、、、
目測で何でも「測って」しまうことが特技の彼は、平四郎宅に出入りし始めてからこの鉄瓶長屋の事件にかかわり、まさしく事件を読み解くことにも長けている。口の利き方も達者で正直こまっしゃくれた感もあるのに、実はまだ「布団に朝起きたら地図が~って奴」が収まらず、大活躍したラストシーンでも上下の涙・・・で、水溜りを作ってしまうかわいいところがあったりする。
めんどうが大きらい平四郎が、ところどころで投げ出したくなりながら、結局最後までこの事件の真相を見届けたのは、1つにはこの少年がいたからだろうなあ。
そして、長屋に住む人々。
特に煮売り屋のお徳さんの生き方、彼女に最後まで嫌われながら一所懸命に差配を勤める佐吉。春を売っていたおくめとお徳のやり取りのおかしさと切なさ。
斬った張ったの物語の派手さは一切ない、そこがまた好きになりました。
地に足をしっかりとつけて生きている人々。実際にそこに根を張って日々の暮らしをしている姿が鮮やかに浮かびます。

時代劇、好きです。
子どもの頃から、水戸黄門とか、銭形平次、NHK大河ドラマで育った私。(ほとんど母の刷り込みです~
そして「鬼平半科帳」に至っては、すっかり自分の好きなものになっていて、もちろん原作みんな持ってるし読んでます。
なんだか、江戸の町って、ほんとに人情溢れて時間がゆっくり流れていて、お金はないけれど仲間が沢山いて・・・
「長屋」っていいね。こういう日常って、いいね。
「ぼんくら」を読みながら、そんな気分に浸っていた私だったのでした。

ちょっと、現代の暗い部分の物語で疲れていた気持ちを、きれいさっぱり流させてもらいました。
さて、講談社文庫。まだあと2冊、時代小説がありますね。
やっぱりそっちも読んじゃおう!と、固い決意の私です。(って言わなくってもわかってますか?
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「理由」

2006年01月17日 21時30分07秒 | ★★宮部みゆき
宮部みゆき 著 新潮文庫。

読みました。読みました。読みました~~!
解説を読むと、先日読んだ「火車」と、私にとっての宮部作品第一号の「模倣犯」と共に、宮部ワールドの「リアリズム3部作」だそうで。
ふむ。。

ある超高層&高級マンション25Fの一室で起こった惨事。
状況だけをみれば一家全員惨殺か!?という状況で発見される3人と転落した1人。
この4人が、一体誰で、誰が誰を殺したのか、どうして殺したのか・・・普通真っ先にわかるはずの「身元」がわからないという状態で殺人事件は始まる。
関わった様々な家族のその時の状態を描きながら、事件を語っていく。
すでに『謎』が『謎』ではなくなって、事件の全容が明らかになった後に、この事件を記録しようとする人間が、時にインタビューで、時にそのときの状況を物語として書き進める構成。

不思議な緊張感と、リアリズム。
無理なローンのために起こる「競売」とその闇の部分、バブルがはじけた社会を背景に、殺されたものと殺したもの、それぞれを「家庭」という単位で描きながら、「個」の怖さ、悲しさ、淋しさ、異常さをリアルに浮かび上がらせている。

一歩外に出れば、こういう「家」はどこにでもある。
少し未来の自分を思うと、もしかしたらこの中のこの家族は似ているんじゃない?

今の時代。
この犯人の「異常さ」が、「恐怖」としてまだ人々の心にとどまっているだろうか。
今の時代。
もしかして、ありうる・・?と普通に生活する、普通の人々が思ってしまう状態になっていないか?

ラストを読み終えた後、そんな「恐怖」が私の心の中に浮かび上がってきた。

今。
この時代を生きる人たちに、そして未来の人たちに、この「物語」が「恐怖」であればいい。ずっと。ずうっと。
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「龍は眠る」

2006年01月13日 23時40分58秒 | ★★宮部みゆき
宮部みゆき 著 新潮文庫。

あるスキャンダルから左遷されている雑誌記者と、台風の日に行きあった少年の物語。
この少年が物や人の内面を見る能力があったことから巻き起こる事件と、その結果。

一つ目国の物語。他者と違うこと。その違いが他者にわかってもらえない種類であること。
それが、こういう超能力者たちの物語では必然として出てくる。
これは、ほんとうにサスペンスとしてもとてもよく出来ていると思うけれど、
それよりも、持ってしまった「プラスワン」がどれだけその人に負担をかけるか、
どれだけ苦しめ、前を向きづらくさせるか。
そちらに、目が行った。

持っていないものではなく、持っているもののための苦しみ。
とかく、
「あの子はこれがあるのに、私にはない」
という気持ちを持ちやすい現代。
相手の気持ちがわかるのならば、苦しいことなんて帳消しでしょう~と、考えてしまいそうだけれど、
そうじゃないんだ。
そんな苦しみが丁寧に描かれていて、まわりと違う、ということを改めて考えてしまった。

それが、自分を殺すこともある。。

少年は、この先どう生きるのだろう。
記者は、この先どう生きるのだろう。

人間って、悲しいなあ。
支えあいたいのに、支えあえないことも確かにある。わかろうとしても、わからないこともある。
あるがままを受け容れるということは、つまりは、自分自身に対しても言えること。

そして、とても難しいこと。

考え始めたら、とまらなくなった。


年が明けてしまいましたが、こんな感じでようやく感想UP。
なんだかストレートな感想文にならなかったような気もしますが、、、、(滝汗
コメント (6)
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