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2021年4月の読書 弥勒シリーズ再読中

2021年05月17日 06時35分00秒 | ★★★毎月の読書まとめ

あさのあつこさんの時代物は、いまはこの弥勒シリーズしか読んでいないけれど、現代物の作品と比べて人の闇の部分を本当に容赦なく暴き出すな。宮部みゆきさんと逆だな、とふと思う。もちろん極端な私見、だけど。弥勒シリーズ一気読みはなかなかしんどい。でもやめられない。そんな所も宮部さんの現代物と似ている。


4月の読書メーター
読んだ本の数:7
読んだページ数:2592
ナイス数:406

冬天の昴 (光文社時代小説文庫)冬天の昴 (光文社時代小説文庫)感想
再読)おりんによって人の命の温かさを教えられ、今は周りにいる人々に支えられて立つ遠野屋清之介。誰の力にも依らず心を寄せる者でも容赦なく囮として使い、いつもたった1人で立つ木暮信次郎。どちらがより人らしく、どちらがより人ではないのか。対照的と見えながらその実とても似ているこの2人のそれぞれの今の姿を描き出した今回。やはり冷たい風は木暮様により強く感じてため息をつく。それでもお仙さんはそんな彼を見つめ続けるのだろうな。女としての矜持を持ちつつ。今回の表題「冬天の昴」遠野屋清之介とも木暮信次郎ともとれ、深い。
読了日:04月28日 著者:あさの あつこ
東雲の途 (光文社時代小説文庫)東雲の途 (光文社時代小説文庫)感想
再読)最新刊を読んでここを読むと、なるほどなぁ、と理解できることが多い。というか遠野屋清之介の目指す商人というのはこういうものなんだ、と改めて知った。過去と向き合い逃げずに受け止めて未来へ進む。生きるための仕事を与えて。いろいろ抜け落ちていたな、と苦笑しつつ、それにしてもなんて才能の持ち主なのだ、と目を見張る。
読了日:04月26日 著者:あさの あつこ
木練柿 (光文社時代小説文庫)木練柿 (光文社時代小説文庫)感想
再読)遠野屋清之介と木暮信次郎。2人の周りにいる人々にスポットを当てつつ、2人の姿を描き出す短編集。でも時はきちんと進んでいて、その中に清之介の過去も織り込まれる。短編ならではのスッキリと解決するそれぞれのおかげで、木暮さまの黒々としたものが緩和されているのかも。弥勒シリーズの世界に厚みが加わる一冊だな、と思う。ああ、面白い。
読了日:04月22日 著者:あさの あつこ
夜叉桜 (光文社時代小説文庫)夜叉桜 (光文社時代小説文庫)感想
再読)人は身の内に弥勒も夜叉も持っている。そのどちらを育てるのか、どちらにもならないのか。弥勒と夜叉の間を生きるのが人。ただ生きるために生きる。それが出来ない唯一の生き物。儘ならない日々にその瞬間にどちら側に一歩踏み出すか。それが先を変える。ややこしい。だから面白い。そして怖い。赤子の温かさ、柔らかさ、邪気の全くない笑顔が切ない。
読了日:04月19日 著者:あさの あつこ
弥勒の月 (光文社時代小説文庫)弥勒の月 (光文社時代小説文庫)感想
再読)4回目にも関わらず、あれ?木暮様、こんなこと言っていたんだ?こんな動きをしていたんだ?と、自分の頭の出来の悪さに苦笑する。なんだか随分と人間らしい一面が覗く場面があるんだな、などなど。話の残酷さ、過酷さはその後続くこのシリーズのはじめの一歩ということもあるのか最大級で、何度読んでもおりんさんに生きていて欲しかった、と願ってしまう。彼女の死が3人の男たちを繋げて、この世界を厚く重く暗く、そして強くしているのだけれど。「けりは、それがしがつける。貴公はこれ以上、お手出しめさるな」清之介のこの言葉が今回→
読了日:04月16日 著者:あさの あつこ
鬼を待つ (光文社文庫 あ 46-12 光文社時代小説文庫)鬼を待つ (光文社文庫 あ 46-12 光文社時代小説文庫)感想
毎回続きを心待ちにしているこのシリーズ。毎回何かに驚き慄くのだけれど。今回は清之介の心の衝撃度に驚いた。こんな姿あった?おりんを喪った時ですらこれほどではなかったのではないか、と思える揺らぎ方。在るはずはないと分かっているからこその揺らぎ、か。そこが人としてあたたかくもあり哀しくもある。その元凶である彼女のもう1人の彼女への在り方に読みながら気味の悪さを感じたことがその後繋がっていった先は。ああ、やっぱり、だった。この先が怖い。信次郎の読みには毎度のことながら目が覚める。そして、伊佐治親分が本当に読み手→
読了日:04月12日 著者:あさのあつこ
上流階級 富久丸百貨店外商部 (2) (小学館文庫)上流階級 富久丸百貨店外商部 (2) (小学館文庫)感想
再読)あ、そうか。こういう形で桝家は呪縛から離れられたんだった。四季子お母様の心の内に踏み込む静緒も、見事だな。「そういうもの」という枠組み。そこから踏み出た人と人。桝家と静緒。このまま暮らしていければ確かに理想的だな、と感じる。けど、ねぇ?それにしても静緒が事あるごとに考える「上役とはそういうもの」が何だか今回はちょっと堪らなくなりました。なんだかなぁ。そこもまた変わらない社会の片鱗なんだろうなぁ。
読了日:04月06日 著者:高殿 円