私は民間会社の中小業のある会社に35年近く奮戦し2004年(平成16年)の秋に定年退職後、
多々の理由で年金生活を始め、早や11年生の70歳の身である。
午前のひとときに小雨が降っていたので、ネットでニュース記事を彷徨(さまよ)っている中で、
『老人たちの裏社会、余生は生き地獄になった』
と見出しを見て、副題として『死ぬよりも上手に老いることが難しい時代』と明記され、
どういうことなの、と思いながらクリックした。
この記事の根源は、新郷 由起 ・著の『老人たちの裏社会』(宝島者)の単行本として、
2015年2月10 日に発刊されたものである。
そして『東洋経済ONLINE』公式サイトに於いて、
『カルチャー』系の『今週のHONZ』の中で、《オススメ書評はこれだ!!》コーナーで、
担当者の栗下直也さんが2015年3月28日に書評された記事である。
無断ながら、この記事を転載させて頂く。
《・・65歳以上の高齢者の万引きの増加が話題になったのは20年ほど前だったか。
当時は全体に占める割合が1割に達したことで注目を集めていた。
本書『老人たちの裏社会』(宝島社)によると、
警察庁発表の犯罪統計では高齢者による万引きは2011年には未成年者の検挙数を追い抜き、
直近の公表値である2013年は32.7%を占め過去最高を記録したという。
万引き犯の3人にひとりが65歳以上という状況だ。
人口全体が高齢化していることを踏まえても異常な増え方だ。

万引きだけではない。
ストーカーも60代以上の2013年度の認知件数が10年前の約4倍に増え、
ほかの世代の1.7~2.6倍に比べて高い増加率を示す。
驚くべきなのは暴行の検挙数。
2013年には1994年比45倍超の3048人に急増している。
原因も「激情・憤怒」が60%以上を占め、次点の「飲酒による酩酊」の14%を大きく引き離す。
酔っぱらって、「何だ、この野郎!」と酒場で暴れる老人を想像しがちだが、
本当に凶暴なのはしらふなのに公共交通機関などで、些細なことにぶち切れまくる老人が大多数なのだ。
著者は投げかける。

“ほんの少し前まで、老人は-中略-社会的弱者としてとらえられていた。
ところが、今や街では万引きをしまくり、激高しては暴力に訴え、
勘違いを募らせてはシニアストーカーに転じ、「死ぬまでセックス」とばかりに色欲にハマるなど、
「若者のお手本となる先人」どころか、老害を撒き散らすだけの暴走ぶりが目立つ”
彼らに何が起きているのか。
統計データをなぞりながら、万引き、暴行、ストーカー、売春などに走る高齢者を取材し、
本書では異様な実態を明らかにする。
簡単に死ねない時代になった
「唯一の憂さ晴らし」と5年前に突如目覚めた万引きをやめられない86歳の女性。
毎日のように69歳の女性に自分が詠んだ句を添えて郵便ポストに手紙を差し入れる80歳男性。
68歳の女性は色目をつかって、孤独な男性たちの預貯金から3000万円以上を搾り取る。
寂しいから、社会から孤立してしまっているから。
犯罪白書は老人の犯罪を語る。
確かに孤立死も急増している。
80歳以上の自殺者数は年2500人を上回る。
なぜ寂しいのか。なぜ孤立してしまうのか。
簡単には死ねない時代になったからである。

“これまでは「やり残したことはないか」「命を燃焼し尽くして人生を生き切ったか」などと追及、
検証する間もなく先に寿命が来てしまっていた。
余計なことを考える間もなく、生活に追われ、生き続けるのに必死なうちに息絶えるのが当たり前だったのだ。 ”
“死ぬよりも、上手に老いることの方が難しい時代になってしまった。 ”
最終章の章題は「生き地獄化する余生」である。
悟りの境地に達した老人は、漫画の世界だけなのだろうか。
悶々としてしまうから、「生涯現役」と悪びれもせずにストーカーに走る。
自らが80歳を超えながら70歳の妻をDVする。
「女として輝こう」の謳い文句に釣られ、62歳でホテヘル嬢になる。
タイトルに「裏社会」とあるが、残念ながら、もはや「裏」とは言えない現象になってきている。
本書に広がる世界は、我々全員がこれから対峙しなければならない社会そのものである。・・》
注)記事の原文にあえて改行を多くした。

昨年の「敬老の日」に合わせて、総務省は9月14日に於いて、15日現在の高齢者の人口推計を公表した。
65歳以上の高齢者人口が3296万人(総人口の25・9%)、
75歳以上が1590万人(同12・5%)となり、いずれも過去最高。
「団塊の世代」の1949年生まれが65歳になったのが一因で、4人に1人が高齢者、8人に1人が75歳以上となる。
男女別としては男性の高齢者が1421万人(男性人口の23・0%)、女性が1875万人(女性人口の28・7%)。
そして年齢別では、70歳以上が2383万人(総人口の18・7%)、80歳以上が964万人(同7・6%)。
また、5年ごとに行われる住宅・土地統計調査(2013年)によると、
高齢者のいる世帯は2086万で、初めて2千万世帯を超えた。うち高齢者の単身世帯は552万世帯に達した。
このような実態を70歳を迎える直前の私は、改めて超高齢化社会と実感させられた・・。

私は平素の買物専任者で、スーパーや専門店に往還する時、
狭い歩道を歩いたり、或いは街中で私より先代の諸兄諸姉とすれ違う時、
たとえ両手に重い荷物を持とうが、道を開けている。
或いは公園などでポッンとベンチに座っている方を見かけると、最低限として挨拶程度の言葉をかけたりしてきた。
こうしたことは、少なくとも先代の諸兄諸姉に対して、礼節と思っている。
昨今の65歳以上の高齢者の諸兄諸姉は、一部の方で病院に通院されながらも、
全般としては溌剌と生活されている、と付近の方たちを見て、感じたりしている。
しかしながら時折、困惑することもある。
たとえば、公共の場で恥知らずな言動をするグループを見かけると、老害と思っている。
特にご婦人の方に多いのは、女性にいつまでも憧憬(しょうけい)している私としては、
はなはだ残念と思ったりしている。
あなた方の持っていた羞恥心という美徳はどうされたのですか、人前でご迷惑を感じていないのですか、
そして、お孫さんに恥ずかしくないのですか、と私は憂(うれ)う時もある。
このような高齢者の社会実態をぼんやりと思ってきた私は、
今回の記事に動顛させられてしまった・・。

日頃のご不満を、《・・しらふなのに公共交通機関などで、些細なことにぶち切れまくる老人・・》、
《・・「唯一の憂さ晴らし」と5年前に突如目覚めた万引きをやめられない・・》、
《・・80歳を超えながら70歳の妻を暴力する・・》など、
少なくともこうした狂気の事柄は、私は回避したいと念願する。
人は誰しもときには理性を越えて、感情だけの言動になるが、殆どの人はそれぞれのストレスを、
それなりに解消している。
私の場合は、政治とか社会に不満があったなら、近代史の本を読めば、この世の不条理な実態を学ぶことができるし、
自身のつたなさを嘆き、やるせない時は、早めに風呂に入った後、早めに寝るとか、
読書か音楽を聴き、自身を叱咤激励したりしている。
或いは散策をして、四季のうつろう情景を眺めて解消する時もある。
しかしながら私が認知症になってしまった時は、理性もうつろとなり、どのような言動をとるか、
私の老後の最大の問題でもある。
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多々の理由で年金生活を始め、早や11年生の70歳の身である。
午前のひとときに小雨が降っていたので、ネットでニュース記事を彷徨(さまよ)っている中で、
『老人たちの裏社会、余生は生き地獄になった』
と見出しを見て、副題として『死ぬよりも上手に老いることが難しい時代』と明記され、
どういうことなの、と思いながらクリックした。
この記事の根源は、新郷 由起 ・著の『老人たちの裏社会』(宝島者)の単行本として、
2015年2月10 日に発刊されたものである。
そして『東洋経済ONLINE』公式サイトに於いて、
『カルチャー』系の『今週のHONZ』の中で、《オススメ書評はこれだ!!》コーナーで、
担当者の栗下直也さんが2015年3月28日に書評された記事である。
無断ながら、この記事を転載させて頂く。
《・・65歳以上の高齢者の万引きの増加が話題になったのは20年ほど前だったか。
当時は全体に占める割合が1割に達したことで注目を集めていた。
本書『老人たちの裏社会』(宝島社)によると、
警察庁発表の犯罪統計では高齢者による万引きは2011年には未成年者の検挙数を追い抜き、
直近の公表値である2013年は32.7%を占め過去最高を記録したという。
万引き犯の3人にひとりが65歳以上という状況だ。
人口全体が高齢化していることを踏まえても異常な増え方だ。

万引きだけではない。
ストーカーも60代以上の2013年度の認知件数が10年前の約4倍に増え、
ほかの世代の1.7~2.6倍に比べて高い増加率を示す。
驚くべきなのは暴行の検挙数。
2013年には1994年比45倍超の3048人に急増している。
原因も「激情・憤怒」が60%以上を占め、次点の「飲酒による酩酊」の14%を大きく引き離す。
酔っぱらって、「何だ、この野郎!」と酒場で暴れる老人を想像しがちだが、
本当に凶暴なのはしらふなのに公共交通機関などで、些細なことにぶち切れまくる老人が大多数なのだ。
著者は投げかける。

“ほんの少し前まで、老人は-中略-社会的弱者としてとらえられていた。
ところが、今や街では万引きをしまくり、激高しては暴力に訴え、
勘違いを募らせてはシニアストーカーに転じ、「死ぬまでセックス」とばかりに色欲にハマるなど、
「若者のお手本となる先人」どころか、老害を撒き散らすだけの暴走ぶりが目立つ”
彼らに何が起きているのか。
統計データをなぞりながら、万引き、暴行、ストーカー、売春などに走る高齢者を取材し、
本書では異様な実態を明らかにする。
簡単に死ねない時代になった
「唯一の憂さ晴らし」と5年前に突如目覚めた万引きをやめられない86歳の女性。
毎日のように69歳の女性に自分が詠んだ句を添えて郵便ポストに手紙を差し入れる80歳男性。
68歳の女性は色目をつかって、孤独な男性たちの預貯金から3000万円以上を搾り取る。
寂しいから、社会から孤立してしまっているから。
犯罪白書は老人の犯罪を語る。
確かに孤立死も急増している。
80歳以上の自殺者数は年2500人を上回る。
なぜ寂しいのか。なぜ孤立してしまうのか。
簡単には死ねない時代になったからである。

“これまでは「やり残したことはないか」「命を燃焼し尽くして人生を生き切ったか」などと追及、
検証する間もなく先に寿命が来てしまっていた。
余計なことを考える間もなく、生活に追われ、生き続けるのに必死なうちに息絶えるのが当たり前だったのだ。 ”
“死ぬよりも、上手に老いることの方が難しい時代になってしまった。 ”
最終章の章題は「生き地獄化する余生」である。
悟りの境地に達した老人は、漫画の世界だけなのだろうか。
悶々としてしまうから、「生涯現役」と悪びれもせずにストーカーに走る。
自らが80歳を超えながら70歳の妻をDVする。
「女として輝こう」の謳い文句に釣られ、62歳でホテヘル嬢になる。
タイトルに「裏社会」とあるが、残念ながら、もはや「裏」とは言えない現象になってきている。
本書に広がる世界は、我々全員がこれから対峙しなければならない社会そのものである。・・》
注)記事の原文にあえて改行を多くした。

昨年の「敬老の日」に合わせて、総務省は9月14日に於いて、15日現在の高齢者の人口推計を公表した。
65歳以上の高齢者人口が3296万人(総人口の25・9%)、
75歳以上が1590万人(同12・5%)となり、いずれも過去最高。
「団塊の世代」の1949年生まれが65歳になったのが一因で、4人に1人が高齢者、8人に1人が75歳以上となる。
男女別としては男性の高齢者が1421万人(男性人口の23・0%)、女性が1875万人(女性人口の28・7%)。
そして年齢別では、70歳以上が2383万人(総人口の18・7%)、80歳以上が964万人(同7・6%)。
また、5年ごとに行われる住宅・土地統計調査(2013年)によると、
高齢者のいる世帯は2086万で、初めて2千万世帯を超えた。うち高齢者の単身世帯は552万世帯に達した。
このような実態を70歳を迎える直前の私は、改めて超高齢化社会と実感させられた・・。

私は平素の買物専任者で、スーパーや専門店に往還する時、
狭い歩道を歩いたり、或いは街中で私より先代の諸兄諸姉とすれ違う時、
たとえ両手に重い荷物を持とうが、道を開けている。
或いは公園などでポッンとベンチに座っている方を見かけると、最低限として挨拶程度の言葉をかけたりしてきた。
こうしたことは、少なくとも先代の諸兄諸姉に対して、礼節と思っている。
昨今の65歳以上の高齢者の諸兄諸姉は、一部の方で病院に通院されながらも、
全般としては溌剌と生活されている、と付近の方たちを見て、感じたりしている。
しかしながら時折、困惑することもある。
たとえば、公共の場で恥知らずな言動をするグループを見かけると、老害と思っている。
特にご婦人の方に多いのは、女性にいつまでも憧憬(しょうけい)している私としては、
はなはだ残念と思ったりしている。
あなた方の持っていた羞恥心という美徳はどうされたのですか、人前でご迷惑を感じていないのですか、
そして、お孫さんに恥ずかしくないのですか、と私は憂(うれ)う時もある。
このような高齢者の社会実態をぼんやりと思ってきた私は、
今回の記事に動顛させられてしまった・・。

日頃のご不満を、《・・しらふなのに公共交通機関などで、些細なことにぶち切れまくる老人・・》、
《・・「唯一の憂さ晴らし」と5年前に突如目覚めた万引きをやめられない・・》、
《・・80歳を超えながら70歳の妻を暴力する・・》など、
少なくともこうした狂気の事柄は、私は回避したいと念願する。
人は誰しもときには理性を越えて、感情だけの言動になるが、殆どの人はそれぞれのストレスを、
それなりに解消している。
私の場合は、政治とか社会に不満があったなら、近代史の本を読めば、この世の不条理な実態を学ぶことができるし、
自身のつたなさを嘆き、やるせない時は、早めに風呂に入った後、早めに寝るとか、
読書か音楽を聴き、自身を叱咤激励したりしている。
或いは散策をして、四季のうつろう情景を眺めて解消する時もある。
しかしながら私が認知症になってしまった時は、理性もうつろとなり、どのような言動をとるか、
私の老後の最大の問題でもある。
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