子育てする「雄猫」?
野生のノラ猫♂は、本能的に自分の遺伝子ではない子猫を食い殺してしまうことがあるらしい。母系集団であるライオンでも『ボス♂』の交代で、前ボスの子殺しが見られるというから、「自分の遺伝子」を残すという『本能的淘汰』が行われているに違いない。
三年前に解体前の農作業小屋で子育てしていた『ジーコさん♀』のことを、『おやじぃ』は初め雄猫と思い込み、『ジジぃ(Giji)♂』と呼んでいた。『ノラ猫=雄』という思い込みである。彼女の狩りは待ち伏せ型で、長時間、野ネズミの巣穴(通路)前で、いつ飛び出して来るか分からないネズミを待っていた。一度、仕留めた大きなネズミを咥え、ガラスの割れた窓から小屋に飛び込む彼女を見て、「え"…雄猫が子育てに協力するの?」と大きな勘違いを続けていたのである。そんな彼女が腹を空かせ、『おやじぃ』に助けを求めに来たのは6月末の梅雨空の夜だった記憶である…キャットフードなど無いから、冷蔵庫の「鯖缶」を与え、ドッグフードを与えている内に、少しずつ距離が縮まり、いつの間にか、その子猫たちまで『第2サティアン』が避暑地兼、遊び場となって占領されてしまうのでありますが…^^;
彼女が子猫たちの体力に合わせ、『ノラ猫』として生き残るための教育は、結構厳しく、『おやじぃ』は改めて「教育」というものを猫から教わったような気もする。ただし、『女の性』と言いますか、次なる生殖行動のために、まだイナゴも取れない子猫を『おやじぃ』に残していってしまったのだけれど^^;
そんな彼女も三年目の今年の春から見掛けてはいない…ノラ猫♀には厳しい生活環境であることは確からしい。(冬までは、たまに威嚇しながらフードを食べに来ていたんですけれどね。)
初めは、歯を剥いていたんですけど…
さて、ノラ猫の想い出を語ったのは、アメリカで性別「X」のパスポートが初めて発給されたという記事を見たからかな?「男か女か」という単純な二元論も、ジェンダーフリーという考え方も頭では理解出来ていると公言したとしても、その本質は理解なんかしていない。「自分とは違う考え方を持った方々。」…要するに、自分とは関係ないと無視(見ようとしていない)しているに違いない。
世に「ワンオペ育児」なる言葉もあるのだけれど、「猫の社会」を見ていると「ワンオペ」そのものなんだよなぁ…なんて考える。(決して、人間社会やこの世の男どもを肯定している訳じゃない^^;)だったら、「男(雄猫)の役割」って何なんよ?食って、寝て、出して、力を蓄えて(縄張りを確保し…これが唯一のお仕事?)、雌を招き入れて交尾をして放ったらかし^^;(「種の保存」という命題では、これが一番重要かも?)一日の行動の中で、無駄(実は無駄でも無いのだけれど)なものを削ぎ落していくと、実に単純な行動の繰り返しになる。「人間と獣を比べるな。」という叱責を受けるかも知れませんが、意外と人間の場合も単純な(単調な)行動の繰り返しなんだよなぁ…。大上段に構えれば、「生存」していくということにつながって行く訳なのだけれど、我が農園を訪れたノラ猫たちは、怪我(事故)、病気で去っていった。「育児放棄」された『ジーコさん♀』の子猫たちも、『おやじぃ』のサポート(福祉)が無ければ生き残っていられなかったと思うのでありますが…。「ノラ猫なんざぁ、力の無いものはこの世を去るしかない。」…「力の無い人間は…。」そう置き換えたらどうなるか?まぁまぁ、『男も女もXジェンダーも』生きているということに何がしかの価値がある。それが、単純(単調)な行動の繰り返しだったとしてもね…まだまだ、研究成果が出ていない(笑)