『 がんを予防する最強の「野菜スープ」 抗がん剤の世界的権威も推奨 』、
と題された見出しを見たりした。
私たち夫婦は子供に恵まれなかったので、たった2人だけ家庭であり、
ささやかに過ごしている。
何かと気弱な私は、末期に病院で治療を受けると思われるが、
出来る限り痛みが少なく、この世とサヨナラをしたい、と念願したりしている。
過ぎし日に、『人口動態統計』を見ていた時、
2019年に老衰で亡くなった人は、12万1868人と知り、
『悪性新生物(がん)』、『心疾患(高血圧性を除く)』に続いて3番目に多く、
全体の8.8%になる、と学んだりした。
私の知人が、10年前の頃、肺ガンで亡くなってしまい、
末期に苦しんだ、と後年に親族の御方より教えられて、
何かと気弱な私は、できれば平穏死でこの世とサヨナラしたい、
と祈願したりした。
こうした深情を秘めてきた私は、今回の《・・がんを予防する最強の「野菜スープ」・・》、
真摯に学びたく、記事を精読してしまった。
この記事は、ノンフィクション作家の奥野修司さんの寄稿文であり、
『週刊新潮』に2021年6月3日に掲載され、関連の【ディリー新潮】に6月8日に配信され、
無断であるが記事の殆どを転載させて頂く。
《・・野菜スープを毎日食べるだけで、「がん」から身を守れるというのだから、
試してみない手はないだろう。
「食」や「病」に関する著作も多いノンフィクション作家の奥野修司さんが
長年の取材の末に辿りついた“最強”の健康法――。
私たちの体は、食べたもので作られている。
もちろん遺伝的な要素もあるが、半分は環境に左右される。
悪い食べ物を食べれば病気になるし、逆に良いものを食べれば健康につながる。
本来、50年前の日本人も現在の日本人も同じなのに、
昔はなかった病気が増えているのは、主に食べ物が変わったからだろう。
例えば、私たちが日常的に食べているものに、野菜がある。
野菜は嫌いという人でも、まったく食べない人はいないと思うが、
ではなぜ野菜を食べるかといえば、人が生きていくのに必要な抗酸化物質を摂るためでもある。
多くは人の体内で作れない種類のものだからだ。
野菜に含まれる化学物質をファイトケミカルというが、
その種類は1万種を超えていて、多くは抗酸化物質である。
抗酸化物質とは、ビタミンAやビタミンC、
ポリフェノール(大豆のイソフラボン、お茶のカテキンなど)や
カロテノイド(β‐カロテンなど)といえば思い当たるだろう。
動脈硬化予防やアンチエイジング対策のサプリメントもたくさん出ているが、
こうした抗酸化物質を大量に含んでいるのが野菜である。
抗酸化物質とは、酸化に抗う物質、簡単にいえば猛毒の活性酸素を中和して
消去してくれる物質のことだ。
私たちは呼吸によって、大気中の酸素を体に取り入れているが、その一部は必ず活性酸素になる。
活性酸素というのは、酸化力を持った化合物で、触れた物質を錆びつかせてしまう。
新型コロナの感染予防に使われている次亜塩素酸も活性酸素の一種だ。
体内で活性酸素が発生するのは、呼吸のせいだけではない。
ストレスがかかっても活性酸素が増えるし、
放射線が体を通過しても、紫外線に当たっても発生する。
つまり、私たちは活性酸素から逃れられない運命なのだ。
悪役のように見えるが、実は白血球の一種であるマクロファージなどは、
体内に侵入してきたウイルスを殺すのに活性酸素を使う。
この活性酸素の何が問題かというと、
例えばDNAに触れて傷をつけたり、切断したりし、
これを修復できなければ、がん細胞に変異していく。
実際、活性酸素は、がんの主要原因だと言われているほどだ。
がんだけではない。
老化や動脈硬化、脳血管障害、高血圧などにも関係しているといわれ、
高齢化で問題になっている認知症との関係も指摘されている。
老化がすすむと、シミや斑点が増えてくるが、これも活性酸素が主要な原因だ。
もちろん人間は、体内で発生した活性酸素を消去する物質を持っている。
たとえばSOD(スーパーオキシド・ジスムターゼ)という酵素もその一つで、
最近は美肌やアンチエイジングに効果があるといわれて注目されているが、
それはともかく、強いストレスが加わったり、高齢化でSODが十分に作れなくなると、
がんをはじめ、さまざまな病気になりやすくなる。
歳をとると病気になりやすいというのはこういうことだ。
★人間にとって薬
こうしたことを教えてくれたのが、
先日亡くなった抗がん剤の世界的権威でもある熊本大学の前田浩名誉教授だった。
活性酸素を消去する物質が少なければ、外から補うしかない。
というわけで、抗酸化物質を作れなくなった私たちは、野菜から摂るしかないのだ。
ずいぶん前だが、人間はがんになるのに、
どうして植物は、がんにならないのだろうと思ったことがある。
私たちは直射日光の下に長くいると、皮膚がんになる。
これは、強い紫外線によって細胞内に活性酸素が発生し、DNAを傷つけるからだ。
でも、植物は芽が出てから枯れるまで、強い日差しの下にいるのに、がんにならない。
これは大量の抗酸化物質で防いでいるからではないかと思ったのだ。
植物は基本的に移動できないから、紫外線だけでなく、
ウイルスや細菌、カビ、昆虫などに襲われても、逃げることができない。
そこで、これらを撃退する武器であるさまざまなファイトケミカルを
体内で作るようになったとも考えられる。
なぜなら、同じ野菜でも、ハウス栽培の野菜よりも、露地栽培の方に抗酸化物質が多く、
大根のような根菜類では、根よりも紫外線にさらされる葉の方が
50倍から100倍多く含まれていることからも想像できる。
余談だが、同じ根菜類でもレンコン、サトイモ、サツマイモ、ジャガイモなどは
切ると褐色に変色するが、これは抗酸化物質のポリフェノールが酸化するからだ。
また、小豆、黒豆、大豆といった豆類も、抗酸化力が強い。
これは、子孫を残すために、種の中のDNAが、
酸素や紫外線で傷つけられないように抗酸化物質で守っているからだ。
農薬や化学肥料を使って育てた野菜に比べ、
自然栽培といって、農薬も化学肥料も使わず、土壌も耕さずに育てると、
抗酸化成分が顕著に増えるそうである。
害虫がつけば、殺虫剤を使うなどしてぬるま湯的環境で育てると、
抗酸化成分を作る必要がなくなるのかもしれない。
こうしたファイトケミカルのほとんどは、人間にとって薬になるといわれ、
普段から野菜を大量に摂っていると、病気になりにくい体になるはずである。
★10種類の野菜で
野菜を食べる理由が分かったところで、
「いやいや、私は野菜をたっぷり食べているから大丈夫」
と言われる方は、次の2点をチェックしていただきたい。
まず1点目。野菜を生で食べていませんか?
日本人は、いつから生野菜を食べるようになったのだろうか。
人類は火を発見して以来、野菜は、煮るか炒めるか蒸すかで、
近代に入って西洋文化に影響されるまで、日本食も煮野菜が一般的だった。
サラダという言葉が誕生したのは14世紀のフランスだが、
日本では根付かなかったのだろう。
私が生野菜を初めて食べたのは1970年代だったが、
どちらにしても日本で普及したのは戦後である。
本来、人間は生野菜を食べるようには、できていない。
なぜなら、野菜の細胞を包んでいる細胞壁は、
セルロースやリグニンといった硬い物質で作られていて、人間の胃では消化できない。
ところが、抗酸化物質のほとんどは、細胞壁の内側に入っているのである。
よく噛めば壊れそうに思うが、実際はほとんど壊れない。
ジュースやスムージーにしても、思ったほど壊れない。
実際、生野菜を食べたあと検便して調べてみると、細胞壁が壊れずに残っていたそうだ。
もちろん一部は腸内で消化されるが、多くは消化されずに、排出されるのだろう。
牛や山羊が草を食べるのは、胃の中にセルロースを分解する微生物を持っているからだが、
では微生物を持っていない人間はどうしたかというと、
消化されやすいように、煮たり、焼いたりしてきたのである。
消化できないから、火を使うようになったのかもしれないが、
実際、生野菜を5分ほども煮ると、細胞壁を作るセルロースが簡単に壊れて、
細胞の中から抗酸化物質が外に出てくる。
すでにお分かりになったと思うが、野菜の抗酸化成分を効率よく摂るには、
加熱して野菜スープにするのがベストなのだ。
野菜を煮炊きしたら、ビタミンCが壊れてしまうのじゃないか?
実は結晶のビタミンCを水に溶かして加熱するとすぐ壊れるが、
野菜の中のビタミンCは、ほとんど壊れない。
日本だってサラダ文化が入ってくる以前は、野菜を煮炊きして食べていたのに、
壊血病が大きな問題にならなかったことでもわかる。
心配せずに野菜を煮ていいのである。
このスープは、誰にでも作れる。
玉ねぎ、人参、いんげん豆、大根、ホウレン草など、好きな野菜を好みで細かく刻み、
沸騰する前に、弱火にして20~30分ほど煮るだけだ。
後は出汁醤油や塩などで、味付けすれば完成である。
このあたりは野菜スープのレシピ本を参考にしてもいいだろう。
面倒ならブイヨンを使ってもいいが、市販のブイヨンには
添加物がたくさん使われているものもあるので要注意だ。
野菜スープだからといって、野菜に限定する必要はなく、
肉類なども一緒に入れれば、さらにおいしいスープができる。
また硬水で作れば、ミネラル分も一緒に摂取できる。
前田名誉教授によれば、10種類ぐらいの野菜を使った方が、
相乗作用でより効果的だという。
1日に最低1回、食事の際に、この野菜スープをカップ1杯、毎日食べ続ける。
毎朝作るのが面倒だという方は、数日分をまとめて作って冷蔵するか、
3日以上保存するなら冷凍したほうがいいだろう。
野菜スープが好きじゃない方は、味噌汁にすればいい。
子供がいる家庭なら、野菜いっぱいのカレーにしてもいい。
小さく刻めば野菜嫌いな子供も食べられるし、
カレーに含まれるターメリックは強い抗酸化力を持っているので、相乗作用も期待できる。
どんな野菜を使うかはお好みだが、基本的にハウス栽培よりも露地栽培の野菜がいいし、
季節はずれの野菜より、旬の野菜がいい。
抗酸化力が、大きく違うからである。
また、加熱した後の抗酸化力を比較すると、しそ、レタスなどが非常に強く、
大根や人参の葉、みつば、春菊、小松菜、なすび、いんげん豆、パセリ、
ブロッコリー、玉ねぎなどが続く。
大根や人参の葉は、そのままでは食べづらいという方は、
バターやオリーブオイルで炒めた後でスープにしてもいい。
トマトに含まれているリコピンなどは、油に溶けやすいからより吸収されやすくなる。
ただ、使う油も要注意だ。
市販の食用油は、不純物が除去されているから透明だが、こういう油はすぐに酸化してしまう。
通常、搾ったばかりの油は濁っている。
先ほど種はDNAを守るために、抗酸化物質で満たされていると述べたが、
濁っているのは、この抗酸化物質なのだ。
オリーブオイルでも、バージンオイルが濁っているのはこのせいだ。
近年になって、濁っているのは見た目が悪いと誤解したのか、
抗酸化物質を吸着、濾過(ろか)して透明にして売られるようになった。
抗酸化物質がないから、熱や紫外線で酸化しやすく脂質ラジカルという
危険な活性酸素ができる。
近年、日本でもがん患者が増えたのは、
高齢化に加え、透明な食用油を使うことが増えたからだと言われているほどだ。
どの油を使ってもいいが、できればバージンオイルを使いたい。
さて、チェックすべき2点目。その野菜は有機栽培ですか?
たとえば緑茶には、カテキンやビタミン類などの抗酸化成分が豊富で、
動脈硬化や心臓血管障害の予防に有効だと言われているが、
農薬を使って栽培したお茶なら、湯煎するとこれらと一緒に農薬も溶け出す。
同じことはホウレン草などの野菜にも言え、
豊富に含まれる葉酸などと一緒に農薬も食べることになる。
この農薬にどういう影響があるか。人間ではできないのでウズラで実験してみると、
体内の活性酸素を消去する抗酸化酵素が著しく減少して、
雄雌ともに生殖細胞に影響が及び不妊の原因になるというデータや、
ラットでは腸内細菌叢が変わったという実験結果もある。
なによりも怖いのは、発達障害との関連性が指摘されていることだ。
葉酸は、赤血球の生産や細胞分裂、DNAをつくるためのビタミン類であり、
妊婦はもちろん男性にも必要だと言われているが、
せっかく摂取しても農薬の危険性を考えるとお勧めはできない。
とはいえ、通常の野菜に比べて、有機栽培は値段も高い。
つい尻込みしてしまいがちだが、病気を避けるための保険代と考えれば、
そんなに高い買い物ではないと思う。
それに、毎朝カップ1杯の野菜スープなら、それほどコストアップにはならないだろう。
前田名誉教授によれば、がん治療をしている患者に、
この野菜スープを飲んでもらったところ、
非常に体調が良くなったという意見が多く寄せられたそうだ。
もちろん使ったのは有機野菜である。
また別件だが、自然栽培の野菜を悪性リンパ腫の患者らに食べてもらったところ、
症状が改善したという報告もあるそうだから、
野菜に含まれるファイトケミカルは、人間にとって薬のような作用があるのだろう。
健康な高齢者の食生活を調べると、
抗酸化物質のポリフェノールをたくさん摂っていたり、
食物繊維の多い食事をしていたそうだ。
ポリフェノールというとワインを連想しがちだが、それだけではない。
コーヒーやお茶にも多く、ベリー類など赤や紫の色素を持つフルーツや
野菜にも豊富に含まれている。また、ニンニク、ミョウガ、ブロッコリーには特に多い。
★善玉菌が元気に
有機野菜で作った野菜スープは、体内の活性酸素を消去して、
病気の予防になるだけではない。
これを毎日摂り続けることで、免疫力アップにつながるという。
人間の腸には、1千兆個ともいわれる腸内細菌がいる。
免疫細胞の7割は腸にあり、腸内細菌がそれを活性化しているのだ。
自己免疫性疾患やアトピー性皮膚炎といったさまざまな免疫系疾患の増加は、
腸の免疫システムがおかしくなったからではないかといわれ、
腸内細菌叢が関係していることをうかがわせる。
腸内細菌叢の変化は、さまざまな病気をもたらす可能性もあるのだろう。
言うまでもなく腸内細菌を変える大きな原因は、食事である。
食事は、私たちの体に大きな変化をもたらすということだ。
新型コロナで免疫力がよく話題になるが、この免疫力をアップするのが、
腸内細菌叢の中の善玉菌である。
善玉菌は、もっぱら多糖類を分解してエネルギーにしており、
多糖類を腸に届けてやれば、善玉菌が元気になって増えてくれる。
多糖類というのは、でんぷんや植物のセルロースなどがそうだ。
でんぷんは、水には溶けないが加熱すると溶けるように、
野菜スープには、野菜の多糖類が溶けている。
これが善玉菌のご飯になって、免疫力をアップしてくれるのである。
しかし、この野菜に農薬が使われていたらどうなるか。
ラットの研究では腸内細菌の構成が変わってしまったというから怖い。
善玉菌ではなく悪玉菌優位に改悪されてしまい、さまざまな病気の原因になるのだ。
また、腸と脳はつながっていて、緊密に連絡を取り合っているといわれ、
腸内細菌叢が変われば、脳にも影響する。
そんなことを考えると、せめて野菜スープだけでも、有機野菜にこだわりたいものだ。 (略) ・・ 》
人が健康に生きる為には、野菜を食べ、「野菜スープ」が最適だ、
どの油を使ってもいいが、できればバージンオイルを使いたい。
通常の野菜は農薬を活用したことを配慮し、値段が高いが、有機栽培を使いたい。
このようなことを少なくとも学んだりした・・。
私は野菜に関しては、生で食べたりしている。
夕食の前菜として、大皿にキャベツの千切りを大盛りにした中で、
ニンジン、ピーマンも千切りにして、キャベツの上に載せ、
片隅にはサニーレタスを数葉、そしてミニ・トマトを3つ・・
愛食している・・。
しかし今回、『生』はダメと学び、困惑したりした。
やむなく今後は、何かとカレー風味が好みの私は、
特選『カレー野菜スープ』にしょうかしら、と微苦笑したりした。