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「侘助ノ白」-居眠り磐音 江戸双紙-

2009年07月19日 22時19分24秒 | ☆本☆
佐伯 泰英 著 双葉文庫

シリーズ30巻目。
久々に。
ストレートに楽しめる一冊だったような感じ。
田沼関係や家基さま絡みになると、どうしても『史実』がある訳で、
正直ここ数冊、何となく閉塞感を感じてた。
家基という将軍様は歴史上に居ないのだから、
それを考えてしまうと、速水様や玲圓先生が強く後押しをし、
磐音さんがわが身を盾にして守る姿が切なくなってしまうわけで。
そうすると、佐々木道場の行く末も不安になってしまうわけで。

今回、一切(と、言い切っちゃっていいかな。ちょろっと霧子ちゃんとの会話はあったけど)そこに触れない分、
普段の『生活』にじっくりと気持ちを向けられて、シリーズ最初の頃のような気分で読むことが出来た。

出だし。
タイトルの侘助は利次郎に絡んだものだったのね。
その通り、多分この1冊の中心は利次郎がどんなに成長したか?っていうお話。
土佐藩での例によっていつもと似たお家騒動に絡めて、彼がほんとうに磐音の教えを受け継いで成長しているのがよく判るストーリー。
その合間合間に、江戸での暮らしも挟み込まれて面白い。
小田平助という人が年の瀬の餅つきをしている佐々木道場に現れたとき、
「ああ、この人、このまま居ついてくれたらいいなあ」
と思ったその通りになってうれしい(笑)
餅つき芸もさることながら、好きだなあ。こういう人。
門番の利助さんも白山もとっても安心できるようになるし、
何だか「代替わり」がとても穏やかに進む感じが心地よい。

そんな中。
30冊読んできて、初めて。
気持ちが悪い、とても背筋の寒くなる場面もあった。
磐音さんもそこを通って後、自分の行いに(非はなくとも)苦しんだけれど・・・・
あそこは。
読んでいて本当に気持ち悪かった。
「こんな場面。こんな残酷な情景を佐伯さんは書くことがあるんだな」、と
読んでいる途中で一端物語を離れて、外から冷たく見直してみないと辛くて読めないくらい。
こういう物は、例え物語の中だと思っていても本能的に虫唾が走る・・・
ぞっと、する。

そこも含めて、この1冊。おもしろかった。
そして。

ふっと頭の片隅で考えてる自分がいる。

ねえ?
この『侘助ノ白』のお話の組み立て方。
TVにならない?
これなら、今津屋さんや金兵衛さん等など町屋の暮らし、道場での日常、武家社会、全体にとても自然に磐音さんが存在してるじゃない?

シリーズ4とは言わない。
陽炎の辻4を作るのならば、45分のシリーズ物に戻してほしいって最近しみじみ思うから。
でも。
今それは無理なんでしょ?
それならば。
スペシャルなら。
これから先、作ることもありうる「スペシャル」に。
この30巻のお話の流れはとても参考になるんじゃないかなあー。

・・・・・。

もう。
今ははっきりと。
原作の中の人たちの頭の中での動きは、TVのキャストそのまんま。
磐音さんのあの雰囲気は山本磐音を想像してしまう。

池波さんの鬼平のように。
それは決して悪いことではないと思うから。

この流れならば、佐々木道場の面々は新たにキャスティングするとして、
長屋の人たちや今津屋の人たちや、柳ちゃんや武左衛門さん。とても自然に登場できて、
それぞれにきちんと『時』が流れていて、すごくよいお話になるんじゃ・・・

などと。。
読み終わったあとにつらつらと余計なことを考え出してしまったくらい、
居眠り磐音の世界がしっくりとまとまった1冊でした。

  あ、TV。もちろんスペシャルなら2時間は頂戴ね(って私何様!!??/爆)

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2 コメント

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Unknown (しぇんしぇい)
2009-07-20 12:13:44
そうですか、もう読まれましたか!
私は、いつも貸してくれる人が韓国へ行ってしまっているので来月までお預けです。
返信する
しぇんしぇいさん~ (ゆき@管理人)
2009-07-21 08:17:37
そうなんです。もう読んじゃったんです。
続きを待つのが長くなるから迷ったんですけどねー、誘惑に負けました・・・・(笑)
再読コースに突入するのだけは我慢できてます。積読本整理しなくちゃ~~って(爆)
返信する

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