私は午前中のひととき、いつものように家内から依頼された品を求めて、
最寄りのスーパーに向かった。
そして買物する前に、通販で買い求めた食料品の振り込みをする為に、
郵便局に寄り、まもなく待機している中、
壁面に掲げられた光沢性のある大きなポスターをぽんやりと眺めたりした。
こうした中、一枚のポスターに瞬時に魅了された。
まもなく私の手続きの順番となり、振り込み依頼をした後、
『あのボスター・・年金生活のお手本のようなポスターですねぇ・・』
と私は窓口の担当の女性に言ったりした。
『お気に入りでしたら・・ポスターは差し上げることはできませんが・・
コピーでしたら・・』
と窓口の担当の女性は、微笑みながら私に言った。
やがて私は、A4サイズに縮小されたポスターを頂き、
『年金生活の肝要なことが、すべて秘められて、魅了されまして・・』
このような意味合いの言葉を重ねて、丁重に御礼の言葉を重ねた。
こうした思いのポスターを恥ずかしながら、公開する。
もとより年金生活は、霞(かすみ)を喰って生きられないので、
老後の資金と称されるお金も大切なことである。
私は音楽業界のあるレコード会社に35年近く勤めて、2004年(平成16年)の秋に定年退職した身であるが、
この間、幾たびのリストラの中、何とか障害レースを乗り越えたりしたが、
最後の5年半はリストラ烈風が加速され、あえなく出向となった。
そして、私は出向身分であったので、リストラ烈風の中、
会社の首脳部が、社員を自主退職させる希望退職優遇制度などの免れたのも事実であり、
定年前にやむなく退社された同僚、後輩に少し後ろめたく、退職後の年金生活に入った理由のひとつとなった。
しかしながら根底の実情は、この当時は大企業も盛んにリストラが実施されている中、
たとえ私が定年後に新たな職場を探しても、これといった突出した技術もなく、
何よりも遠い勤務先の出向先で、私なりに奮闘して体力も気力も使い果たしてしまった。
このような拙(つたな)いサラリーマン航路である上、ときおり敗残者のように感じることも多く、
悪戦苦闘の多かった歩みだったので、せめて残された人生は、多少なりとも自在に過ごしたと思ったりした・・。
私たち夫婦は子供に恵まれなかったので、2人だけで第二人生の歳月を過ごすので、
結果としては定年後の長い人生は、お互いの趣味を尊重して、堅実な生活を過ごせば、
年金生活でも何とかなると、定年後に年金生活を始めたりした・・。
私は定年退職後に年金生活を始めたが、
1944年〈昭和19年)9月生まれであるので、この当時は満62歳にならないと
年金は満額(老齢厚生年金と老齢基礎年金の合計)を頂けないので、
この間の2年間は満額の6割弱の片翼飛行のような、年金生活を過ごすことになった。
やがて私は満62歳となり、年金は満額となり、これ以降は水平飛行のように安定して、
何かしら定年までは悪戦苦闘が多かった為か、予測した以上に年金生活を安楽に過ごして、
今日に至っている。
我が家の生計は原則として、私たち夫婦はお互いに厚生年金とわずかな企業年金を頂いた範囲で、
日常生活を過ごすことを原則としている。
そして耐久品の購入、冠婚葬祭、或いは私たち夫婦の共通趣味の国内旅行に関しては、
程々の貯金を取り崩して、ここ丸14年近く過ごしてきた・・。
私は何かとプラス思考であるが、
やはり健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活される機関の『健康寿命』、
そしてこの世とお別れする『平均寿命』に関心がある。
もとより健康でなければ、自身の日頃のささやかな願いも叶わないので、
いつの日にか認知症、或いは脳梗塞などの難病に遭遇したら、困窮するので、
殆ど毎日のように自宅の周辺にある遊歩道、小公園などを殆ど毎日のように歩いている。
こうした中、男性の場合は、『健康寿命』は約72歳であり、
そして『平均寿命』は約81歳であり、
この間は病院に通院したり、或いは介護・要の生活が余儀される御方が多い。
しかしながら、ご近所の男性の85歳の御方は、心身溌溂で、
ときおり私は談笑しながら、多々教示されることもある。
このように『健康寿命』、『平均寿命』・・あくまで平均であり、
私の知人のひとりは、定年退職する一年前に大病で病死される御方もいる。
私は年金生活14年ばかり過ごす中、幸運にも大病で入院することなく今日に至っている。
私の秘かな念願は、いつの日にか『健康寿命』が終えた後、
老衰でこの世とお別れすることである。
こうしたことは、もとより自助努力も大切であるが、この世とお別れすることは、
神様か佛様の采配による、と私はこれまで多くの友人、知人の通夜、告別式に参列して、
深く感じさせられてきた・・。
今回、このボスターを眺めながら、このようなことを私は思い馳せたりした。
余談であるが、このポスターは『かんぽ生命』のポスターのひとつであるが、
副題には《・・人生は、夢だらけ。・・》と明記され、
つたない定年退職時まで、敗残者の私でも、微笑み返ししてしまった・・。