夢逢人かりそめ草紙          

定年退職後、身過ぎ世過ぎの年金生活。
過ぎし年の心の宝物、或いは日常生活のあふれる思いを
真摯に、ときには楽しく投稿

作家70歳、夢をかなえる・・♪  ②

2005-07-11 14:37:11 | 読書、小説・随筆
壮絶な老々介護の体験を綴ったベストセラー『黄落』から10年。
七十路を迎えた作家は、最愛の家族から離れ、
つかの間の孤独をかみしめつつ何を思ったのか。

「太平洋を横断する帰途は16日間、
来る日も来る日も荒海なんです。
自分の人生とこれからについて繰り返し考えた。
そのうちに、脇目もふらず、小説を書きたい、
という欲求がふつふつとわいてきましたね」

定年を迎えた男達が老いと向き合う連作短編、
老境の作家が船で各地を旅する物語、
しばらくごぶたさ中の剣豪小説や時代劇など、構想は尽きない。

未知なる人との出会い、茫々(ぼうぼう)たる大海原との語らいこそ、
またとない回春の妙薬だったのかも知れない。


以上が全文です。


☆私のコメント☆

この作家には、同人雑誌『犀』時代、そして『北の海明け』、『花下遊楽』、『幸福の選択』
等を読んでいるが、特に『北の海明け』は好きである。
文藝評論家の方は、この『北の海明け』は、もっと評価して良い作品である。
そういった面では、不運な面がこの作家にはある。

しかし、前記に書いてあるとおり、この作家は日常において、
果敢に古武道、剣道、茶道、英会話に挑戦し、趣味の領域を拡げ、
中々余人にはできない。

今回の中で、

・・貧富の差、生活の差こそが世界なんだ・・

・・16日間、来る日も来る日も荒海・・

この二行を紹介したくて、前後の関係で長く綴った次第です。

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作家70歳、夢をかなえる・・♪  ①

2005-07-11 12:48:24 | 読書、小説・随筆
読売新聞の10日付で、新刊本の紹介として、『本 よみうり堂』というコーナがある。

今回、紹介された本は、佐江衆一・氏の『地球一周98日間の船旅』である。
興味のあった箇所があったので、転記させて頂きます。

50歳で古武道、55歳で剣道、60歳で茶道、65歳で英会話と、
5年ごとに趣味の領域を広げてきた作家が、
古希の節目に長年の夢を果たした。
それが世界一周の冒険旅行だ。

大型客船で世界を巡り、民間交流を行う「ピースボート」の募集ポスターを見て、
「これぞロマン!」とひらめいた。
4人部屋、食事付きで船賃は約150万円。
思案の末、
「3ヶ月余り、お互いに独りになって、
人生を顧みるのは、どうだろう」と妻に切り出したところ、
「面白いわね」。
あっさり、OKがでた。

佐江さんが乗ったトパーズ号は、乗員・乗客1400人。
年配客も意外と多く、90歳代の参加者も。
あくまでも、一乗客として、
「ピースボートでしか出来ない経験を、めいっぱい楽しもう」と、
剣道五段、古武道の師範の腕前を生かして、船上で護身術などの愛好会を作った。

年齢、性別、国籍を超えて、気の合う仲間が増え、
旅の後半にはミステリー仕立ての短編映画を作ってしまったほど。

最終的にかかった総費用は、約270万円。
17か国に及んだ寄港地では、ホームスティや交流行事にできる限り参加した。

「電気も水道もない村でたった一晩、
言葉も通じないけれど一緒に食事を取り、
地べたに寝かせてもらう。
その数日後には、大都市に停泊する。
そんな旅を続けていくうちに、
貧富の差、生活の差こそが世界なんだ、と実感した。
地球は、紛争のまっただ中にあるのだと」


《続く》
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敬愛できる人・・♪

2005-07-11 11:45:00 | 定年後の思い
読売新聞の10日付で、文庫本の紹介欄に『ポケットに1冊』というコーナーがある。

内容に色々とご教示される事が多いので、転記させて頂きます。

『雑誌記者』 池島信平・著作

芥川賞と直木賞が生まれてから70年になる。
両賞を創案した作家で大編集者でもあった菊池寛とはどんな男か、
ちょっと見てみたいとの好奇心から池島信平(1909~1973)は、
菊池のいる文藝春秋に入社した。

戦中の言論統制、占領下の検閲、紙不足に苦しみつつも、好奇心は失わない。
作家の坂口安吾と阿部定の対談を企画したり、
東大の五月祭で買った大学新聞で、
大江健三郎の短編『奇妙な仕事』を読んで唸り、
第一回・芥川賞の年に生まれた学生の大江にすぐに会ったり・・。

本書は、戦中と戦後のジャーナリズムの裏面を見詰めながらも、
「わかりやすさと面白さ」を大切にした名編集者の回想記だ。

エピソードは具体をきわめ、時々の苦渋、喜びが目に見える。
しかし、白眉(はくび)は、「見識」などと称して、時局に応じて勇ましい、硬直した発言をし、
他を抑圧した便乗者への批判の鋭さである。

統制と、それを迎合するジャーナリズム内部のひどさが骨身にしみた池島は、
臨機応変の現場感覚を大切にし、

《考えた末の、思いつき》

を大切にした。

軽いようだが、人生の経験に裏打ちされた重さがある。

以上がこの文庫本の紹介記事です。

☆私のコメント☆

私は池島信平・氏の書物を直接に読んだ事はない。
山口瞳・氏の随筆を通して、少し知っている程度である。
今回の紹介欄を読んでいたら、

時局に応じて・・他を抑圧した便乗者・・

今日の雑誌、新聞、テレビのジャーナリズムを傍観した時、
池島信平・氏の先達者の見識の鋭さは、
国民のひとりとして脱帽する次第です。

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