「山珍居」(サンチンキョ)
著名人も足繁く通う、都内屈指の老舗台湾料理店。
最寄り駅は、西新宿五丁目。東京都道432号淀橋渋谷本町線沿い。
視線の向こうには新宿の高層ビルが見える。
当店のオープンは1947年。ネット情報では、日本初の台湾料理店なのだという。
開店当初は現在の場所ではなかったようですが、移転されてからの歴史も深く、
老舗の風格を表す店構えだ。
網入りガラスから確認できるのは火鍋用の鍋。
当店の火鍋(ホエコ)は常連でもあった、故 赤塚不二夫氏も好まれた料理で、
山海の珍味がふんだんに入った滋味豊かなよせ鍋だそう。
こちらでは押さえておきたい名物料理の一つです。
また自家製の肉粽も好評のよう。食べてみたいな。
入店すると、左手にショーケースとお帳場、右手には階段があった。
2階席もあるのかしら?竜宮城に誘うような青い色彩に目を瞠る。
のちに調べたところ、2階には個室が4室完備されているとのこと。
私達に気が付いた中国人スタッフさんに予約の旨を伝えると、
一番奥の右手4人掛けテーブル席に案内された。
1階はすべてテーブル席(片側ベンチシートテーブル席を含む)で席数は30席程度。
空間的なゆとりもそこそこ望める。
天井には薄ぼんやりとした光を放つシャンデリアとシーリングファン。
店内全体が昭和にタイムスリップしたようにクラシカル。セピア色がかって趣きがある。
そんじょそこらでこの味は出せないなあ。
ここには、くっきりと文化が息づいているのだ。
昭和大好きの連れ(寝太郎さん)は、のっけからのハートを鷲掴みにされたようで興奮気味だ。
予約席のテーブル・セッティングは、取り皿、ロゴ入り箸袋に入った割り箸。
卓上には爪楊枝、デザートのPOPスタンド。
着座後には業務用タオルおしぼりが手渡され、同時にメニューの提供を受ける。
まずは、瓶ビール(サッポロ)@600 を注文。
これまた“台湾料理 山珍居”とロゴの入ったグラスで出してくれるものだから嬉しくなる。
火鍋(ホエコ)も良いのですが、2人だとそれだけでお腹が一杯になってしまう。
残念ですが今回は諦め、グランドメニューから数品チョイスすることに。
四季菜は注文しやすい値付けですが、全体的にはいいお値段で、
一品料理では3,500円前後という価格設定も多かった。
現在の店主は、先代のお父様の味を受け継ぐ2代目の黄善徹 氏。
一番奥が厨房のようで、ガラス越しに作業中の姿を見られましたが
常連の方が来店するとタイミングを計りフロアへ挨拶に出てきていましたよ。
(寝太郎さんの話だと芸能人らしいのですが、私は物事に暗いためわかりませんでした)。
潤餅(春巻)は、旧正月から5月末日までの限定。 となれば、お願いするしかないでしょう。
潤餅(春巻)@450×2
(ノブロー) おお、べっぴんさんでねえかっ。クレープのようだな。
(ノブロー) ほおほお、潤餅に甘くてチョイぴりの味噌のようなソースが塗ってあるだ。
(ノブロー) 精進料理バージョンだで、中には、もやし、人参、キャベツ、ピーナッツ粉、香菜。
野菜がみっしり入っているな♪
ひと口目は、生春巻きを口にしたようなイメージだった。
柔らかい皮に歯を入れるとシャキシャキとした野菜の食感とピーナッツ粉のコクを感取し、
次いで香菜がふわっと口の中に香る。
さっぱりといただけ、ナチュラル感が後を引く美味さ。これはいい!何本でも食べたくなる。
蚵仔煎(卵と芋粉を使った牡蠣のおやき)@1,300
台湾夜市の定番。スタンダードなところで1品。
牡蠣、たまご、青菜。上にかけられているソースはピリ辛の大人味。
しっとりとした牡蠣の風味と青菜の茎のシャキッとした食感が味のコントラストとして楽しめる。
山海湯(ゆりの花と貝のスープ)@1,200
金針菜(ゆりの花)、ハマグリ、シメジなど。生姜が効いていて薬膳スープのような味わい。
ひょっとしたら(生姜の)苦味なのかな。個人的には少しクセを感じたのですが、
当店、真面目に出汁をとられておるよう。好感が持てた。
老肉(ラオーバ)@1,500
注文時、あんかけとスープのどちらにするか、尋ねられた。
(スタッフの)お姉さんにどちらがおススメかを聞くと答えはあんかけ。 賛同する。
老肉は豚の三枚肉を柔らかく煮たもの。付け合わせはネギ、ブロッコリー、スライストマト。
脇にはからしも添えられている。
肉は箸で切れる柔らかさ。 艶めくあんかけも醤油の味がきつくなくて、
これだけ脂が多いのにもかかわらず、あっさりとした食味。
冷めても美味しくいただけましたよ。
(レンタロー) うめえな。姉ちゃんのおススメは大正解だで。店の人はみな親切だし、感じがええ。
お酒は、瓶ビールのあと老酒に突入。最初は花彫(浙江省紹興県)18度 ボトル@2,300
を常温でいただいていたのですが、2本目は黄酒(台湾省埔里)17度 ボトル@1,800 にチェンジ。
すると、やはり台湾のものは香りと味が私達に合わなくて、急ぎ氷をもらってロックにしました。
海老とマコモダケの茶葉炒め@1,300
「メニューにはないけれど、今日は海老のお茶炒めできます」 とお姉さんからのサジェスチョン。
何かしら?龍井蝦仁(ロンジン茶炒め)じゃあないわよね??
好奇心を刺激された。ともかく注文してみよう。
海老はきゅっと固く身がしまっていますが、マコモダケの食感との違いが軽快なハーモニーを紡ぐ。
味付けは素材の味を活かしシンプルに塩味で。
使用されている茶葉は生のもの。口にすると柔らかい香りがした。
(ノブロー) 台湾は茶の産地で有名だで。茶葉料理は理にかなうんじゃねえか。
肉粽(バーツァン)@600
〆には肉粽。竹の皮や笹の葉で包んだまま提供されるのかと思っていましたが、
はがした状態でサーブ。
残念だなあ、自分でやりたかったのに……。
同時に、ニンニクの効いた塩気の強いタレもセットされた。
(ノブロー) 台湾の粽は、北部と南部で作り方、味も異なるだ。
ちなみに、北部は“蒸す” 南部は「ちまき屋」さんのように“茹でる”だな。
で、味は北部が濃い目で、南部は比較的あっさり目っつう話だ。
色味の濃さを感じます。ひょっとしたら北部かな?
と思い後から調べたところ、テイクアウト情報で当店のものは15分“蒸し”であるということ。
(ノブロー) 具材は、たまごの他に何がへえっているんだ?
箸で探ると、豚の角煮、干しシイタケなどがダイナミックにごろっと出てきた。
口にしてみると、五香粉が効き、やはり味は濃い目で、少しねちょっとした舌触り。
味がしっかりしているので、このままのバランスで十分。セットのタレは不要かもしれない。
料理を食べ終え、帳場に進むと目につくのはショーケースに無造作に陳列されたお土産類。
このレトロで昭和ディスプレー的な展示も当店の味となっているのだ。たまらん。
お会計は、1人当たり7,000円(千円未満四捨五入)
昭和の香りが残る魅力的な台湾料理店。
本日いただいたお料理は総じて薄味で後味も軽かった。
次回はお姉さんが別に薦めてくれた腸詰(エンチャン)をつまみに酒を飲み、
課題となった火鍋(ホエコ)へと箸を進めたい。
山珍居 (サンチンキョ)
東京都新宿区西新宿4-4-16
TEL 03-3376-0541
営業時間/ 火~金 12:00~14:00 17:00~22:30(L.O)
土 12:00~14:00 17:00~21:30(L.O)
日・祝 17:00~21:30(L.O)
定休日 月曜日 -店舗情報「食べログ」より-
※中国料理満足度数は、3.9~5.0