原題:IT'A FREE WORLD
ベネチア映画祭最優秀脚本賞受賞
イギリス、というよりヨーロッパの労働事情を背景にした社会派のドラマ。貧困から抜け出そうともがく不法移民の労働者、それを搾取する連中もまた、一瞬に搾取される側に転落する自由市場。生活のために外国人労働者の不法斡旋に手を染めていくシングル・マザーがヒロイン。07年英国インディペンド映画賞主演女優賞及び新人賞受賞。
新自由主義路線による格差の拡大は、日本だけではないことがよくわかる。切なく残念な事実である。
ケン・ローチ監督らしい視点の作品だが、前作『 麦の穂をゆらす風 』(カンヌ国際映画祭パルムドール賞)ほどには感動は沸かない。掘り下げが足りないのか。
キャストには、よく知られた俳優はいない(のではないか)。その辺の街角からスカウトした素人のよう。それがかえって、作品にリアリティを与えている。カメラはシャープ。
シネアミューズ。80点。