12月の読書メーター
読んだ本の数:3
読んだページ数:904
ナイス数:156
あさのあつこさんの新刊が面白い。続きがとても楽しみだ。
名人 (新潮文庫 か 1-14)の感想
新井素子解説、ということで。)囲碁の世界。知ってはいても打つ訳ではなく、正直、その対局場面はなかなか厳しい読書になった。が、囲碁という世界に命懸けで立ち向かう姿には某マンガも手助けになってなんとなく、分かる。あくまでもなんとなく、なのだけれど。そして素子さんの解説。その最後。20代、40代、70代、そしてその先でももしかしたら同じ作品を読める。受け止める感覚はそれぞれ変わる。そこにとてもこころが震える。時代を超えて。自分もまた時代を超えていく。ああ、読書っていいな。そう、思う。
読了日:12月31日 著者:川端 康成
えにし屋春秋 (時代小説文庫 あ 23-3)の感想
面白い。また、目の離せないシリーズが始まった。人と人の縁を商う「えにし屋」浅草寺界隈の賑やかな店の裏手にひっそりとある仕舞屋に縁だけを頼りに持ち込まれる様々な繋げたい縁、切りたい縁の問題を時には長い時間をかけて解決していく物語。今回はえにし屋の主人才蔵、そして初の過去を語る場面も多く、背負うものの重さ、暗さの先の今、が、この先がとても気になる。あさのさんの歴史物は本当に容赦ないし義理堅いし重いし暗いし、でも深くて引き込まれてしまう。2作目を心待ちにしています。
読了日:12月12日 著者:あさの あつこ
てらこや青義堂 師匠、走る (小学館文庫 Jい 3-1)の感想
元公儀隠密、現在寺子屋の師匠である十蔵の物語。前作がかなりシビアで辛く悲しい作品(童の神)だったため、なんてほのぼのした世界だ、と若干感覚がおかしくなりながら読んだ。筆子たちの生き生きとした姿、十蔵の(元)妻、睦月の人となりの素晴らしさ、かつては時に共に戦いまた敵でもあった隠密の面々、公儀方、敵方、登場する人物がとても(いや背負うものは重いし暗いが)生き生きとしていて、その最期の覚悟も含めて惹かれるものだった。様々なものを背負って、最後、十蔵と睦月がまた共に歩めることをほっと嬉しく思って本を閉じる。
読了日:12月02日 著者:今村 翔吾